完全ワイヤレスイヤホンアダプターが増えてきたけど……
完全ワイヤレスイヤホンの普及とともに広がってきたのが「有線イヤホンを完全ワイヤレス化してくれるアダプター」。音質面で優れた性能を持つ有線イヤホンの中でも、MMCXや2pinといった規格を採用した製品を完全ワイヤレス化します。
日本ではFOSTEX、SHUREやFiiOといったメーカーから製品が出ていますが、いずれもMMCX規格で、2pin対応製品は希少な状態です(あるいはオプション扱い)。
ただ、Amazonで探してみるとTRNやKZからリーズナブルな製品がリリースされています。今回紹介するのは、その中でも抜群に安い「KZ AZ09」です。
KZ AZ09をレビュー
KZ社はリーズナブルなイヤホンをリリースする中国のオーディオメーカーです。本サイトでもKZ製品をいくつかレビューしてきました。そのKZ社が完全ワイヤレスイヤホンアダプターをリリースしていました。
驚くべきはその価格。なんと税込2,800円(購入時)。この価格なら、ちょっとお試ししようかなという気になります。
現在は、上位製品となるAZ09 Proや、AZ10が登場しています。
パッケージは、KZ製品らしくコンパクトです。
内容物はシンプルで、KZ AZ09本体に、USBケーブル、簡易マニュアルとなっています。
完全ワイヤレスイヤホンアダプターは多様なイヤホンを取り付けるため、内部スペースに余裕を持たせます。このため、どうしてもケースが大きくなりがちですが、KZ AZ09の充電ケース自体はコンパクトです。
片手に余裕で収まるサイズ感です。
参考までに、他のメーカーの完全ワイヤレスイヤホンアダプターのケースを並べてみます。中央下がKZ AZ09です。一番小さく仕上がっています。
ケースの右側面には、充電用のUSB-Cポートがあります。KZ社の完全ワイヤレス製品は、なぜか右側面なんですよね(他社製品は背面か正面)。
他社製品と比較してデザイン面で好きなのが、充電状況を知らせるLEDの形状です。分かりやすく大きいですね。好き嫌いあるかと思いますが、ハイテク感あって私は好きです。
このLEDはケースを開けたときにも見やすい位置にあります。
中央に、大きな空間があるのは、イヤホン本体を収納するため。かなり深く開いているので、巨大なハウジングを持つイヤホンでも入りそうです。
イヤホンなしの状態での重量は約96.0g。ただ、持ってみると軽く感じます。その大きさから考えると軽量です(中央が空洞ですしね)。
AZ09本体だけ取り出してみると、小さくて軽い!
Bluetooth&バッテリーユニットは黒く、ケーブルはクリアな仕上げになっています。
左右のユニットには操作用のファンクションボタンが1つずつ。
今回購入したのは2pin版です。
KZ AZ09を取り外した後の充電ケースです。イヤホンが入る場所にはクッションがあります。
なお、ケースを見てもらうと分かりますが、左右(「L」「R」)の位置が逆です。右のイヤホンを右手で取り外したら、左の位置に置く必要があります。
この配置はKZ製品でしか見たことがありません。独特ですね。(KZ社の他の完全ワイヤレスイヤホンも同様です)
KZ AZ09に、KZ ASXを組み合わせる
イヤホンとしては異例の20BAを搭載したKZ ASXを装着してみました。ASXのハウジングが巨大なので、相対的にAZ09がより小さく見えますね。
KZ ASXについては、こちらのレビュー記事で詳しく触れています。
巨大なKZ ASXですが、これが収まるように設計されているのか、無理矢理押し込むこともなく、ぴったり入りました。
KZ ASXを含めると、重量は108.8gになりました。
KZ ASXは極端に大きいので、他のイヤホンも組み合わせてみましょう。
KZ AZ09に、KZ ZAXを組み合わせる
とはいえ、KZ ASXですら入るわけで、それよりもハウジングが小さいKZ ZAXなんかは余裕ですね。
KZ ZAXのレビューはこちらから。
では、実際に耳に装着してみましょう。
KZ AZ09は目立たないコンパクトサイズ
KZ AZ09自体がコンパクトなことに加えて、ケーブルも曲がりやすくなっているので、違和感はほとんどありません。
角度によっては「有線イヤホンなのにケーブルが見えない!」となりそうです。
KZ AZ09が耳の後ろにくるんと回り込むので、引っ張られる感覚はほとんどありません。
通勤で1〜2時間付けっぱなしにしていても、不快さはないですね。
コーデックはAACまで、Androidスマホで使ってみた
iPhoneでもペアリングできますが、今回はAndroidとペアリングしてみました。対応するコーデックはSBCとAACのみです。
今回使用したAndroidスマホは、Redmi Note 10 Proです。
Redmi Note 10 Proで接続した際にはAACが選択できました。
実際に、Amazon Music HDで鳴らしてみましたが、接続しているのがKZ ASXということもあって、低価格のアダプターとは思えないほど、力強く明瞭な音が鳴ります。
当然、接続するイヤホンによって音質は変わりますが、これだけの音が鳴るなら十分過ぎます。これであの価格はお得すぎるのでは……と嬉しくなったのですが、もちろん安さなりの理由はありました。後ほど……。
AZ09のデザインはKZシリーズの完全ワイヤレスを踏襲?
さて、KZ AZ09のデザインを見て思い出したのは、KZの完全ワイヤレスイヤホンZ1(写真左)です。
カラーリングとサイズは違うものの、ケースのデザインはそっくりです。
ケースを開けてみると、AZ09の大きさが目立ちますね。
そして、KZ AZ09は、Z1と弱点も同じでした……。
KZ AZ09をしばらく使ってみたら……
組み合わせるイヤホンによるとはいえ、完全ワイヤレスイヤホンとしては十分すぎる音質です。イヤーピースが合っていれば、ANCがなくてもしっかり遮音できます。
ただ……室内で聴くには問題なかったんですが、電車がダメでした。特に混雑するエリアはテキメンに弱い。
他のワイヤレスイヤホンでも「ここ電波切れやすそう・乱れやすそうだな」というエリアでは、ほぼ100%音が乱れたり寸断します。しかも、一度乱れるとその後もブツブツ途切れることが頻発します。
前述したZ1でも同じような症状がありました。これはKZ社のワイヤレス製品が抱える弱点といってもいいです。(その後に登場したAZ09 ProやAZ10で解消していることを期待します)
KZ AZ09のまとめ
他社製品よりも圧倒的に安い税込2,800円(購入当時)というリーズナブルさ、そしてコンパクトさ、使い勝手の良さを考えると、入門編としてオススメできる製品です。電波の弱さを除いては……。