クラウドファンディング発の“デジカメ”
Kickstarterで話題になったデジカメがこの「digiFilm™ Camera by YASHICA」です。
Expect the Unexpected. digiFilm™ Camera by YASHICA
いったい何が話題になったのでしょうか……
digiFilm Camera by YASHICAが到着!
海を渡って到着しました。digiFilm Camera by YASHICAです。箱がベコベコに曲がっているように見えますが、これはただの模様です(紛らわしい……)。

性能については、いろいろ書いてありますが、とりあえずF2.0のレンズと1400万画素だということだけ押さえておきましょう。(後述しますが、設定できる項目がないので、気にしても仕方ないのです)

「The world’s 1st digiFilm system」と記述があります。

箱を開けてみましょう。中には、digiFilmカメラ Y35本体と、4本のdigiFilmが見えています。digiFilmのスペースが2個分空いていますが、これは6個入りセットもあったためです。

内容物としては、digiFilmカメラ Y35本体と、digiFilmが4本、マニュアル類が入っています。

こちらがdigiFilmカメラ Y35。プラスチックの質感がトイカメラっぽい雰囲気を醸し出しています。高級感はありません。

フィルム巻き戻しノブはダミーです。動作しません。アクセサリーシューもありますが、電気接点はありません。露出補正のダイヤルは、機能として動作します。

ファインダーはただの穴あきです。ここから見えたものを目安にするというだけ。実際に撮影したものとはややズレます。ファインダーの右に見えている丸は、動作確認用のLEDです。

カメラ底部には、SDカードスロットと、MicroUSBポートがあります。MicroUSBポートは充電用ではなく、PC/Macに繋いで設定を行うためのものです。電源は単三乾電池2本を使います。

レンズ部分もプラスチック製で高級感はありません。「YASHICA JAPAN」と銘が入っていますが、これはただのブランド貸しなので、日本の製品というわけではありません。

アナログ感覚が蘇るdigiFilmカメラ Y35
digiFilmカメラ最大の特徴は、このシャッターボタンとフィルム巻き上げレバーです。シャッターロックレバーを手前に引くと電源が入り、フィルム巻き上げレバーを手前に引くことで、ようやくシャッターボタンが押せるようになります。

そう、内部機構はデジタルカメラでありながら、操作機構は昭和のアナログカメラを踏襲しているのです。手間はかかるけど、味がある、そんなカメラに仕上がっています。(もちろん液晶画面もないので、SDカードの中身を確認するまで何が撮れているのか分からない)
世界初、digiFilm(デジフィルム)とは?
そして、このカメラの最大の特徴はdigiFilmにあります。デジタルカメラなのにフィルム?と不思議に思うでしょうが、これが超絶楽しいのです(後述します)。今回は4本のdigiFilmを入手しました。digiFilm 1600、digiFilm B&W、digiFilm 6×6、digiFilm 200の4本です。

カメラにこのdigiFilmを入れ替えることで、フィルムの特性に応じた写真が撮れるのです。このdigiFilm、持つと分かるんですがただのプラスチックのパーツ。取り立てて、中に何かが入っているようには思えません。

ひっくり返してみると、電気接点があります。

digiFilmカメラ Y35の裏蓋を開くと、右側に単三乾電池2本を入れるスペース、左側にdigiFilmを格納するスペースがあります。この電気接点でdigiFilmごとの設定を読むようです。

カメラの機構から、フィルムを模した仕掛けまで、アナログ感満載のdigiFilmカメラ。いったいどんな写真が撮れるのでしょうか。

実際に外に持ち出して撮影してみました。
digiFilmカメラを持って、上野〜谷中散歩!
レトロ感を求めて、上野から谷中(日暮里)まで歩いてみました。この日は晴れの予報ながら、あいにくの曇り空。
なお、カメラからの画像はトリミングなし、無加工。リサイズだけ施しています。
digiFilm B&W
B&W(Black&White)の名の通り、モノクロフィルムを模したフィルムです。
不忍池の弁天堂を遠目から。空と池のコントラストがパキッとしてます。描写は意外とシャープ。

