EQから9ヶ月……Beoplay EX登場!
Beoplay EQはバング・アンド・オルフセンの完全ワイヤレスイヤホンとして初めてANCを搭載し、その完成度の高さを実感しました。しかし、EQの発売から9ヶ月……なんと、早くも新製品「Beoplay EX」が登場しました。しかもスポーツタイプとかミドルレンジではなく、EQの後継機種という位置付けのようです。早くない……?
ちなみに、EXは「イー・エックス」ではなく「イー・テン」だそうです。E8→EQ→EX(10)ということは、EQは……日本語読み?
バング・アンド・オルフセン Beoplay EXをレビュー
こちらがBeoplay EXのパッケージ。デザインはいつものバング・アンド・オルフセンのものです。本製品から「BEOPLAY」の表記が登場しました。
ちょっと気になったのはパッケージが粗めにシュリンクされていたこと。シュリンクの上から日本語サポートの窓口が貼ってあります。
サポートのページは検索すれば出てきますが、もしかしたら、販売店への問い合わせが多く、あえて記載したのかもしれません。
Beoplay EXでさらに小型化されるパッケージ
前機種のBeoplay EQはBeoplay E8 3rdと比較してパッケージが小型化されていました。EXでもその流れが踏襲されているようで、Beoplay EQ(写真右)よりも小型になっていました。
パッケージの面積はEXの方が小さいですが、厚みがちょっとだけ増していました。
※過去記事で掲載しているBeoplay EQ(写真左)とBeplay E8 3rd Generation(写真右)のパッケージの比較です。
パッケージの小型化の流れは、他メーカーでも加速しています。今後ももっと小さくなっていくかもしれません。
Beoplay EXは小さめフットプリント
パッケージを開けてみると、Beoplay EXの充電ケースだけが収まっていました。イヤホンは充電ケースに入ったままのようです。パッケージ省スペース化のための判断でしょうか。(EQ以前はイヤホン本体を別出ししていました)
内容物はこちら。Beoplay EX本体+充電ケースの他には、クイックスタートガイドやイヤーピース、USBケーブルが入っています。
イヤーピースは紙箱の中に収められていました。XS・S・Lのシリコンイヤーピースと、Complyの低反発イヤーピース、合計4セットです。(MサイズはBeoplay EXに装着されています)
Complyの低反発イヤーピースは遮音性を向上させるのに一役買ってくれるので、未体験の方はぜひ試してみてください。
Beoplay EXの充電ケースは高級感のあるアルミ製
こちらが充電ケース。前面にはバッテリー状態を表すLEDがあります。アルミニウム製でひんやりとした感触に、しっかりとした剛性があります。
天面にはBANG&OLUFSENのロゴ。
底面はシリコンラバーが貼り付けられています。グリップ性の向上と、Qiワイヤレス充電のためですね。
上の写真を見てもらうと、底面には各国対応の規格表記があるのですが……悪目立ちしてしまっているのがPSEシール。まさかの後付け……(先に言っておくと、Beoplay EXの不満点はここだけです)
背面には充電用のUSB-Cポートがあります。
Beoplay EXはUSB-Cによる充電のほか、Qiワイヤレス充電によるワイヤレス充電も可能です。(EQやE8 3rdでも対応していました)
バング・アンド・オルフセン製のQiワイヤレス充電パッドは、本革製で高級感があってオススメです。全6カラーあるので、イヤホンやインテリアに合わせてみるのはどうでしょう。
充電ケースを開けてみると、Beoplay EXイヤホン本体が収まっています。イヤホンのタッチ面には保護シールが貼ってあるので、剥がしてしまいましょう。
Beoplay EXのデザイン上のアクセントになっているのが、鏡面仕上げのタッチ面です。実はこの箇所の素材はガラス製。光の加減によって表情を変えます。タッチ面を取り囲むアルミニウム製のリングと相まって、見惚れてしまう美しさです。
タッチ面は光が当たると真っ白にもなりますし(写真左)、光が当たらないと黒くなります(写真中央)。このタッチ面の表情は、この後のレビュー写真でも見え方が変わります。合わせてチェックしてみてください。
