Bluetoothでも高音質化を実現するワイヤレスヘッドホンアンプ
今やワイヤレスイヤホンといえば、完全ワイヤレスイヤホン(左右独立型)が全盛期です。年単位でトレンドが変わり、最新モデルも1〜2年で陳腐化してしまうという進化の早さです。
ただ、そんな完全ワイヤレスイヤホンにおいても「音質」という点においては、高級品でも改良の余地ありです。今回紹介するようなワイヤレスヘッドホンアンプと、まだまだ差があるのが現実です。
iFi audioからBluetoothレシーバーが登場!
iFi audioといえば、英国に本社を持つオーディオメーカーで、これまでにZEN DACなどのポータブル製品はありましたが、どちらかといえばデスクトップオーディオのイメージでした。
そんなiFi audioから登場したワイヤレスヘッドホンアンプが、今回紹介する「GO blu」です。
いい評判の多いiFi audioの製品ということ、これまでのワイヤレスヘッドホンアンプとは一線を画すデザイン性の高さ、こういった点で興味が湧き、購入してみることにしました。
GO bluは、日本で2021年10月下旬発売予定とアナウンスされていましたが、待てども待てども報せはなく、11月18日にようやく発売となりました。待ってたよ!
iFi audio GO bluをレビュー
パッケージは片手で持てるほどのコンパクトサイズ。本体も相応に小さいことが期待できます。
パッケージ側面には、対応するコーデックのロゴが行儀よく整列していました。詰まってますね。
GO bluのサポートするコーデックはBluetoothレシーバーの中でもかなり多く、LDACやaptX HDだけでなく、HWAや低遅延のaptX Low Latency、Androidスマホでの採用が進むaptX Adaptiveに対応します。
内容物は、USBケーブル(USB-C to USB-A)、GO blu本体、キャリングケース、マニュアル、保証書となってます。
マニュアルは英語表記でしたが、特に難しくはありません。気になる方は、iFi audio 日本語ブランドサイトで日本語マニュアルをダウンロードできるので、確認してみてください。
iFiが新たにお届けするGOシリーズの第1弾は、超小型超軽量、そして超高音質のフルバランスBluetoothレシーバー GO bluです。
GO blu | iFi audio 日本語ブランドサイト
GO blu本体のコンパクトさを見てください。EarStudio ES100やQudelix-5Kのような小ささです。ジッポーサイズとも言われています。
持って分かるのは、質感の高さです。GO blu本体のデザインについて、詳しく見ていきましょう。
iFi audio GO blu レビュー
パッケージの写真からは木製プレートのような印象を受けますが、実際にはヘアライン加工された銅色のプレートが取り付けられています。シンプルに配されたiFi audioのロゴが、高級感を高めてくれます。
天面には、ステータスLED、4.4mmバランス出力端子、S-Balanced 3.5mm出力端子があります。
4.4mmバランス出力端子の位置が、GO bluのアイデンティティを物語っているように見えます。
左側面には、電源ボタンがあります。長押しでオン・オフできます。このボタンには面白い機能があって、ダブルクリックすることで、現在受信しているコーデックを音声でアナウンスしてくれます。iPhoneで接続しているときは「エー・エー・シー(AAC)」とアナウンスしました。
底面には、ファクトリーリセットのスイッチ、USB-C入力端子、電池残量LED、マイクがあります。マイクは、スマホとペアリングした状態であれば、ハンズフリー通話に使用できます。このマイクには、高品質なCMOS-MEMを使用しているそうです。
背面には、各種シールが貼ってあります。高級感のあるGO bluの中で唯一散らかっている面とも言えます。この手のワイヤレス製品では、技適シールが悪目立ちしますね。
右側面には、マルチファンクションノブとサウンドエフェクトボタンがあります。
そして、GO bluのデザイン上のアクセントになっているのが、このマルチファンクションノブです。
このマルチファンクションノブ、さらに詳しく見ていきましょう。
マルチファンクションノブは、最高品質のクロノダイアル
このマルチファンクションノブはクロノダイアル(ChronoDial)と呼ばれ、腕時計の竜頭と同じように機能します。回すことでアナログのボリュームコントロール、ロゴの入ったボタンで再生・停止・前後曲へのスキップが可能です。
このダイヤルの美しさは、ベリリウム・コバルト銅コーティングを施した304ステンレススチールを精密加工することで実現されています。回すごとに軽めのクリック感でカチカチと音がします。これが心地良いのです。
そして、プッシュボタンは、AL6063アルミニウムを精密なCNC加工することで作られています。軽い押し心地で、正確なクリック感があり、質感の高さを物語っています。
いや、もう、写真撮っていてもテンションが上がる美しさです。
純正ケースの「GO blu case」発売開始!
