iPhone7シリーズを購入された方なら、イヤホンを挿す際にLightningアダプタを使用されていると思います。ただ、このアダプタが細くてヤワなので、いつ断線するのかと慎重になります。
となると、Lightning端子に直接挿せる「Lightningイヤホン」がいいなと思うわけですが、この市場はまだまだ立ち上がったばかり。製品もまだまだ少ない状況です。
Lightningイヤホンラインナップ
最新のLAM2を搭載したパイオニア製のLightningイヤホン。当初はauのみの限定販売でしたが、一般販売が開始されました。音楽を聴きながら充電できるよう、Lightningポートが別途搭載されています。
AKGからもLightningイヤホンが発売されました。
Amazonで検索すると一番目に出てくる(2017年4月現在)Lightningイヤホン。SHUREのRMCE-LTG同様にLAMを搭載しています。
本製品の商品説明には「Apple社製C68Eライトニング端子とLightning Audio Moduleが内蔵された半Apple社製品」とあります。実際にレビューしてみましたので、LAMに興味のある方は読んでみてください。
イヤホンそのものではありませんが、MMCX端子を搭載したSHURE謹製のLightningケーブル「RMCE-LTG」です。SHUREのSEシリーズなど、MMCX端子を搭載したイヤホンをLightningイヤホンに変えることができます。LAMを搭載しており、綺麗な音を鳴らしてくれます。
本製品のレビューはこちらです。
JBLの高級Lightningイヤホン。JBLブランドの製品なので、音質には期待できそうです。
リンクスインターナショナルのIC-Earphoneシリーズは、イヤホン端子が廃止される以前からLightningイヤホンを出していました。先見の明があったというべきか。カラーバリエーションも豊富です。
ハイレゾ対応のLightningアダプタを出しているRADIUSも、当然のようにLightningイヤホンを出しています。お値段はお高め。
PC周辺機器メーカーとしておなじみサンワダイレクトの製品。音に関しては分かりませんが、製品自体の安心感があります。
先日、BluetoothイヤホンをレビューしたOKCSC社の製品。Bluetoothイヤホンの音もよかったので、これも期待できそう。
ハイレゾ対応を謳うLightningイヤホン。価格は1万円近いです。
こちらは5,000円を切る価格が魅力のLightningイヤホン。
そして、今回レビューするのがAnkerのLightningイヤホン、SoundBuds Digital IE10です。ハイレゾ対応を謳っていて、5000円ちょっとというコスパのいい製品です。
AnkerのLightningイヤホン、SoundBuds Digital IE10をレビュー
届いたパッケージは、なんと黒塗りの豪華なやつ。いつものホワイト×ブルーパッケージじゃない!
反射して分かりづらいんですが、ロゴがシルバーで光っておりますよ。高級感ある……!
パッケージを開くと、整然と製品が収まっております。
アルミニウム仕上げの美しいドライバーユニット。高級感があります。
そして、本製品の最大の特徴である、Lightningコネクタ。
中身はこちら。SoundBuds Digital IE10本体、イヤーチップ(S/M/L)、低反発イヤーチップ、イヤーフック(S/M/L)、クリップ、トラベルポーチ、マニュアル類となっています。
トラベルポーチは、内部にメッシュポケットを持つので、クリップや予備のイヤーチップなどを入れておける。
SoundBuds Digital IE10のドライバーユニット。アルミ製の筐体が美しい。
イヤーフックとイヤーチップはバラバラに取り外しが可能。
左耳側のケーブルに備え付けられているマイク。
そして、こちらがケーブル上にあるリモコン。ロゴ側にはボタンはなくとてもシンプルな仕上がり。
マット素材の裏面には操作ボタンがある。
側面にあるスイッチは、イコライザーモードの切り替え用。
3つのイコライザーモード(バランス、クリアボイス、スーパーバス)を備えていて、押すごとに切り替えが可能。現在のモードはLEDが光って知らせてくれる。
そして、こちらがLightningコネクタ。コネクタ部分はスリムにできているので、よほど狭いケースでない限りは入ると思われる。
Lightningコネクタに挿すと、対応Appがインストールされていない旨のメッセージが表示される。無視しても問題ないが、せっかくなのでAppStoreに飛んでみる。
Ankerのアプリだった。将来的にイコライザーモードのアップデートをこのアプリで行うのかもしれない(あくまで予想)。
他社製イヤホンと比較してみる
SoundBuds Digital IE10はハイレゾに対応しているということで、手持ちのハイレゾイヤホン&高級イヤホンで聴き比べをしてみた。
1つ目は、格安のハイレゾイヤホンとして話題になったSATOLEX Tubomi DH298-A1。これにApple純正のLightningアダプタを接続する。
もう一つは、そのTubomiにLightning直結のDACアダプタTAKTを接続したもの。
高級イヤホンとして、SHUREのSE425にApple純正アダプタを接続したもの。SE425は実売で3万円近いため、反則のような音を聴かせるのだけど、今回はあくまで比較用として。
