出ましたね、Panasonicの完全ワイヤレス
2020年、完全ワイヤレスイヤホン市場についにPanasonicが参入しました。これで主要なオーディオメーカーはほぼ参入したことになります。
Panasonicの最上位完全ワイヤレスはテクニクスブランドで登場
Panasonicの完全ワイヤレスイヤホンは、ローエンドのRZ-S30W、ミドルレンジのRZ-S50W、そしてハイエンドのEAH-AZ70Wという3カテゴリーのラインナップになっています。
このうちEAH-AZ70Wは、Panasonicブランドではなく、高級オーディオブランド「Technics(テクニクス)」の名を冠してリリースされました。
ただ、私自身がオーディオに興味が出てきた頃にはテクニクス製品はもう出ておらず、それほど思い入れはないのですが、それでも高級ブランドとしての意気込みは感じることができました。
Technics EAH-AZ70Wをレビュー
こちらがテクニクス EAH-AZ70Wのパッケージ。ブラックのパッケージに、ホワイトの帯をあしらった特徴的なデザインです。
背面にはEAH-AZ70Wの特徴が明記されています。
内箱もブラックで、中央に「Technics」ロゴが描かれています。
中箱にTechnicsロゴの見えるマニュアルが入っています。
そしてようやくEAH-AZ70Wとご対面です。
パッケージに収まった状態からわかる、EAH-AZ70Wと充電ケースの高級感!
内容物としては、マニュアル類と、充電ケース、EAH-AZ70Wの左右ユニット、イヤーピース、USB充電ケーブルとなっています。
シリコン製のイヤーピースは、S/M/L/XLが付属していますが、このうちMサイズだけ本体に取り付けられているので、ブランクになっています。
それでは、美しいEAH-AZ70Wと充電ケースを見ていきましょう。
美しすぎる、EAH-AZ70Wの充電ケース
EAH-AZ70Wの充電ケースは、上面がヘアライン処理された金属パネルになっており、Technicsロゴが刻印されています。もうこれだけで高級感に溢れています。
背面には、充電用にUSB Type-C(以下USB-C)ポートが備えられています。
充電ケース全体はアルミ素材で構成されており、ラウンドフォルムで柔らかい雰囲気ですが、天面と底面はソリッドな印象です。中央に見える3つの切り欠きは充電状況を示すLEDです。
それでは、この充電ケースとEAH-AZ70Wを組み合わせて見ていきましょう。
完全ワイヤレスイヤホンに美しさを感じる、まさに高級品
充電ケースに負けず劣らず、EAH-AZ70W自体も美しくデザインされています。
EAH-AZ70Wの左右ユニットを、充電ケースに収めます。ズレもなくカチャッと収まる様子は、イヤホンと充電ケースの精度の良さを表しています。
充電状況を表すLEDは、白く発光します。
EAH-AZ70Wのハウジングの外側は、スピン加工を施されており、こちらも美しく仕上げられています。この面はタッチセンサーにもなっています。
充電ケースが気持ちよく閉まるよう、クッション材が入っています。
充電ケースを開けた姿もサマになる美しさです。
どの角度から見ても美しく仕上がっています。
EAH-AZ70Wの重量は、73.1gとけして軽くはないですが、完全ワイヤレスイヤホンとしては平均的な重さです。
褒めるところは多いものの、ちょっとだけ苦言を呈すると、表面のメタルな雰囲気とは違って、内側はいかにもプラスチックだったので(特にフタ)、そこは惜しいなと感じました。かと言って、全面的に金属を採用して重くなるのも困りますが……。
EAH-AZ70Wは、まあるく大きい
EAH-AZ70Wの左右のユニットを見ていきましょう。ゆったりした丸みを帯びており、やや大きめ。内側には6箇所の充電端子があります。
側面にある穴は、ノイズキャンセリング用のマイクです。(通話用マイクも兼ねています)
反対側の側面にあるのは、通話用マイク。このほかに、内側にもノイズキャンセリングマイクがあり、周到に配置されている印象を受けます。