今回購入したBeoplay EXのカラーバリエーションはAnthracite Oxygen(アンスラサイト・オキシジェン)。グレーとブルーのツートーン構成のカラーです。製品写真を見たときには、ゴールドやブラックのようにモノトーンの方が良くない?と思ったんですが、実物を見ると美しすぎてAnthracite Oxygen最高!ってなります。
このほかに、Gold Tone(ゴールド・トーン)やBlack Anthracite(ブラック・アンスラサイト)といったカラーバリエーションも発売予定です。これらのカラーも実際に見てみたくなりますね。
Beoplay EXは、同社の完全ワイヤレスイヤホンとしては初のスティック型です。
完全ワイヤレスイヤホンはテクノロジーの塊なので、部品点数も多く、内部スペースが限られる中で詰め込まなければなりません。スティック型にすることで内部構造に余裕ができたためか、EQでは直径6.8mmだったドライバーがEXでは直径9.2mmのものに大型化しています。音質の向上が期待できます。
スティック型には利点が多く、装着感が安定したり、装着位置の調整がしやすかったり、マイクの感度を上げられたりします。今回Beoplay EXを使ってみて、スティック型に変更したのは正解だと感じました。
ステムの先にはマイク穴。内側には充電端子のほか、フィードフォワード用のマイク穴、近接センサーが見えます。
Beoplay EXの装着感は……?
Beoplay EXを装着してみました。スティック型なので、装着位置はすんなりと決まります。安定感もあります。
Beoplay EXのハウジングは大きめですが、耳の外に露出する部分はフラットなので、スマートな見た目になります。
次は、Beoplay EXをiPhoneとペアリングして使ってみます。
Beoplay EXは、EQを明らかに上回る高音質!
Beoplay EXをiPhone 13 Pro Maxとペアリングしてみました。Beoplay EXのコーデックはaptX adaptiveに対応していますが、iOSなのでAACでの評価です。
聴き始めてすぐに気づくのは、音場の広さと解像感の高さです。バング・アンド・オルフセンの完全ワイヤレスイヤホンは初代機から音の美しさに定評がありましたが、その特徴はそのままに完成度をさらに上げています。EQのレビューの際に「これは完成形だ」と書きましたが、早くも撤回しなければならないほどに……。
完全ワイヤレスイヤホンでこのレベルの音を出せる製品は、現時点でほぼ存在しないのでは……?
Beoplay EXとEQの違いは?
さて、Beoplay EX発売時点では前機種のEQも販売中です。キャッシュバック等で実質的に値下がりしているので、迷っている方もいるのではないでしょうか。そこでEQとEXの違いを比較してみましょう。
Beoplay EXもEQも、デザイナーはThomas Bentzen。充電ケースを並べてみると、同じデザイン言語上で構築されていることが分かります。
イヤホンそのもののデザインは異なりますが、並べてみるとEQはハウジングが大きいと感じます。
充電ケース込みの重量は誤差レベルでほぼ変わりません。なお、持ちやすさはEQの方がスリムで良いと感じます。
その他、主な指標における、Beoplay EXとEQの機能比較は次の通りです。
Beoplay EX | Beoplay EQ | |
---|---|---|
ドライバー | ネオジム(直径9.2mm) | エレクトロダイナミックドライバー(直径6.8mm) |
防塵・防滴等級 | IP57 (防塵防滴) | IP54 (防塵・防滴/汗耐性) |
コーデック | SBC、AAC、aptX™ Adaptive | SBC、AAC、aptX™ Adaptive |
マイク | 全指向性 (通話用ビーム指向性) MEMS x 6 | 全指向性 (通話用ビーム指向性) MEMS x 6 |
バッテリー性能 | ANCオンで最大6時間/オフで最大8時間 充電ケース使用で最大21時間 | ANCオンで最大6.5時間/オフで最大7.5時間 充電ケース使用で最大20時間 |
マルチポイント | 2台のデバイスで同時に接続 | 2台のデバイスで同時に接続 |
重量やバッテリー容量に変化はあったものの、差はわずか。それよりも、ドライバーの変更による高音質化や、IP54→IP57による防滴性能のアップの方が恩恵としては大きいです。IP57であれば、長時間水没でもさせない限り日常生活では問題ないでしょう。
