MMCXを使えば、Bluetoothワイヤレス化できる?
iPhone7のイヤホン端子廃止以降、Androidでもイヤホン端子を廃止する動きが強まっています。こうなると、
- 変換アダプタを介して従来のイヤホンを使い続ける(有線イヤホンのまま)
- LightningイヤホンやUSB-Cイヤホンのような高音質なイヤホンに買い換える
- Bluetoothイヤホンに買い換える
と言った選択肢が生まれます。もし、手元のイヤホンがMMCXや2pinなどの機構を備えていれば、用途に合わせた換装が可能になります。
そして、その要望に応えるように、市場にはMMCXイヤホンをワイヤレス化するためのアダプタ、ここでいう“MMCX接続対応Bluetoothレシーバーケーブル”が脚光を浴びています。(以下、MMCX-Bluetoothケーブル)
※なお、有線イヤホンのままBluetoothワイヤレスの恩恵に預かれる、高性能アンプ内蔵のBluetoothレシーバーも人気です。詳しくはこちらのまとめをどうぞ。

INDEX
MMCX-Bluetoothケーブルの選ぶ5つのポイント
まだまだ数多くはないMMCX-Bluetoothケーブルですが、それでも選ぶべきポイントがいくつかあります。
ここでは主な5つのポイントについて解説します。
1. 他社製ケーブルに換装できるか?
SHUREやWestoneといった、標準的にMMCXを採用しているメーカーなら、他社も独自に検証しているケースがあります。しかし「自社ケーブルのみ保証」というメーカーや、MMCXを独自に拡張しているメーカーもあり、注意が必要です。
レビューを参考にしたり、販売店に相談するなどして、お使いのイヤホンが「汎用的なMMCX」になっていることを確認しましょう。

2. 対応コーデックは合っているか?
Bluetoothイヤホンに付きまとう悪評の最たるものは「音が悪い」です。Amazonのレビューなどを見ると「aptX(高音質コーデック)対応イヤホンを買ったのに音が悪い」などという意見もあります。
しかし、一概に「Bluetoothだから音が悪い」ということでもなく、実はスマートフォンやオーディオプレイヤーなどの送信側と、イヤホン/ヘッドホンなどの受信側で対応コーデックが合っていない場合があります。
最悪の場合、ハイレゾ相当のLDAC/aptX HD対応のイヤホンなのに、SBCで繋がっていたというケースも考えられます(下図参照)。
これらのミスマッチを防ぐには、送信側・受信側のコーデックをあらかじめ把握しておく必要があります。
なお、iPhoneはAACとSBCにしか対応していないため、aptX HDで聴こうとするなら、アダプター等を噛ませましょう(下記レビュー参照)。

3. バッテリーは十分か?
これはBluetoothイヤホン全般の話ですが、連続再生時間はチェックしましょう。例えば、往復1時間の通勤・通学で使うのであれば、5時間もつイヤホンなら金曜の帰りまで使えます。しかし往復2時間なら、水曜日の帰りに電車に乗った途端にバッテリーが切れて何も聞けないまま過ごす羽目になります。
※最近は、こうした充電需要に備えて、持ち運び用のポーチを兼ねた“小容量”のバッテリーもあります。

4. 完全ワイヤレスタイプ?ネックバンドタイプ?ケーブルタイプ?
例えばJVCのSU-ARX01BT(下の画像)や、SONYのMUC-M2BT1はネックバンドタイプです。
これらのアダプタはイヤホンを安定させ、タッチノイズを減らしてくれますが、一方でイヤホンを「シュアがけ」をしたい人にとっては、ケーブルの長さが足りず不便を強いられることもあります。この場合は通常のケーブルタイプを選んでおくのがいいでしょう。
最近では、完全ワイヤレスイヤホンに変えるためのアダプターも出てきたので、選択肢はぐっと広がっています。

