有線イヤホンはデジタル接続の時代に突入
iPhone 7の登場でイヤホンジャックが無くなって以降、iPhoneのトレンドを追うようにAndroidスマホもイヤホンジャックを廃止する動きが加速、ポータブルオーディオ市場に2つの大きな変化が訪れています。それが「ワイヤレス化」と「デジタル接続」です。
本記事のもくじ
USB Type-Cで音質をアップさせる
デジタル接続にすると何がいいのか?
これはもう、間違いなく「音質」です。iPhoneならLightningポート・AndroidならUSB Type-C/MicroUSBポートにアダプタを繋ぐことで、ハイレゾ音源などの音楽データをデジタルで伝送し、ノイズの少ないクリアな音で聴くことができます。
しかし、このアダプタが問題。スマホに標準で付属している変換アダプタは、音質のことは考慮されていないただの変換アダプタ。あくまで一時しのぎのものだと思ったほうがいいです。
音質をアップをするためのアダプターには「DAC」と「アンプ」が搭載されています。
※DAC……Digital Analog Converter(デジタル – アナログ変換器)。厳密には、付属アダプタにもDACは搭載されていますが、ここでは割愛します。
iPhoneユーザーの方は下記記事に詳細を書いていますので、ご覧ください。

USB Type-C専用アダプター
このタイプのアダプターも既存のイヤホンが使えます。ただし、USB Type-Cに固定されるため、汎用性はありません。
iBasso Audio DC01/DC02
384kHz/32bitのPCMと、DSD 11.2MHzまでのネイティブ再生に対応したアダプター。DC01はDACに「AK4493」を採用し、2.5mmバランス出力を備えています。DC02はAK4490EQを採用し、3.5mmステレオミニ出力となっています。
↓こちらはDC01
↓こちらはDC02です。
ADVANCED Accessport Lite
ADVANCED製の24bit/192kHz対応ハイレゾ・オーディオ・アンプです。iPhone用のLightning変換アダプタ(下記リンク)は、充電機能も提供していたため大きめでしたが、本アダプタは、ケーブルとコネクタのみのシンプルな作りになっています。

moshi USB-C Digital Audio Adapter
Apple製品向けの周辺機器をリリースしているmoshi社の製品で、24bit/192kHz対応のDACにG級アンプを搭載したアダプターです。アルマイト加工したアルミ製の軽量な製品で、高級感があります。
moshi USB-C Digital Audio Adapter (Silver)
下記の製品も合わせてレビューしています。

moshi USB-C Digital Audio Adapter with Charging【オススメ】
USB-Cでの給電機能が付いた、24bit/192kHz対応のUSB DAC内蔵アダプター。
nextDrive Spectra USB Type-C
USB-Aで展開していたSpectraをUSB Type-Cに対応させた製品。後継製品Spectra X / X2はクラウドファンディングで資金集めを行なっています。
COZOY TAKT C
日本未発売(2020年4月時点)ですが、COZOYからUSB-Cに対応したポータブルヘッドフォンアンプのTAKT Cが発売されています。HiFiGOでは、日本まで発送してくれます。
下記の記事にてTAKT Cをレビューしています。