EAH-AZ70Wは大ぶりではあるものの、イヤホンそのものは軽く仕上がっており、左右合わせても12.6gしかなく、持ってみると「軽い」と感じます。
実際にEAH-AZ70Wを装着してみました。耳に深く差し込んでいるつもりですが、外への出っ張りは多め。
こうして写真で見ると、EAH-AZ70Wがこぼれ落ちそうですが、実際にはガッチリとホールドされていて、走っても落ちませんでした。
ただ、他の完全ワイヤレスイヤホンと比べてもやや大ぶりで、軽いので長時間つけていても負担には感じませんが、耳への圧迫を感じる方はいるかもしれません。
購入を検討されている方は、一度店頭で装着感は確認してもらった方が良さそうです。
iPhoneとペアリングして聴いてみた
iPhone 11 Pro Maxとペアリングして聴いてみました。接続すると、「ブルートゥース接続しました」とキレのいい日本語の女声のアナウンスが流れます。日本人向けの製品だなと感じます。
音質は、目が覚めるほどの美しさ。充電ケースやイヤホンの美しさに比肩する音の美麗さがあります。高音はどこまでも伸びやかに、低音は凛として引き締める。満を辞して登場しただけのことはある、素晴らしい音質です。
数多ある完全ワイヤレスイヤホンの中でも、EAH-AZ70Wの高みに達しているものはほとんど無いのではないでしょうか。
ただし……洗練さに欠けるスマホアプリ
EAH-AZ70Wの細かい設定は、スマホアプリの「Technics Audio Connect」で行います。ただこのアプリ、EAH-AZ70Wの完成度に比べると、やや見劣りがします。
その最たるものが、アプリのオープニングアニメーション。これだけ高級感を打ち出しておきながら、上下に黒帯が見えてしまっています。世界観を壊すこの見せ方、気にならなかったのでしょうか……。
アプリのトップ画面は、アイコン大きめで表示も分かりやすくなっています。
サウンドモードは、プリセットとイコライザー、オフが選べます。
外音コントロールも、ノイズキャンセリングと外音取り込み(アンビエント)、オフが選べます。
アプリの一画面一画面が余白を持て余しているにも関わらず、メニューを選択するごとに画面の遷移が発生し、緩慢な印象を受けます。機能面は問題ないものの、比較対象の他社製品はいずれもアプリが洗練されており、どうしても見劣りしてしまいます。
このTechnics Audio Connectアプリに感じる未完成さは、Technics第1世代であるがゆえの問題なのでしょうが、高級ブランドとしての価値を下げかねないと感じています。
ノイズキャンセリングと外音取り込みの精度は?
ノイズキャンセリングについては素晴らしく、騒がしい電車の中でオンにすると、途端に静寂が訪れます。EAH-AZ70Wの音の体験を後押ししてくれます。
ただ、アンビエント(外音取り込み)については、AirPods Proの周囲に溶け込むような外音取り込みと比較してしまうと、マイクで拾って再生した感じがあります。周りの音を聞く、という意味では問題ないのですが、自然さには欠けます。
また、電車の中で聴いていると、たびたび片方の音が途切れることがありました。発生するときには頻発するので、電波に関しては弱い印象を持っています。(追記:2020年8月現在、最新のファームウェアでも状況は変わりません)
まとめ
音質は非常に素晴らしく、「凛として瑞々しい」音です。音質だけでいえば、ハイエンドの完全ワイヤレスイヤホンの中でも随一でしょう。これは高級ブランドたるテクニクスの面目躍如といったところ。自信を持ってオススメできる音質です。
ただし、(ハードの出来に比べて)完成度がイマイチなアプリや、不安定な接続など、他社製品と比べて、目に付く箇所もあります。もっとも、これらは今後のアップデートでも改善する可能性を秘めているため、1年経つと評価は変わっているかもしれません。
素晴らしいところと、そうでないところが混在してしまっているため、どうしても苦言を呈したくなってしまいますが、それも期待値の高さゆえ。今後の展開に期待しています!