5. 価格は適正か?
ここまで読んでいただいて買う気になっていたら、一度冷静になっていただきたいのです。MMCX-Bluetoothケーブルの価格は(ピンキリとはいえ)そこそこ高いです。MMCX-Bluetoothケーブル単体の価格だけでなく、元のイヤホンの価格も合わせて考えてみてください。
そもそものイヤホンが高性能であれば、そこそこ安いMMCX-Bluetoothケーブルでもいい音が鳴ります。OKCSCのように2,000円台で買えるものもあるので、まずは体験するくらいのつもりで買うことをオススメします。
メーカー別MMCX対応Bluetoothアダプタ
メーカー別に、MMCX対応のBluetoothアダプタをまとめてみました。
FOSTEX
TM2

Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約10時間 |
ついに発売された、話題の製品です。MMCX接続対応のイヤホンや2pin接続対応のイヤホンを完全ワイヤレスタイプに換装できます。
同カテゴリの製品はTRNのBT20が製品化は先でしたが、その分、FOSTEX TM2は万全の仕様で、QualcommのQCC3026チップセットを採用、最新のTrueWirelessStereo Plus(TWS Plus)に対応します。別売りのパーツに交換することで2pinタイプのイヤホンにも対応することもできるという、最高のスペックに仕上がっています。(なお、付属のケースはバッテリー内蔵ではなく、充電用のクレードルです)
FOSTEX TM2を購入したので、レビューしてみました。

SHURE
RMCE-BT2
2019年9月のラインナップ改訂により、価格が18,800円(税抜)から、13,800円(税抜)へ、なんと5000円も値引きされています!!!25%以上の値引きです。お買い得!!!

Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX HD, aptX Low Latency, aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約10時間 |
独自開発のプレミアムヘッドホンアンプを内蔵した、MMCXコネクタ付きのBluetoothケーブル。2018年10月26日発表の、同日発売開始。これ、最高です。価格もそれなりですが、妥協のない最高峰の製品です!詳しくは下記レビューをどうぞ!

RMCE-BT1

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | SBC |
連続再生最大時間 | 約8時間 |
SE210からSE846まで対応する、SHUREの純正品。各イヤホンはリニューアルされ、このケーブルが付属したモデルもあるので、新たに買う人は同梱パッケージもご検討を。2年保証は嬉しいところ。なお、コーデックはSBCにしか対応しないです。レビュー記事は下記から。

TRN
BT20S
Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約8時間 |
MMCX接続できるイヤホンを「完全ワイヤレスイヤホン」に変えてしまう世界初のアダプターBT20の後継機種です。前機種に比べ、チップはQualcomm QCC3020へ、再生時間が2時間伸びて8時間に、DSPノイズキャンセリングも搭載するなど、着実に進化しています。
ただ、それぞれのユニットのペアリングや、2つとも充電する手間などいろいろ大変なこともあります。それでも、手持ちのイヤホンを完全ワイヤレスとして運用できてしまう魅力的な製品です。
前機種のBT20を実際に購入して、レビューしてみました。

BT3

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | SBC |
連続再生最大時間 | 約7〜10時間 |
連続再生最大時間が「7〜10時間」とアバウトに明記してあって、若干の不安が残ります。
LEAR
BTC-01+ MMCX

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約12時間 |
MMCX-Bluetoothケーブルの先駆的な存在だったBTC-01の後継機種。前モデルで課題だった連続再生時間が3時間から12時間に伸び、問題を解消しました。コーデックはSBCとAACのみですが、価格もリーズナブルで導入しやすくなっています。2019年3月29日発売です。
BTC-01 MMCX

