「これからの電源ケーブルはUSBで統一されるかも?」と思わせてくれるのがUSB Power Delivery(USB PD)の仕組みです。データ伝送と合わせて最大100Wまで給電できます。このため、対応ディスプレイでは映像入力と電源供給とデータ伝送が1本で済みます。
しかし、USB PDは電源を扱うため、対応機器同士でないと使えない、認証されたケーブルでないと使えない、など、一般的には分かりづらい(繋げばすぐ使える・どれでも使える、ではない)ものになっています。
そして、私が最も懸念しているのは、ACアダプターが1台にまとまらないことです。レビュー記事の一覧を見ていただくと分かりますが、まだまだ理想の一台に出会えていません。
AnkerのPowerPort Atom PD 4あたりは理想に近かったんですが、リコールとなってしまいました。
USB-ACアダプター探しの終点…か?100W対応ACアダプタ登場
そして、今回紹介するのが、クラウドファンディングサイトKickstarterで展開されていたUSB Type-C充電器です。GaN(窒化ガリウム)を使用した小型のアダプターながら、最大100Wの給電に対応します。
動画のサムネイルを見てもらうと分かるように、底面積がクレジットカードサイズなんですよね。すごく小さい。
Kickstarter >> HyperJuice: World's First & Smallest 100W GaN USB-C Charger by HYPER by Sanho Corporation
日本でも正式に発売されました。
GaN(窒化ガリウム)が、なぜ期待の新素材として取り上げられているか、詳しくは下記のレビューで解説していますので、お時間があれば読んでみてください。
HyperJuice 100W GaN ACアダプタをレビュー
パープルの縁取りが特徴的なパッケージです。周辺機器に使われるカラーリングとしては珍しいですよね。
パッケージ背面には、各国語で特徴が記述してあります。日本語の表記を見つけてもらうと分かるんですけど、パッと見で情報量多めですが、実際には1-2行分の情報しかありません。各国語で書いてあるからですね。
内容物はこれだけ。HyperJuice 100W GaN ACアダプタ本体以外には、UK/EU/AUそれぞれのプラグ形状に変換可能なアダプターが付属しています。
HyperJuice 100W GaN ACアダプタには、4つのポートがあります。USB PDで最大100Wに対応するUSB Type-C(以下USB-C)ポートが2つ、最大18Wに対応するUSB Type-Aポートが2つです。
プラグのある面に、この充電器の仕様が明記されています。USB-CポートはUSB PD3.0対応、USB-AポートはQuickCharge3.0に対応しています。
サイズ感はコンパクトなんですが、重量感はそれなりにあって、測ってみると202.2gありました。
ここで、サイズ感が似ているUSB-ACアダプタと比較してみましょう。
最大60W対応のAnker PowerPort Atom PD 2とサイズ比較
今回比較してみたのは、Anker製のUSB-ACアダプター「Anker PowerPort Atom PD 2」です。USB-Cポートを2基搭載し、最大60Wの給電能力があります。
なお、Anker PowerPort Atom PD 2の重量は178.2g(実測)、HyperJuice 100W GaN ACアダプタより20g程度軽量です。
ポート面を見ると、本体の厚みはあまり変わらないように見えますが……
HyperJuice 100W GaN ACアダプタの本体幅はそれなりに長く、正方形状のAnker PowerPort Atom PD 2と比較すると、やや大きめに見えます。
ただ、HyperJuice 100W GaN ACアダプタは4ポートで最大100W、Anker PowerPort Atom PD 2は2ポートで最大60Wなので、給電能力の差を考えると、HyperJuiceがかなり小さく仕上げていることが分かります。
Anker PowerPort Atom PD 2のレビュー記事はこちらから。
海外での利用に便利なユニバーサルタイプ&変換アダプタ
電源プラグは携帯に便利な折りたたみ式。これがあるのとないのとでは大違いです。
さて、HyperJuice 100W GaN ACアダプタは、100-240Vの電源入力に対応するユニバーサルタイプなので、付属のアダプターを使用することで、各国で変圧器なしで使うことができます。
変換アダプターは、本体のACプラグを収納した状態で差し込みます。こちらは、イギリスなどで使われるBFタイプ。
次にヨーロッパなどで使われるCタイプ。
最後に、オーストラリアなどで使われるOタイプ。
こうして見ると、国ごとにいろんな電源プラグがありますね。海外旅行のときの準備に困りますが、いざ海外のホテルに行くと日本のプラグが使えたりするので、拍子抜けしたりします。
実際に4ポート使って給電してみる
4ポートをフルに使って、給電してみます。
今回使ったのは、USB-CでMacBook Air(最大30W)、iPad Pro 12.9インチ(最大18W)、USB-AでiPhone 11 Pro Maxのワイヤレス充電(最大7.5W)、AirPods Pro(最大5W)です。私が持っているデバイスでは最大100W使い切れないようです……。
ちなみに、iPhoneをワイヤレス充電しているチャージングパッドはB&Oの完全ワイヤレスイヤホン用のもの。QuickCharge対応の充電器で急速充電に対応するので、今回の役目に最適です。
急速ワイヤレス充電器はQuickCharge3.0規格を必要とする機器が多いようなので、USB PDとQuickChargeが同居しているHyperJuice 100W GaN ACアダプタは、汎用性が高いですね。
まとめ
使ってみて感じたのは、最大100Wは4ポートあってもかなり余裕がある、ということ。iPadやiPhoneが今後、大出力の充電器を必要としても、このHyperJuice 100W GaN ACアダプタなら問題なく併用できそうです。
なお、日本ではMakuakeで展開されていました。現在はプロジェクトを終了しています。