iFi audioから、GO blu専用のケース「GO blu case」が発売されました。本革製の上質な手触りに、背面にはクリップも備えます。
GO blu caseのレビュー記事は下記からどうぞ。
GO bluはわずか27.0gの魅力的な“軽さ”
Bluetoothレシーバーの中でも、GO bluのライバルとなりそうなのが、FiiOとShanlingの製品でしょう。写真に写っているのはFiiO BTR5(写真左)とShanling UP4(写真右)です。2021年11月現在、FiiOはBTR5 2021、Shanling UP5が最新製品です。
いずれの製品も、この小ささでは考えられないほど素晴らしい音質と迫力を出してくるんです。ただ、使っていて気になるのが重さです。
例えば、見た目にスリムなスティック状のFiiO BTR5は、このサイズとしてはずっしり重い44.0g。
Shanling UP4は38.1g。このあたりの重量でも、シャツの胸ポケットに入れていると重く感じ、存在感があります。
一方で、GO bluはどうなのかと言えば、超軽量を謳っているだけあって、27.0g。BTR5の60%程度の軽さです。GO bluほどであれば、胸ポケットに入れていても存在感は薄めです。10g程度しか違わないのに、けっこう違いますね。
ただし、軽さのぶん、他社製品よりも連続再生時間は短くなっている点は注意が必要です。(GO bluは最大8時間、Shanling UP5は最大15時間)
もちろん、軽さだけでいえばもっと軽い製品もあります。例えば、ソフトウェアで着々と機能アップしていくQudelix-5KはGO bluよりやや軽い25.3g。
高音質Bluetoothレシーバーの先駆けともいえるRADSONE EarStudio ES100に至っては、20.8gと超々軽量級です。
もちろん機能差・性能差もあるので、簡単に比較できるものではありませんが。
気がつけば様々なBluetoothレシーバーを買ってみましたが、どれも一長一短あっていいんですよね。
高音質なBlutoothレシーバーは他にもたくさん出ているので、興味のある方はこちらのまとめを見てみてください。
4.4mmバランス接続できる“短い”イヤホンケーブルを探す
Bluetoothレシーバーの宿命なんですが、接続するイヤホン自体は有線です。そのイヤホンのケーブルが長すぎると、スマホやDAPに直結するのと変わらなくない?というジレンマに陥るんですよね。
GO bluも同様なので、ケーブルはできるだけ短くしたい。でも、ケーブルには妥協したくない。そこで今回購入したのが、onso(ひさご電材)のiect_03_bl4mです。4.4mmバランス接続が可能で、その長さは65cmしかありません。
ひさご電材のサイトでもBluetoothレシーバー利用を前提に作っていることが明言されています。胸ポケットに入れても、ケーブルが少し垂れる程度の余裕があるので、引っ張られるような窮屈さはありません。
onso iect_03_bl4m 0.65mのレビューは↓こちらから。
3.5mm接続でよければ、もっと短い38cmのケーブルもあります。このケーブルだとMMCXだけでなく2PIN仕様のものもあります。
プラグ部がゴールドで仕上げられたiect_03_bl4mと、GO bluのデザイン上の相性は抜群です。
ちなみに、イヤーピースにはSpinFit CP100+を使用しています。低反発イヤーピースの方が遮音性や低音強化に有利ですが、SpinFitイヤーピースはフィッティングが柔軟で、装着感が軽いので、外で使うのに向いています。
iPhoneのAACでも十分に高音質?X-BassとX-Spaceの効果は?
GO bluは多種多様なコーデックに対応していますが、iPhoneで使うならAAC一択です。Apple Musicの音源を聴いてみました。
iFi audioの製品を使うのは初めてなんですが、音場の広さと解像感の高さが際立っています。完全ワイヤレスイヤホンで聴き尽くした楽曲も、目が覚めるような魅力を発揮します。
解像感の高さは、ピアノの精緻な音色や、弦楽器のストリングスで発揮されます。エッジの美しさ、音の深さ、そして音場の広さと相まって、清々しいほどの綺麗な音が鳴ります。
また、GO bluには、高音質化機能として「XBass」と「XSpace」が搭載されています。XBassをオンにすると低音が強化され、XSpaceをオンにすると音場が広がります。
マルチファンクションノブの下にある、セッティングボタンを押すごとに、XBass(LED:イエロー)→XSpace(シアン)→XBass+XSpace(ホワイト)→Off(消灯)と切り替わります。
XBassとXSpaceの効果は、体感で10〜20%くらいアップします(個人の感覚です)。ただ、XBaseとXSpaceがオフでも十分にいい音なので、ぜひしばらくはオフのまま使ってみてください。
GO bluをUSB接続すれば、USB DACとして使える
GO bluは、USBケーブルでPC/Macに接続することで、USB DACとして使用することができます。高音質であることに加えて、4.4mmバランス接続できることが魅力です。
私のお気に入りの有線ヘッドホンMDR-1AM2が4.4mm接続できるので、GO bluを介すことでMacで使えるのがいいですね。
じゃあ、iPhoneでも有線接続できるんじゃないか!?と、定番のLightning – USBカメラアダプタを介して接続してみました。
カメラアダプタと言いつつ、実質OTG対応の変換アダプタなので、オーディオ関連でもよく使われています。
接続してみたものの「Cannot Use Accessory」の表示が出ました。電力不足なので使えません……。
電源の取れるApple Lightning-USB 3カメラアダプタなら、あるいは使えるのかもしれません。しかし、そこまでして使うくらいなら、素直にiPhone対応のUSB DAC買う方が良さそうです。
iFi audio GO bluのまとめ
音がいいのはもちろんのこと、注目すべきはモノとしての完成度の高さでしょう。さながら高級オーディオのような仕上がりになっていて、所有欲を満たしてくれます。お値段もそれなりではありますが、このカテゴリの製品の最高峰の一つとして、ふさわしい性能とデザインを持った逸品です。文句なく星5つです。