上野動物園の不忍口前を遠景で。

「駅伝の歴史ここに始まる」本文の文字がしっかり読める解像感があります。

弁天堂の遠景。意外なほど解像感は高いです。

弁天堂横の大黒天堂。

もう一回、弁天堂。雲の模様がはっきり写っています。

道行く人たちがみんな写真を撮る、ふぐ供養碑。コントラストが強すぎて、かなり黒い。

上野動物園の仮看板。この日はパンダにものすごい行列ができていました。
上野動物園内のトキの像。

上野動物園内にある藁葺き屋根の古民家。

ハリー・ポッターで一躍人気者になったシロフクロウ。可愛いけどよくみると目元が怖い。

上野動物園を出て、上野公園内のスターバックスコーヒー。

伊賀上野NINJAフェスタ in 上野恩賜公園が開催されていました。

噴水広場。このあたりはモノクロで絵になる。

谷中近くの石材店前で。

日が沈んで、建物の上から太陽光が差している。

B&Wはここまで。
digiFilm 6×6
お次は、中判カメラのフォーマットである6×6……といってもこのカメラでは正方形フォーマットになるということ。色合いがレトロな仕上がり。
上野公園不忍口を入ってすぐのコインロッカー。

不忍池に鷹がいる。

フォーカスを合わせることはできないので、金網から背景までピントが合っている。

おうまさん。

ファインダーを覗いて撮ったのだけど、バランスがおかしい。ファインダー越しの撮影は適当になりがちだ。

めぐりんの停留所。「旧東京音楽学校奏楽堂」の文字がレトロな感じ。

ここの上島珈琲店は雰囲気が良さそうなんだけど、いつも混んでいるので入れない。

シャッターがうまく切れなくて、ふと押してしまったときの失敗写真。デジカメやスマホだとすぐ捨てちゃうやつ。

藝大アートプラザ大賞展が開催中です。

東京藝術大学です。

急に寒くなって、紅葉も進んでいる。地面には枯葉がたくさん落ちていた。

フォーカスは自分で決められないので、手前がボケてしまっている。

有名な愛玉子(オーギョーチイ)のお店。カメラのせいじゃなく、本当にレトロな店構え。

お寺の中は紅葉していた。

谷中霊園の近くをぶらぶら。

歴史を感じるファサード。

digiFilm 1600
高感度フィルムを模したdigiFilm 1600。ノイズ多めのザラッとした写真が撮れた。
上野動物園のモノレールのレール。いいカーブしてる。

上野動物園内から見た不忍池の遠景。

もう一回、上野動物園モノレール。

谷中近くのシンプルなメッセージのお店。何のお店か、聞くまでもない。周辺減光がいい感じ。

谷中の有名な昔ながらのパン屋さん。いい店構え。

どれくらいの年月でここまでになるのか。

digiFilm 200
もっともデジカメらしい普通っぽいフィルム。
上野動物園内。カワウソだったような。

ゾウのおしり。

もう一回、ゾウのおしり。なぜおしりばっかり撮っているのかというと、正面の写真映りのいいゾーンは親子連れに独占されているからだ。

上野動物園で一番かわいいと思うのがプレーリードッグだ。

ちなみに、プレーリードッグと聞くと、「プレーリードッグちゃんの目をゴシゴシ」というフレーズを思い出してしまう。言葉のインパクトがそんなに大きかったのだろうか……(けらえいこ先生「7年目のセキララ結婚生活」より)
digiFilmカメラのまとめ
ダメな点:ちゃちなハードウェア
カメラ本体が非常にチープな作りで、おもちゃ感がすごい。シャッターボタンも引っかかるような動作になっており、残念な感じ。せっかくのdigiFilmも、格納してもカチッとはまらないし、正直、開封してセットアップしている時には残念感が漂っていた。
すごくいい点:最高のフィルムカメラ体験
しかし、ハードウェアの残念感を一気に払拭してくれたのが、フィルムカメラとしての体験。フィルムを交換することで絵作りができ、フィルム巻き上げレバーを引かなければシャッターが押せず、SDカードを取り出すまでどんな写真が撮れているのか分からないというのは、スマホやデジカメに慣れきった人には新鮮に映るのではないでしょうか。
あと2種類あったdigiFilmも買っておけばよかった。
結論:このカメラは買い?
とはいえ、これをオススメ出来るかといえばそこは別問題。Kickstarterだから、このコンセプトが面白いと思って出資してみたけど、商品として売られていた場合に買うかどうかは微妙です。
正直なところ、このクオリティでは1万円以下でないとオススメできない。ハードウェアの完成度を上げて価格を維持するか、現状のままなら価格を下げないと、なかなか流行らなそう。
コンセプトは非常に面白いので、どこか同じようなコンセプトで質の良いものを作ってくれないだろうか……。