Bluetoothバージョン | 4.0 |
---|---|
対応コーデック | AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約3時間 |
WestoneやSONY同様、早い時期からリリースされていた本製品、発売当時からリーズナブルな価格ではあったものの、他社製品と比較しても連続再生時間が際立って短すぎるのが残念なところです。
【国内正規品】Bluetooth MMCXリケーブル BTC-01 MMCX LE420419
JPRiDE
JPRiDE R1
Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX HD,aptX Low Latency, aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約10時間 |
Amazonでワイヤレスイヤホンを多数販売するJPRiDEの、MMCX-Bleutoothケーブル。製品写真からして、SHUREのRMCE-BT2をめちゃくちゃ意識しているようです。しかし、意識しているのは写真だけではありません。Bluetoothバージョンも、対応コーデックも再生時間も全てRMCE-BT2と同じ。特に、6,000円台の製品としては破格とも言えるハイレゾコーデックのaptX HDや、低遅延コーデックのaptX LLにも対応している点がポイントです。Amazonでの評価も高く、大人気になっています(価格は2019年3月現在のもの)
WESTONE
WST-BLUETOOTHV2

Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX HD, aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約12時間 |
2016年に同コンセプトの製品をaptX対応でリリースしていたWestoneが、第2弾となる製品をリリースしました。チップにCSR8675を採用した新モデルで、ハイレゾコーデックのaptX HDに対応します。本体だけで最大6時間の使用が可能ですが、充電しながら使用できる「チャージングドック」を併用すれば最大12時間の使用が可能です。2019年4月12日発売です。
Westone ウェストン Bluetooth ケーブル バージョン2
WST-BLUETOOTH

Bluetoothバージョン | 4.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約8時間 |
SHUREと同様に、製品のほとんどをMMCX対応でリリースしているWestone。同社の純正Bluetoothケーブル。2016年にはリリースされており、この分野では先駆者と言えます。
Westone ウェストン 高音質ワイヤレスBluethoothケーブル(MMCXコネクタ)【AAC&aptX上位コーデック対応 Bluetooth4.0】 78548
FiiO
RC-BT

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約10時間 |
日本発売が発表されてから3ヶ月が経ち、2018年8月下旬に発売が決まりました。新発売にして、5,000〜6,000円台というリーズナブルな価格設定。これはもうMMCX Bluetooth市場を席巻する大ヒット商品になりそうです。
本製品のレビューはこちらから。

なお、少しでも早く手に入れたい人は、FiiOのハイブリッドイヤホン FH1とRC-BTのセット商品「FiiO RC-BT with FH1」が先行発売しました。FH1は単体でも1万円を超えるイヤホンなので、ダイナミック・ドライバー&バランスド・アーマチュアのハイブリッドに興味のある人には超お買い得なセットです。
FiiO RC-BT with FH1 Bluetoothケーブル付きイヤホン
こちらのレビュー記事も書きました。

SATOLEX
BTC-100

Bluetoothバージョン | 4.2 |
---|---|
対応コーデック | SBC |
連続再生最大時間 | 約8時間 |
ホシデンの子会社・サトレックスのBluetoothケーブル。ケーブル長が1mと、比較的長めになっており、取り回しがしやすそうです。コーデックはSBCのみの対応。同社製イヤホンで唯一のMMCX対応イヤホン Tumuri DH303-A1との組み合わせが考慮されています。2018年7月30日発売。
ELECOM
LBT-HPC1000RC

Bluetoothバージョン | 5.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX HD,LDAC, aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約6時間 |
2018年6月に発売された、エレコムの意欲的なMMCX-Bluetoothケーブル。Bluetooth5.0で、ハイレゾ品質のaptX HDとLDACの両コーデックに対応しています。お値段もそれなりですが、スペック的には死角がありません。本製品のレビューは下記から。

radius
HC-M100BTK

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約9時間 |
MMCX対応のハイレゾイヤホンをはじめ、iPhone用のLightingイヤホンやポータブルアンプをリリースしているradiusのBluetoothケーブル。コーデックはaptXまで対応しつつ、実売でも税込で8,000円台を実現した価格バランスの良い、リーズナブルな製品。SHUREのRMCE-BT1同様に、襟元にユニットをクリップできる。
JVC
SU-ARX01BT

