完全ワイヤレスイヤホン市場のトレンドは、オープン型のワイヤレスイヤホンを始めとしたヒアラブル・ウェアラブルといったカテゴリにシフトしつつあります。また、テクノロジー的にも次世代オーディオのLE Audioの対応製品が増え、あと2、3年もすると、ワイヤレスオーディオの市場も様変わりしていそうです。
そんな状況下にあって、カナル型の完全ワイヤレスイヤホンは、ハイレゾワイヤレスオーディオのコーデックが一般的になり、アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みも成熟してきました。つまり、安くてもいい製品が増えてきた、ということ。
逆に「差別化」という意味では、厳しい市場になりつつあります。そんな中で登場する新製品には、どんな特徴があるのでしょうか……?今回紹介する製品は、EarFun Free Pro 3です。
EarFun Free Pro 3とは?
EarFunの製品はたびたびレビューさせてもらっていますが、音質も良し、ノイキャンも強め、コンパニオンアプリの完成度も高いし、ワイヤレス充電にもしっかり対応している、音質良し・コスパ良しの製品を作るメーカーさん、というイメージです。
今回レビューするのは、「EarFun Free Pro 3」という製品です。さて、どんな製品なのでしょうか。パッケージは光が当たるとキラキラ光るオーロラ仕様です。
内容物は、EarFun Free Pro 3本体に充電ケース、イヤーピース( XS / S / M / L / XL )、イヤーフック( S / M / L )、USBケーブル、取扱説明書です。
イヤーピースは XS / S / M / L / XL と充実の5サイズ展開で、さらに低反発イヤーピース1組も付属する大盤振る舞いです。イヤーフックもS / M / Lの3サイズがあります。(イヤーピースとイヤーフックは1組ずつイヤホンに取り付けられています)
しかし、最も驚きだったのはEarFun Free Pro 3でした……。
EarFun Free Pro 3がちっさすぎてやばい!感動モノ!
ウソでしょ……と思わず声が出てしまったのは、EarFun Free Pro 3の充電ケースのサイズです。そう、圧倒的に小さいんです。
ただ小さいだけではありません、細さにも現れています。人差し指くらいの幅しかありません。
もちろんこの小ささ・細さの中に、EarFun Free Pro 3イヤホン本体が収まっています。
充電ケース込みの重量は、なんと驚きの41.7g!イヤホンだけなら左右で10.7g。これだけ軽い完全ワイヤレスイヤホンは、なかなかお目にかかれません。
もちろん小ささを売りにした完全ワイヤレスイヤホンもあるにはありますが、それらはノイズキャンセリングなどの機能が足りないものが多い印象です。ところが(後述するように)EarFun Free Pro 3は、機能を妥協していません。
こんなに小さいのに、EarFun Free Pro 3はワイヤレス充電もできる!
EarFun Free Pro 3がこれだけ小さいと、何らかの機能が削られているんじゃないかと思ってしまいます。しかし、なんとこの小ささでも、Qiワイヤレス充電に対応しています。
一番削られそうな機能だったので、ワイヤレス充電に対応しているのは嬉しい限りです。面倒だからもうUSBケーブルは使いたくない……
EarFun Free Pro 3とAirPods Pro、どっちが小さい?
さて、コンパクトな完全ワイヤレスイヤホンといえば、AirPods Proです。小型で丸みがあって持ちやすく、軽量にできています。では、EarFun Free Pro 3と比べてみるとどうなのでしょうか?
充電ケースのフタを開いた状態だと、そこまで差は無さそうに見えますが……
ケースを閉じた状態だと、その小ささは一目瞭然。EarFun Free Pro 3は充電ケースに高さが全くないのです。
容積が小さいこともありますが、スティック状になっていることで、手で持ったときのホールド感が全く違うのです。
この小ささ、圧倒的な魅力です。
EarFun Free Pro 3のイヤホンはほぼ“豆”、耳栓サイズ
それから、こちらがEarFun Free Pro 3のイヤホン本体です。充電ケースも小さかったですが、イヤホンそのものも小さいです。さらに、これだけ小さくても、earfunロゴの表面にはタッチセンサーがあります。
まるで豆のような小ささです。充電ケースから取り出す際に、落とさないか心配になってしまうほど。
充電ケースもイヤホンもその小ささは感動ものです……!しかし、音質面は果たしてどうなのでしょうか?
EarFun Free Pro 3の付け心地は、出っ張りが少なく快適!
EarFun Free Pro 3を実際に装着してみましたが、小型だけあって、耳にすっぽりと収まります(写真左)。出っ張る部分が少ないため(写真右)、落ちそうな感覚もありません。
ほとんど耳栓のような感覚で、寝て使っても良さそう。寝返りを打っても耳が痛くないので、寝ホンになりますね。
EarFun Free Pro 3をiPhoneに接続して使ってみた
ここまでのデザインや付け心地は言うことなしです。それでは、イヤホンとして肝心の機能「音質」はどうなのでしょうか?
