中華イヤホンの勢いがすごい……
先日、中国KZ社のAS06というカナル型のイヤホンをレビューしたんですが、度肝を抜くクリアな音質で、しばらく夢中になって使っていました。
調べてみると、中国メーカーのイヤホンが着実に進化しているようで「中華イヤホン」として日本でも(いい意味で)話題になっていました。
高価なはずのバランスド・アーマチュア(以下、BA表記)ドライバを惜しげもなく大量投入する「多ドラ」構成で、クリアかつ解像感のある音質を実現しているのが特徴です。
オーディオに国境はありません!
他の中華イヤホンも気になってきました。
5ドライバ(BA4基+DD1基)のイヤホン「CCA C10」
KZ AS06がBAのみであの出来ならば、ハイブリッド構成(BA+ダイナミック・ドライバ、以下DD)ならどうなるんだろうと探してみたところ、5,000円以下で4BA+1DDという5ドライバ構成のCCA C10というイヤホンを見つけました。
お値段も手頃だし、買って試してみることにしました。
5ドライバ搭載 CCA C10をレビュー
AS06同様、小ぶりなコンパクトパッケージです。
内箱はこのように、亜鉛合金製プレートのデザインを全面に押し出したものになっています。「10 Units Hybrid Technology Earphone」とあります。左右×5ドライバユニットなので計10ユニットということですね。
内容物は、ごくごくシンプル。CCA C10本体に、マニュアル、イヤーピース 4セット(1セットはC10に装着済み)、2pin-3.5mmイヤホンケーブルになっています。マニュアルは日本語ではありませんが、イヤホンなのでマニュアルは不要でしょう……。
お待たせしました、こちらがCCA C10です。
亜鉛合金製プレートは、指先で触れると冷んやりします。
亜鉛合金製プレートはオモテ面だけで、筐体は樹脂製です。金属が使用されていると重そうなイメージがあるかもしれませんが、全然軽量ですね。
半透明なので、内部構造がよく見えます。このカラーリング、見覚えがあるなと思ったら、初代iMacのトランスルーセントなボンダイブルーに似ているんです。
個人的に気に入っているのが、このイヤホンケーブル。シュアがけできるようにケーブルカバーが付いている上、コネクタ部分も金属製になっており着脱しやすい剛性があります。LRで色分けしてあるのも好印象です。
それでは、GRANBEATに接続して聴いてみます。
4BA+1DD=5ドライバの音質は?
手持ちの聴き慣れた曲で一通り聴いてみての第一印象は「優等生だな!」でした。高音をキンッキンさせることもなく、低音をドンドコ響かせるわけでもなく、すべての音域を丁寧に鳴らす、優等生です。
解像感が良く音離れするので、ドラムのヘッドのかすかな振動や、ピアノの鍵盤の重さ、楽器の一音一音がよく響き、豊かな音場を作り出します。
一方で、音のエッジがまろやかで、もう少し鋭さが欲しいように感じます。ボーカル曲はやや弱い印象を受けました。ここはイコライザでの調整が必要かも。
KZ AS06との比較
さて次は、価格が近いCCA C10(写真左)とKZ AS06(写真右)を比較してみます。AS06のほうが一回り大きいことがよく分かります。
ノズル部分の仕上げには違いがあります。AS06(写真左)はメッシュ仕上げで、C10はパンチングメタルのような仕上げになっています。
KZ AS06、CCA C10、両方のイヤホンをそれぞれ聴き比べてみます。
両イヤホンで同じ曲を聴き比べてみると、3BAのKZ AS06は高音域がキラキラしているんですが、意外と低音域もドンドンと際立っていることが分かります。AS06いい音出すな〜と。
しかし、その後に4BA+1DDのCCA C10を聴いてみると、明らかに音色が増えていて、補完されている音域があることが分かります。AS06もCC10もお互い綺麗な音ではあるものの、AS06は高・中・低音域それぞれに尖った山があり、C10はフラットな山ができている、そんな印象でした。
聴き続けているとC10の方が楽しくなってくるんですが、AS06は分かりやすく音が際立つので、初聴きだとAS06の方が音がいいと感じてしまいます。
まとめ
こうして聴き比べてみると分かりやすく個性の出ている格安多ドラのイヤホン、面白いです。CCA C10はバランスの良さから長く聴き続けられるイヤホン、と感じました。
次は、Lightningコネクタで聴けるよう、リケーブルしたいです。
【追記】言ったそばから2pin用のLightningケーブル買ってしまいました。
【さらに追記】FOSTEX TM2を使って、完全ワイヤレスイヤホン化してみました。
しかし、この音質で5,000円以下の価格を実現するのは、日本メーカーにとっては脅威ですね……中華イヤホン恐るべし……。