LDAC/aptX HDに対応するMMCX-Bluetoothケーブル
先日、MMCX対応のBluetoothケーブルのまとめ記事を作ったんですが、ハイレゾ品質のコーデックであるaptX HDまたはLDAC対応のケーブルって、なかなか無いんですよね。
その理由として挙げられるのが「コーデックが全く普及してない」こと。でも、2018年以降はAndroidスマホへの搭載が進みそうなので、今後はMMCX-Bluetoothケーブルにも採用されていくんじゃないかと。
そして、そこにいち早くビジネスの匂いを嗅ぎとった(←言い方悪い)のが、エレコムさん。さすがのスピード感です。MMCXで換装でき、aptX HDとLDACに両対応した、スペック的には最高のMMCX-Bluetoothケーブルを発売しました。
LBT-HPC1000RC買ってみた
さっそく買ってみました。高級感のあるフタミ式のパッケージです。積み重ねても潰れなさそうな頑丈さがあります。
高級感があると書いたものの、底面はいつものスペックアピール盛り盛りの周辺機器然としたもの。雰囲気売りはしません。
なお、パッケージ背面にもQRコードが印刷してありますが、エレコム側で各社MMCXイヤホンとの接続検証をしています。詳しくは下記リンクを見ていただくとして、JVC、SONY、SHURE、Westoneは問題なく接続できるようです。
対応表一覧 LBT-HPC1000RC⇔MMCX対応ヘッドホン
http://www.elecom.co.jp/support/faq/parts/Audio/MMCXheadphone.pdf
それでは、開封します!
帯かけに、中入れのウレタンにきっちり収められた本体、高級感の演出がすごい。
ところで、この時点で違和感に気づいた方はいらっしゃるでしょうか?じつはこの違和感、のちのガッカリ感に繋がるのです……
開封→外観レビュー
内容物としては、マニュアルと充電用のMicro USBケーブル、そして、LBT-HPC1000RCとなっています。
右耳側のケーブルには、マルチファンクションコントローラ。再生/停止/ペアリング、曲送り/曲戻し、音量調整ができます。
このコントローラの側面には、Micro USBポートがあり、ここから充電が可能になっています。
ケーブル中央には、バッテリーと送受信用と思われるユニットがあります。ハイレゾ品質に対応したことを物語る、LDACロゴとaptX HDロゴが並んでいます。
それでは、MMCXイヤホンを取り付けてみましょう。手持ちのMMCXイヤホンはSHUREのSE425です。
エレコム自ら検証しているだけあって、問題なく接続できました。
iPhoneとAACで接続
コントローラ中央のボタンを長押ししたら、ペアリングモードになります。まずはiPhoneと接続してみます。LEDの光り方で接続しているコーデックを判別できます。このときは7秒ごとに青いLEDが1回点滅したのでAACで繋がっていることが分かります。(青2回点滅でSBC、青3回点滅でaptXです)
この状態で音楽を聴いてみましたが、特筆するほど音が良くなるわけでもなく、高音域と低音域の伸びが悪く、ちょっとこもったような感じの、いつものBluetoothミュージックでした。
iPhoneとaptX HDで接続
ただiPhoneとBluetooth接続しただけでは、LBT-HPC1000RCの真価は発揮されません。ここはやはりハイレゾ品質コーデックにふさわしいaptX HDで聴いてみなくては。最も良い音で出力できるよう、下記の組み合わせで接続してみました。
- iPhoneからデジタル出力するためのUSB DACとしてULTRASONE Naos
- Naosから出力された高品質の音楽をinateckのBR1006でaptX HDで送信
再度ペアリングし直したところ、今度は緑で1回点滅となり、aptX HDでの接続になりました。(緑2回点滅でLDAC)
というわけで、aptX HDでの音楽を聴いてみたところ、有線イヤホンで聴いているようなクリアで透明感のある伸びやかな音が流れました。そう、Bluetooth接続じゃないみたい!
iPhoneのmoraプレイヤーで、ハイレゾのflac音源も聴いてみました。通常のBluetoothケーブルでは体育館で聞くようなこもった音だったのが、コンサートホールで聴くような迫力のある音が広がりました。素晴らしい!
聴き比べとして、SE425をRMCE-BT1にも換装して、交互に聴き比べてみました。RMCE-BT1をSBC接続したものと、LBT-HPC1000RCをAAC接続したものでは、RMCE-BT1の方が音質が上に感じましたが、aptX HDで接続したLBT-HPC1000RCは別格の音を鳴らしていました。
また、SE425だけでなく、同じくMMCX端子をもつ、SATOLEXのTumuri DH303-A1とも接続してみましたが、こちらはダイナミック型特有の全域で元気な音が流れ出しました。これもまた、真価を発揮した感じです。
価格的にはかなりお高めなLBT-HPC1000RCですが、aptX HDで接続することで、ワイヤレスとしては最高峰の音を聴かせてくれることが分かりました。
ココがダメだよLBT-HPC1000RC
期待通りの音を出してくれたLBT- HPC1000RCですが、残念ながらダメなポイントもいくつかあります……。
ケーブルが縒れている
冒頭での違和感の話、覚えてます?あのパッケージの収め方だと、両耳側にユニットが付いてるように見えますよね?でも、実際はケーブルを縒って収めているのでそう見えるだけ。なので、パッケージから取り出すと、こんな具合に変に縒れてしまってます。
ケーブルが細すぎる
持ち運ぶことが前提の製品にしては、ケーブルが細すぎなのです。2000円くらいの安物イヤホンかな?と思うレベルの。今まで試したMMCX-Bluetoothケーブルの中では最も細く、脆弱にしか思えません。すぐ断線しそう……。
MicroUSBの蓋がイマイチ
ケーブルの細さに比べると、さしたる問題では無いかもですが、MicroUSBポートの蓋が固定できない。すぐ閉まってしまうのでケーブルを挿すのに難儀します。また、おそらくこの手の蓋は、使っているうちに切れます、おそらく。
他にも、コントローラのデザインが微妙にダサいとか、シュアがけしづらい(ワイヤーが入っていない)とか、音質以外の部分では目につくところが多かったです。
まとめ
LBT-HPC1000RCは、エレコムさんのいいところと悪いところが際立って出た感じのBluetoothケーブルです。aptX HDとLDACを採用した製品を素早くリリースするところや、MMCX接続の検証、動作の安定性など、安心感などいいところはあります。一方で、他オーディオメーカー製品に比べての脆弱さや、使い勝手の悪い作りは、分かりやすいくらいにイケてないです。
とはいえ、もしかしたら他のメーカーが同等製品を作ったら、この価格では出せなかったのかもしれないし(逆も言えるけど)、デザインとか使い勝手にこだわらず、高音質コーデックに注目するのであれば、確実にオススメできる製品です。