EarFun Free Pro 3は小さくてもパワフルな音質!
iPhone 15 Pro MaxとEarFun Free Pro 3をBluetoothでペアリングして、Apple Musicの音源を聴いてみました。のっけから分かるパワフルな音質。メリハリのある音の一つ一つを、迫力のある音圧で鳴らしてくれます。とても分かりやすい「いい音」です。
1万円以下のワイヤレスイヤホンに好評価のレビューが多いのは、変にメーカーのクセがなく、素直な音がハキハキと鳴っているから。万人受けする音質です。玄人の方には物足りないかもしれませんが、(主観ですが)一般的にはこの音質で満足できる方が多いのではないでしょうか。
EarFun Free Pro 3は専用アプリで各種設定が可能
EarFun Free Pro 3は、EarFunアプリ( iOS / Android )で管理することができます。
ノイズキャンセリングと外音取り込みモードの切り替えや、タッチコントロールの変更、マルチポイント接続の管理、ファームウェアのアップデート、イコライザー、ゲームモードの切り替えなどなど、必要な機能は一通り揃っています。アプリを使わないという選択肢はないでしょう。
自分の耳に合わせた「耳適応」や「風ノイズキャンセリングモード」など、独自の機能も備えており、ハード・ソフト両面から機能が充実しています。こんなに小さいのに。
EarFun Free Pro 3はマルチポイント接続にも対応している
完全ワイヤレスイヤホンの標準機能となりつつあるのが、複数台のデバイスで同時に待ち受けできる「マルチポイント接続」です。もちろんEarFun Free Pro 3もマルチポイント接続に対応します。アプリから管理できます。
切り替えはスムーズで、ほとんど待たされることがありません。iPhoneで音楽を聴きつつ、急なiPadでオンライン会議の呼び出しでも、慌てることはありません。
EarFun Free Pro 3のノイキャン性能は、新宿駅でも使える?
EarFun Free Pro 3は、この小ささであっても、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能と、外音取り込み機能に対応しています。
この2つの機能を試すために、JR新宿駅の東西自由通路に行ってみました。理由はもちろん、東西自由通路がうるさいから。人の声もたくさん聞こえるし、アナウンスも流れます。目立った音はないのに、すべてがガヤガヤしています。イヤホンにとっては、これ以上ない劣悪な環境と言えます。
そこで、ノイズキャンセリングを効かせながら歩いてみたり、外音取り込みを効かせながら周囲の音を聞いてみました。
ノイズキャンセリングは少し圧を感じました(強さが気になりました)が、東西自由通路の喧騒をほとんどカットしてくれます。ゼロにはなりませんが、音楽を聴きながらであれば、何の不都合もないでしょう。外音取り込みはマイクから拾っている感じはあるものの、自然な聴こえ方に近くなっています。会話も短いものであれば問題ないでしょう。
数万円もする高級機にはもちろん及びませんが、主観にはなりますが、アクティブノイズキャンセリングも、外音取り込みも十分な性能がありました。こんなに小さいのに。
EarFun Free Pro 3のバッテリー持ちは最大○○時間
EarFun Free Pro 3はこれだけの小ささでありながら、完全ワイヤレスイヤホンに必要な機能をほとんど備えています。ただ、問題はバッテリー持ちです。充電ケースを小さくするためにバッテリーを減らしてしまったのであれば、本末転倒だからです。
この点は安心していいようです。スペック上はイヤホンだけで最大7.5時間(ANCオンだと最大6時間)、充電ケース併用で最大33時間(ANCオンだと最大27時間)となっています。
つまり、ANCをオンにしたとしても、1日3時間使っても、9日間は充電が不要、ということになります。こんなに小さいのに。
EarFun Free Pro 3とiPhoneを、aptX Adaptiveで接続する
EarFun Free Pro 3は、ハイレゾワイヤレスコーデックのaptX Adaptiveに対応しています。ただ、iPhoneの対応コーデックはAAC止まり。aptX系は使えません。そこで、USB-Cドングルで使えるBluetoothトランスミッターとして「Creative BT-W5」を使ってみました。USB-Cポートを採用したiPhone 15シリーズであれば、直接挿すことができます。
もちろん接続は成功、aptX Adaptiveの高音質モードが使えるようになりました。音質は、文字通り段違いですね。これまでAAC接続で「いい音だなあ」と思っていた音が、あっという間に置いてけぼりにされた感じです。この音を聞いてしまうとAACに戻れなくなりそうです。
EarFun Free Pro 3のポテンシャルは、aptX Adaptiveを使うことで発揮されるようです。パワフルすぎる、こんなに小さいのに。
EarFun純正のシリコンケースがありました
小さくて持ち運びやすいので、重宝しているEarFun Free Pro 3ですが、気軽に持ち運ぶための保護ケースが欲しくなりました。EarFun純正のケースを購入してみたので、別記事でレビューしています。
とりあえず安いので、ついでに買っておくとよさそうですよ。
EarFun Free Pro 3のまとめ「この価格なら言うことなしの満点!」
本体サイズの小ささにすっかり魅了されてしまいましたが、その小ささを感じさせないほどに性能面も充実していました。ノイズキャンセリングや外音取り込みもしっかり対応しつつ、ワイヤレス充電も使うことができ、aptX AdaptiveではAACと比べて段違いの高音質を実現しています。
1万円以下で売られているにも関わらず、これだけのクオリティが実現されてしまうと、なかなか上位製品に行こうという人はいないんじゃないでしょうか……?それだけ満足度の高い製品です。安くていいワイヤレスイヤホンを探しているのであれば、EarFun Free Pro 3はオススメです!(Amazonのセール時は特に!)