ケーブル交換可能な「2pin」のイヤホン
2016年末あたりから試聴に試聴を重ねてSHUREのSE425というイヤホンを手に入れまして、そのSE425が「MMCX」という規格を採用していたものだから、Bluetoothケーブルに換装してみたり、Lightningケーブルに換装したりと、MMCX規格の自由さに心を奪われていたんです。
一方で、ちょっと気になっていたのが、同じケーブル交換式の規格でもMMCXとは異なる「2pin」方式のイヤホン。ただ、MMCXと互換性がないので、また初めから集め直しになるのも面倒だし、気にしないようにしていました。
GearBestさんからご連絡いただいた
それから2019年に入り、海外の通販サイトGearBestの担当者さんから「KZ AS06」をレビューしてみないか?という連絡をいただきました。こうしてレビューの依頼を受けるのは嬉しいことなんですが、該当のKZ製品についてよく知りませんでした。
KZ製品のイメージ
KZ製品といえば、Amazonでもよく名前を見かけるイヤホンメーカー。ただ、3,000円台や4,000円台の製品が多い「格安イヤホン」のイメージがあるのと、同一製品でも販売業者が複数いて値段も異なり(ニセモノをつかまされるのではないか?という心配で)、あまりいいイメージは持っていませんでした。
ただ、こうして連絡をいただけたのも何かの縁だし、ニセモノを掴まされる心配もないし、何より頭の片隅で気になっていた2pin規格のイヤホンということで、レビューを引き受けてみることにしました。
それで、GearBestさんからの商品到着までの間、KZ社とその製品について調べてみました。
’10年代の新興イヤホンメーカー“KZ”
まずは、KZ社の公式サイトから。
深圳原泽电子有限公司是耳机、入耳式耳机、头戴式耳机、小米耳机、苹果耳机、耳塞式耳机、耳机配件、金属耳机、耳机等产品专业生产加工的公司,拥有完整、科学的质量管理体系
KZ耳机,KZ官方网站,KZ official website,KZ earphone,KZ headphone,深圳市原泽电子有限公司
Google翻訳にかけると「シンセンYuanzeの電子工学Co.、株式会社は完全で、科学的な品質管理のイヤホーン、インイヤー式ヘッドホーン、ヘッドホーン、キビのヘッドホーン、Appleのヘッドホーン、イヤホーン、イヤホーンの付属品、金属のイヤホーン、イヤホーン、等の専門の製造業者です。システム」となります。つまるところ、イヤホンの専業メーカーのようです。
日本のWikipediaにも項目がありました。
KZ(深圳市原泽电子有限公司)は、中国の深センに開発拠点を置く格安ヘッドフォンのメーカーである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/KZ_(イヤホン)
KZとは、「Knowledge Zenith」というブランドの略称である。
2010年に設立されて、今現在では、100万人の登録資本金、30人の従業員が所属しており、ヘッドフォンの開発や、製造業者の取引を主に行なっている。中国市場のみならず、AliExpressやAmazonなど、ネットショッピングサイトを通して世界中に商品を展開している。
Knowledge Zenith=知識の頂点、というところでしょうか。
バランスド・アーマチュアorハイブリッド方式がメイン
KZ社ウェブサイトの製品ページを見てみると、
- ASシリーズ……バランスド・アーマチュア(以下BA)を複数採用
- ZSシリーズ……BAとダイナミックドライバー(以下DD)を組み合わせたハイブリッド方式を採用
上記2シリーズがメインのようです(他にもありますが最近はこの2シリーズ)。ただ、BA採用のイヤホンといえば、他メーカーはほとんど1万円以上する製品ばかり。それも1万円台ではBA1基がいいところなのに、KZ製品はBA3基やBA5基載せても1万円未満、それどころか5,000円以下の製品もあります。
いったいどういうことなのでしょうか……?