USB Type-C専用イヤホン
手持ちのイヤホンを諦めて、直接接続できるイヤホンに買い直すという手もあります。このタイプであれば、アダプタ不要で使えます。
SONY USBオーディオ&ワイヤレスステレオヘッドセット SBH90C【オススメ】
専用オーディオケーブルで繋げばUSB-Cによるデジタル接続が可能になる、SONYのBluetoothイヤホンです。有線で接続した場合、高音質なハイレゾ再生(192kHz/24bit対応)が可能です。WindowsやMacともデジタル接続できます。SONYだからと言ってXperiaだけではなく、GalaxyやAQUOSでも動作検証しています(製品ページで要確認)。
ソニー USB Type-C ステレオヘッドセット STH50C
高音質なハイレゾ再生(192kHz/24bit対応)が可能なイヤホンです。ハイレゾ対応のイヤホンとしては、価格もお手頃です。
moshi Mythro C
moshiのUSB Type-C対応のイヤホンです。DAC内蔵で高音質な音を聴かせてくれます。
Razer Hammerhead USB-C ゲーミングイヤフォン
ゲーミングデバイスメーカーRazerのゲーミングイヤホン。グリーンのフラットケーブルが印象的。コネクタがLightningタイプの製品もあります。
Google Pixel USB-C イヤフォン
Googleのスマホ、Pixel用に作られたイヤホン。翻訳機能などのPixel特有の機能を除けば、汎用的に使えます。mac OS(MacBook)で音楽とSiriに使えることは確認しています。

New Bee USB Type-C NB-T1
かなり早い時期からType-Cイヤホンを発売していたNew Bee。日本での知名度は低いメーカーですが、同社のLightning版を使ったところ、出来は良かったです。

ケーブル交換可能な汎用アダプター
ケーブルの交換により、USB Type-C以外にも対応できるアダプターです。
HIDIZS S8
1万以下で買える、ケーブル交換可能なUSB DACです。USB-CやLightningなど全4種のケーブルが付属します。輸入代理店は有限会社飯田ピアノです。
COZOY TAKT PRO Ver.JP(販売終了)
もともとLightning専用だったTAKTをケーブル交換式に変更した製品。AndroidだけでなくiPhoneやPC/Macでも使える汎用性が特徴。お値段はそれなりに……。
Cozoy 超小型 ハイレゾ対応DAC& TAKT PRO 【日本限定版】
ULTRASONE Naos(販売終了)
COZOY TAKT PRO同様に、ケーブル交換式になっている製品。指先でつまめるほど小さく、それでいてこのサイズからは考えられないほどいい音を出す。お値段は、まあ……それなり。レビュー記事もどうぞ。

【国内正規品】 ULTRASONE (ナオス) DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ Naos
ケーブルをUSB Type-Cに交換する
イヤホン側がMMCX端子に対応していれば、ケーブルを換装するだけで手持ちのイヤホンをUSB Type-Cイヤホンに換えることができます。
SHURE USB-C対応イヤホンケーブル(RMCE-USB)
SHUREのUSB Type-Cケーブル。イヤホン側はMMCX端子で換装が可能です。
MMCX対応イヤホンの利点については、下記記事にて解説しています。

七福神商事 オリジナル 丸七 赤龍 USB Type-C MMCX
七福神商事から登場したリケーブル製品群。USB Type-Cだけでなく、Lightningや4.4mm、イヤホン側もMMCXや2pinが揃っています。
SHURE RMCE-USBのレビュー
SHUREはイヤホン製品のパッケージを一新、8月にリリースされたRMCE-USBもそのテイストを継いでいます。イエローからグリーンへのグラデーションが美しい。
RMCE-USBに含まれるアンプは、24bit/96kHzを処理できます。パッケージに記載はありませんが、ハイレゾに対応したスペックですね。
保証期間は2年間あるので安心です。パッケージに明記してあるとおり「Compatible with Android」で、USB-Cを搭載したAndroidでの互換性が確保されています。
RMCE-USB以外はマニュアルと保証規定が含まれます。
MMCXコネクタ周りには、ユーザーが曲げられるよう、ワイヤーが含まれています。購入時はまっすぐな状態。
シュアがけできるよう、自分の耳に合わせて曲げることができます。柔らかすぎず、固すぎず、微調整もしやすいです。SHURE純正だけあって、標準のケーブルを使っている人なら違和感なく利用できます。
SHURE純正のMMCXケーブルには、いくつか種類があるので、比較してみます。
コネクタ以外はLightningケーブル版と同じ
SHURE製MMCXケーブルをまとめてみました。左側は3.5mmステレオジャックのケーブル、中央はUSB-Cコネクタを備えたRMCE-USB、右側はLightningコネクタを備えたRMCE-LTGです。
この中でも、RMCE-USB(写真左)とRMCE-LTG(写真右)は、ホスト側(スマホ)のコネクタ以外はほぼ同じ形状をしています。詳しく見てみましょう。