Beoplay EXとEQを比較してしまうと、音質の点でEXに軍配を上げてしまいますが、両機種ともに高いレベルにあります。他社の完全ワイヤレスイヤホンと比べても、EQでも十分に高音質です。予算に余裕があればEX、そうでなければEQでしょうか。
Beoplay EXもEQもアプリで一括管理
バング・アンド・オルフセンのこれまでの完全ワイヤレスイヤホンと同様に、Beoplay EXも公式アプリで各種調整が可能です。
アプリ内では、Beoplay EXの各種ステータスを確認したり(写真左)、タッチコントロールのマニュアルを参照できます(写真右)。
リスニングモードでは、イコライザーによる調整ができます。BEOSONICと名付けられたこの調整画面では、中央のスライダーを移動させることでリアルタイムの音質調整が可能です。
移動させる位置によって、音質のイメージがドロップシャドウで変化します。下のスクリーンショットでは、ブライト・エネルギーというキーワードに合わせてオレンジの配色に変わっています。
リラックス・ウォームならブルー、ブライト・リラックスならグリーン、ウォーム・エネルギーならパープルと、直感的なイメージに合わせた配色が採用されています。
Beoplay EXのソフトウェアアップデートもアプリから、充電ケースに入れたままインストールしてくれます。
アプリも着々と改善を重ねていて、安定感があります。
Beoplay EXのマイク性能ってどうだろう?
さて、スティック型になったことでマイク性能はどう変わったのでしょうか。ボイスメモでAirPods Proと比較したところ、両機種とも周辺ノイズも無く、クリアな音声でしたが、Beoplay EXのほうがやや開放感に優れた印象でした。Web会議等での利用を考えているのであれば、何の問題もなく使えるでしょう。
Clubhouseが瞬間的に大流行した当時、さまざまな完全ワイヤレスイヤホンでマイク性能を比較してみましたが、Beoplay(当時はE8 3rd)の音質が最も優れていると評価されました。EXでもそのマイク性能は変わらず高音質のようです。
Beoplay EXのノイキャン性能を、EQやAirPods Proと比較してみる
最後に、Beoplay EXのアクティブノイズキャンセリングを試してみます。
風の強い日に、JRのホームでBeoplay EX、EQ、AirPods Proのノイズキャンセリングをオンにして比較してみました(最大レベル)。周りには電車の走行音、乗客の話し声、アナウンスなどが流れていて、静けさは皆無です。
Beoplay EXのANCをオンにすると、周りの音がスゥーっと消える感じがあります。ただ、ホームのアナウンスや信号の音などはちゃんと拾ってくれています。マイルドなANCという印象です。なお、この日は風が強かったので、風切り音はよく入っていました。外向きにマイクがあるため、仕方ないですね。
同じ環境でEQを使ってみると、ANCのかかり方はちょっと強めで圧迫感があります。EXのほうが自然なANCです。アルゴリズムが変わったのかもしれません。EXよりも風切り音が大きめに入るようです。EQよりEXのほうがANCは進化していますね。
最後に、AirPods Proを使ってみました。周辺が無音になるようなANCのかかり方で、人の声も明らかに少なくなりました。EQやEXよりも2段階くらい上のノイズキャンセリングが効いている印象です。風切り音が無くなったので、余計に効果を実感したのかもしれません。
AirPods Pro >> Beoplay EX > Beoplay EQという順序ですね。Beoplay EXのANCに不満があれば、付属しているComplyを使うのが良いでしょう。
バング・アンド・オルフセン Beoplay EXのまとめ
Beoplay EQの登場から1年と経たずに登場したEXは、見どころ満載の機能アップを果たしていました。アルミニウムとガラスを駆使した最高級デザインに、大口径ドライバーによる高音質化、IP57の防塵・防滴性能、ANCの進化、高性能マイク、洗練されたアプリと、使えば使うほど製品の素晴らしさを実感します。
価格面で躊躇されるかもしれませんが、それだけの価値をもつ製品ではあります。力強くオススメします!