BA3基×2を搭載して5,000円を切るKZ AS06
今回レビューするのは、BAのみで構成されたASシリーズの最新機種「AS06」(マイク無し)です。
KZ AS06 In-ear Stereo Earphones 3BA HiFi BassEarbuds – BLACK WITHOUT MIC
※本製品のレビューにあたって、GearBest様より製品サンプルをご提供いただきました。
KZ AS06をレビュー
KZ AS06が到着しました。AS06のパッケージの後ろに見えているのは、同じくKZ製の2pin-Bluetoothケーブルです。こちらは別記事にてレビューします。
パッケージは非常に小さくコンパクトでした。パッケージを開けると、AS06のハウジングだけが見えます。AS06にはグリーンとブラックの2色のカラーバリエーションがありますが、今回はブラックです。ただ、ブラックというよりは、シルバーという印象の色味ですね。
AS06のパッケージの中には、説明書とイヤーピース(S/M/L)、AS06本体、2pin-3.5mmケーブルが入っていました。
こちらがAS06本体。AS06のハウジングは、イヤホンとしてはかなり大ぶりです。
バランスド・アーマチュアを6基(3基×2)を搭載したことを現す「6」がデザイン上のポイントになっているようです。クリアパーツを使っており、正面からの見た目は綺麗。
ケーブル交換式のイヤホンは、換装時にLRが分かりにくいことがありますが、AS06はハウジングの至るところにLRの表記を分かりやすく入れています。これくらい書いてあれば迷わない。
側面にも表記あり。
こちらが2pinのコネクタ。MMCXのコネクタはたくさん見てきましたが、2pinは初めてなので新鮮です。
付属の2pinケーブルはシュアがけできるよう、耳まわりに細く透明なチューブが入っています。
3.5mmプラグはL字で、プレイヤー側で出っ張りにくくなっています。
ケーブル長は2pinプラグの根元から、3.5mmプラグの根元まで、ざっくり115cm程度。スマホやDAPをポケットに入れて使う分には何の問題もないでしょう。
というわけで、次は気になる音質レビューです。
KZ AS06の音質レビュー
音質チェックには、DAPとしてONKYO GRANBEAT DP-CMX1を、音源はmoraで購入したflacファイルを使用しています。アプリは標準のミュージックプレイヤーです。
どんな音が鳴るのか、全く先入観なしでした。いや、むしろ元の値段を考えると、侮っていたのかもしれません。そんな状態で再生したため、一気に目が覚めました。
……なんだ、この音の良さ???
確かに、BAを採用すればクリアな音質が再現されます。3基も搭載すれば、相当いい音になるでしょう。AS06の性能についてKZ社の製品ページを読むと、AS06には下記の3つのBAが搭載されていることが分かりました。
- Mid-High frequency balanced armature No.31005
- Mid frequency balanced armature No.29689
- Bass frequency balanced armature No.22955
中高音域で1基、中音域で1基、低音域で1基という構成です。
AS06 – Balanced Armature – KZ耳机,KZ官方网站,KZ official website,KZ earphone,KZ headphone,深圳市原泽电子有限公司
ただ、5,000円以下の製品で、ここまでクリアで生き生きとした音を出せるものなのか、正直、好感度が急上昇です。
期待していなかっただけ嬉しい誤算で、こうなると、いろいろ聴きまくるわけです(いいイヤホンに出会うと、この音楽はどうだ、あの音楽はどうだ、と試したくなります)。
女性ボーカル曲からジャズから、映画サントラまで、イヤホンのハウジングを取り払ったようにクリアな音場が広がるわけです。しかも一音一音から、雑味が洗い流されたような、透明感のある音が、迫力をもって聞こえてきます。
AS06、けっこうスゴいぞ……
Bluetoothアップグレードワイヤーケーブルも試す
同じくKZ製品で、2pin対応イヤホンをBluetoothワイヤレスイヤホンに変えるアップグレードワイヤーもレビューしてみました。別記事でどうぞ。
まとめ
KZ AS06、衝撃的にすごかったです……。とにかく音の良さが分かりやすい。
こんなイヤホンが低価格で出てきたのでは、日本のイヤホンメーカーは今後大丈夫かという、逆に不安な気持ちになってきます。ローエンドどころかミドルレンジの製品も駆逐されかねないような完成度でした。
KZの他の製品、特にハイブリッド型のZSシリーズも気になってきました……。
【2019.05.08追記】
……なんて言いつつKZではなく、4BA+1DDのCCA C10を購入してみました。KZ AS06とも比較しています。
【2019.05.12追記】
2pin用のLightningケーブルも購入してみました。
【2019.06.02追記】FOSTEX TM2を使って、完全ワイヤレスイヤホン化してみました。
KZ AS06 In-ear Stereo Earphones 3BA HiFi BassEarbuds – BLACK WITHOUT MIC