音源に用いるのは、mora.jpやe-onkyoで購入したハイレゾ音源。DSDを1種類とflacを2種類、iTunesで買ったAACを2種類、合計5種類。ハイレゾ音源はiPhoneアプリのONKYO HF Player、通常音源はミュージックアプリで再生した。音の評価は、◎(超いい!)、○(いい!)、△(微妙)、×(最悪)の4段階にした。あくまで個人の主観ということで。
チュニジアの夜 (HANK JONES) DSD 2.8MHz/1bit HF Player | スター・ウォーズ (John Williams) flac 192kHz/24bit HF Player | リライト (ASIAN KUNG-FU GENERATION) flac 96.0kHz/24bit HF Player | Another Day of Sun (La La Land Cast) AAC 44.1kHz/16bit ミュージック | TOKYO GIRL (Perfume) AAC 44.1kHz/16bit ミュージック | |
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Tubomi | ○ 音の押し出しに迫力がある。元気のある音。低音が強め。表現力が高い。ステージ最前列で味わっているよう。 | ○ コンサートホール全体を揺らすような迫力のある音を鳴らしている。低音の広がりがよく、一つ一つの音を楽しめる。 | △ ベースやドラムの迫力が出ているものの、ボーカルの明瞭さが失われているような気がする。全体に少しくぐもった感じがして、ハイレゾらしさには欠ける。 | ○ 導入のピアノから音の広がり、多彩なボーカルの広がりから素直な音がなり、映画の1シーンが目の前に広がるような豊かな表現力を持っている。 | ◎ 前奏の空間を感じる音、耳を震わせるシンセサイザーの音が気持ちいい。低音の押し出しもよく、迫力がある。 |
Tubomi + TAKT | ○ 音がマイルドになり、全体のバランスが良くなる。主張の強かった低音が抑えられる。音の抜けが良くなり、解像感が高い。空気が研ぎ澄まされ、ドラムの膜のはねる音まで聞こえるよう。 | △ 解像感は高くなるが、迫力としては純正アダプタの方がいい。高音域の広がりが上がり、全体のバランスが整うように鳴った。映画的な迫力を感じるにはTAKTなしの方がアリ。 | ○ ライブハウスで聞いているような空間の震えがある。ボーカルに明瞭さが出て、曲としてのまとまりが感じられる。ただし、元々の低音の強さが抑えられ、迫力には欠ける。 | ◎ 聴こえなかった音が聞こえてくる感覚を味わえる。後半の盛り上がりから、一瞬の静寂まで、Tubomi単体と違って、一段と解像感が上がる。 | ◎ 音の広がりが増し、ボーカルが際立つ。低音はやや抑えめに、中音域、高音域のレベルを引き上げ、空間を広げてくれる。 |
SoundBuds Digital IE10 | ○ 解像感よし。空気を震わす音がよく出ている。低音に少し迫力が足りないか。音の抜けがいい爽やかな音、空間が見えるよう。観客席の真ん中で聞いているみたい。 | ○ 高音と低音に伸びが足りないものの、空間の広がりを感じられる。全ての音がバランスよくなっていて、近くの楽器、遠くで鳴っている楽器まで分かる。 | ○ スーパーバスモードに切り替えて試聴。低音を強調したモードだが、そもそも低音が弱いイヤホンなので、これでちょうどいい。ボーカルは明瞭。 | ○ 全体の音の輪郭を感じることができ、ボーカルにも力が出ている。解像感と迫力がうまくバランスされている。 | △ ボーカルが強めに出ている。高音域の押し出しが強い分、低音が弱くなる印象、他のイヤホンと比べてしまうと迫力不足が否めない。 |
SHURE SE425 | ◎ 全ての音がバランスよく、全てがハイレベルにまとまっている。サックスの音の震えから、ピアノの鍵盤を揺らす音、ドラムの爆ぜる音、バンドが自分のためだけに演奏しているよう。 | ◎ 最新の音響技術を駆使した映画館の中で聴いているように錯覚する。豊かな音場が展開され、いつまでも聞いていたくなる。 | ○ 目の前で歌っているような迫力と、解像感のある音。ボーカルもベースもドラムも際立つ音は、これがアジカンの音だと感じる。 | ◎ ピアノの音に深みと艶やかさが加わり、一音一音が整列しているように美しいハーモニーを聞かせてくれる。まるで映画の中に入り込んだような没入感をもたらしてくれる。 | ◎ ライブホールで聴いているような迫力と、くっきりとした音の輪郭がわかる解像感。全てがハイレベルな音で、AACでもこの音が出せるという、新鮮な驚きが味わえる。 |
※SoundBuds Digital IE10はイコライザーモードで切り替え可能だが、基本はバランスモードで聴き『リライト』だけ音がおかしかったので、スーパーバスモードに切り替えた。
まとめ
Anker製のイヤホンらしく、中音域のクリアさが目立つ製品。今回、Lightning接続に対応したことで、リモコン部分に内蔵されたDACでイコライザーモードを切り替えるなど、パッケージのみならず細かいところにまで行き届いた配慮を感じる製品だった。
Lightningイヤホンの入門編としてオススメ!