コントローラユニットは同一です。

ロゴ面も同じ。ホスト側のコネクタ以外はほぼ同一製品であることが分かります。

SHURE SE425に換装して、実際に聴いてみたいと思います。

といっても、手元にUSB-Cを搭載したAndroidスマホ/タブレットは無いので……
MacBookにUSB-Cでデジタル接続
2015年のMacBook 12インチRetineモデル登場以来、Appleは積極的にUSB-Cを搭載してきました。特にMacBookはUSB-Cを1基、それ以外はイヤホンジャックしかないという徹底ぷり。
このため、MacBookにイヤホンを繋ぐ場合には、本体右側の3.5mmイヤホンジャックに差し込むのが普通です(アナログ接続)。
MacBookを使いながら音楽を聴くには、こうなります。
しかし、USB-Cがあるということは、このRMCE-USB+SE425を直結できるということ(デジタル接続)。挿してみます。
この状態で、システム環境設定から「サウンド」の項目を見ると、USBオーディオとして「RMCE-USB」が認識されていることが分かります。こちらを選択しておきます。
左側からイヤホンを伸ばすことができます。当然ですが、この状態では唯一のデータコネクタが塞がれてしまうため、充電ができません。
果たして、右のコネクタ(3.5mmイヤホンジャック)と左のコネクタ(USB-C)でどの程度音に差が出るのでしょうか?
聴き比べ
iTunesで再生するApple Music音源と、VOXで再生するハイレゾ音源(mora.jpで購入)を、2つのポートでそれぞれ聴き比べてみました。
まずは、3.5mmイヤホンジャックに挿した場合(アナログ)。『LA LA LAND』や『スター・ウォーズ』といった映画のサントラ(ハイレゾ音源)は迫力があり伸びやかな音を鳴らし、ポルカドットスティングレイやsumikaなどのボーカル曲(Apple Music)は弾むような音を鳴らします。そもそもSE425自体の性能がいいせいか、3.5mmイヤホンジャックに挿した状態でも、高音から低音まで幅の広い、迫力のある音を鳴らしてくれます。
それでは、RMCE-USBでUSB-Cポートに挿した場合(デジタル)。映画のサントラは明らかに解像感が上がります。『LA LA LAND』のテーマ「Another Day Of Sun」は明確に音がクリアになり、『スター・ウォーズ』のOPテーマは空間の広がり、楽器の余韻を感じることができます。ボーカル楽曲は、活き活きとしたボーカルに一つ一つの音が弾むように乗り、よりライブ感が増したようになります。
RMCE-USBのまとめ
アナログで接続したときに比べて、音質の総量は変わらないのですが、雑味が取れてより洗練された音になるようです。この心地よさに慣れて、3.5mmイヤホンジャックに戻すと、音が濁ったように感じてしまいます……。
SHUREのイヤホンだけでなく、MMCXに対応したイヤホンを持っているAndroid / PC / Macユーザーに薦めたいこのケーブル。難点はやはりその価格でしょうか……。
USB-Cイヤホンはまだまだこれから
市場的にはiPhone&Lightningイヤホンが先行していますが、今後イヤホンジャック非搭載のAndroidスマホが増えていくことは明らかなので、デジタル接続できるアダプター/ポタアンやUSB-Cで直接接続できるイヤホンが増えていくことでしょう。
また、Androidは、BluetoothオーディオにおいてもLDACやaptX HDなどのハイレゾ相当のコーデックが使えるようになってくるので、ワイヤレスでも音楽の楽しみが広がっていくことが期待できますね。
引き続きこのジャンルは追っていきます。それでは、また!