Bluetoothバージョン | 4.2 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約7時間 |
JVCのネックバンドタイプ。独自のK2テクノロジーで高音質化をはかっています。
レビュー記事はこちらから。

JVC SU-ARX01BT ワイヤレス リケーブル CLASS-S 高音質化技術 K2テクノロジー搭載/Bluetooth・NFC対応/連続7時間再生/MMCX端子採用
MEE audio
BTX1

Bluetoothバージョン | 4.0 |
---|---|
対応コーデック | aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約7時間 |
ブラックばかりのこのカテゴリーにおいて、クリア(実質ホワイト)モデルとブラックモデルで2色展開しているのは珍しい。定価で7,020円という低価格スタート。音もいい。
レビュー記事はこちらから。

SONY
MUC-M2BT1

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | LDAC, aptX, AAC, SBC |
連続再生最大時間 | 約7.5時間 |
SONYはMMCX対応とは言わず、XBAシリーズ専用と言っているので、その辺の事情はお察しください。
MacaW
MW-TE10

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | aptX, SBC |
連続再生最大時間 | 約8時間 |
MacaW(マカウ)のBluetoothケーブル。高音質コーデックのaptX対応ながら、5000円台という低価格に抑えた製品。2018年7月20日(金)発売。
OKCSC
ZSBTC-M

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | aptX, SBC |
連続再生最大時間 | 約6時間 |
低価格Bluetoothケーブルを数多くリリースしているOKCSCの製品。なんとMMCX以外にも2pinからA2DC、IEなど各種コネクタに対応する製品を出している(詳しくはAmazonの製品ページで)
BTC

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | SBC |
連続再生最大時間 | 約6時間 |
こちらもOKCSCの製品でネックバンド型。低価格だけあって、コーデックはSBCのみの対応。
DD4C Bluetooth ケーブル

Bluetoothバージョン | 4.1 |
---|---|
対応コーデック | SBC |
連続再生最大時間 | 約4時間 |
低価格のBluetoothケーブルの中にあっても、実売約2,000円ととにかく安い。Web上にも多数の好意的なレビューが上がっている。まずワイヤレスにしてみたい、という程度ならまずこれを。レビュー記事は下記から。

まとめ:MMCX-Bluetoothは今後どう進化する?
LDAC/aptX HD、さらなる高音質化へ
Android 8.0からハイレゾ品質のコーデックであるLDACとaptX HDが標準で載せられることになり、今後、Bluetoothイヤホンの高音質化が進みそうです。高級イヤホンに採用されることが多いMMCX対応製品でも、これらの採用は当然行われるはずなので、高音質化が急速に進むのは必然と言えるでしょう。
なお「Android 8.0以上=LDAC/aptX HD対応」と誤解されがちですが、8.0にアップデートしたからといって使えるわけではないですし、8.0が搭載されたスマホだからと言って対応しているわけではありません。メーカーごとに対応が異なりますので、必ず確認するようにしましょう。
MMCXで完全ワイヤレスを実現する?
どこかのメーカーにチャレンジして欲しいんですが、完全ワイヤレスユニットが作れるんじゃないかと睨んでいます。
左右それぞれにMMCXで繋がる完全ワイヤレスイヤホンのユニットがあればいいので、野心的なメーカーが発表のチャンスを虎視眈々と狙いながら開発を進めているのでは……と妄想して本記事の締めとさせていただきます。
上記で、MMMCX接続による完全ワイヤレスイヤホンアダプターについて触れていましたが、2018年末からTRN BT20や、FOSTEX TM2などが登場し、MMCX-Bluetoothの新たな戦いが始まったようです!
iPhone 11 Pro Maxにオススメのケースや、液晶保護フィルム、USB-C to Lightningケーブル・USB PDアダプタやeSIMなどの情報をまとめています。