用途特化型のBluetoothスピーカーは面白い
世の中にBluetoothスピーカーは数多く溢れていていて、それぞれに特徴的な機能を持っています。小型軽量、防水防塵、会議用スピーカーフォン、360度サウンド、Wi-Fi対応、などなど差異化が図られています。
今回紹介するBluetoothスピーカーもそんな中の一つで、言うなれば「声用スピーカー」。どんな特徴を持つスピーカーなのでしょうか?
語学学習専用スピーカー BenQ treVolo Uをレビュー
今回紹介するのは、BenQのBluetoothスピーカー「treVolo U」です。本製品の特徴は「語学学習専用」という、他に類を見ない特化型であるということ。
今回のレビューにあたってBenQ様より製品提供を受けたんですが、当初このお話をいただいた際、私自身が語学学習をしないのでお役に立てなさそうだなと思いました。……しかし、製品サイトで本製品の性能を知るうちに、実際にはもっと多様な使い方ができるスピーカーだと分かりました。
BenQ treVolo Uのレビューを進めていきましょう。パッケージは、treVolo Uを正面から見た写真で、ホワイトの背景に、ブルーのスピーカーがよく映えます。かわいらしい印象を受けるデザインです。
BenQ treVolo Uは、Amazon.co.jpで販売中です。
語学学習専用のBluetoothスピーカーであることを象徴するように、パッケージ正面には「Make your Learning Safe, Detailed and Efficient(学習を安全、詳細かつ効率的に)」とメッセージが書かれていました。
内容物は、treVolo U本体、USB Type-Cケーブル、オーディオケーブル、USB-ACアダプター、クイックスタートガイド類となっています。
ケーブルは、有線接続用のオーディオケーブルと、充電用のUSB Type-Cケーブルの2本が含まれています。
続いて、treVolo U本体を見ていきましょう。
treVolo U本体は、ホワイト×ブルーの爽やかなデザイン
Bluetoothスピーカーといえば、いかにもオーディオ機器に見えるブラック主体のデザインが多いです。
しかし、treVolo Uは学習用途で子供向けを想定していることもあり、爽やかで清潔感のあるデザインが採用されています。見惚れてしまうくらい美しいデザインです。
前面はメッシュなメタル素材、treVoloロゴの周りは別パーツで構成されており、高級感があります。
スピーカー正面の左上には、見慣れない2つのパーツがあります。左側の丸いパーツは全指向性高感度マイク、右の穴は遠赤外線検出センサーです。さらにこの下には全指向性環境音マイクが仕込まれています。……いったい何のために?それはまた後ほど。
スピーカー面が斜め上に向くようにデザインされています。
このスピーカーの角度は12度で設計されています。12度という角度は音響心理学に基づいていて、実際に対面で話しかけられているような臨場感のある音を出せるのだそうです。
重量はややずっしりしていて、743gありました。重さのぶん安定感は出ますね。
底面にはシリコンの滑り止めが貼ってあり、滑りにくくなっています。
背面にはBenQ独自のパッシブプレートが仕込まれています。低音が響きそうで、音楽用途にも良さそうです。
背面右下には、有線接続用のAUXポート、充電用のUSB Type-Cポートがあります。
上面には操作ボタンが並びます。指先で触ってもわかるよう、エンボス加工されたボタンになっています。大きめのボタンで押しやすいです。
見慣れないのは、左に並ぶ「音声モード」と「安心モード」です。こちらは後ほど使ってみます。
それでは、実際に使ってみましょう。
treVolo Uの音質をチェック!これが“声用スピーカー”!
treVolo Uの電源ボタンを押しっぱなしにすることで起動・電源オフできます。初回はBluetoothペアリングが始まります。
treVolo Uの基本性能をチェックしていきましょう。iPad Proとペアリングしてみます。(普通のBluetoothスピーカーなので、iPhoneやMacともペアリングできます)
最初に音楽を再生してみます。高音域も低音域もバランスよく、それでいて音圧も十分にあります。語学学習専用に留めておくにはもったいないくらいの性能です。
次はオンライン学習で試してみます。YouTube上のオンライン英会話コンテンツをいくつか試してみました。iPad Proの内蔵スピーカーと比べても、音声は明らかに聴き取りやすくなっています。
詳しく言うと、iPad Proの内蔵スピーカーは臨場感のある音を出しますが、音声も一体になって響きます。全体的に音がいいものの音声もフラットな状態です。一方で、treVolo Uは、立体感のある音声を出します。音声以外の音はtreVolo Uの近くで鳴って、音声だけが耳元に飛んでくるイメージです。
実はこの仕組み、BenQ treVolo Uのスピーカー構成に秘密がありました。treVolo Uは、高低音の分類機能を搭載していて、内部の2つのスピーカーが低音と高音で役割を分けているんですね。高音になればなるほど方向を感じやすいので、話し声や歌声がはっきり聞こえるのはこの分類機能によるところが大きいようです。
treVolo Uの「音声モード」は本当に聴きやすい?
ここまでは、ノーマルな状態でtreVolo Uを使ってみましたが、treVolo Uには「音声モード」という機能があります。ボタンの下には「音楽、動画学習、ライブ学習」と書いてあります。どう変わるのでしょうか?
標準ではオフになっているので、ボタンを押してオンにしてあげる必要があります。
すると、より音声が強調されるモードになりました。優れた音声処理機能により、音声以外の音は置いてくる感じになり、より聞き取りやすさが増します。音楽にしても英会話にしても、音声だけがクリアに立体的に聞こえます。音楽用途でもない限りは、これは常時オンでも良いかも。
treVolo Uの「安心モード」は使いやすくて重宝します!
treVolo Uには「音声モード」の他に「安心モード」という機能もあります。説明としては「最適な音量に調整します」と書いてあります。これをオンにすると、どうなるのでしょうか?
安心モードがオンになると、ボリュームが変わり、音が大きすぎず小さすぎず、聞きやすい音量に調整されました。この安心モードの仕組みがとても不思議なんですが、その場で最もいい音量に自動調整してくれるようです。
音量を大きくしていると、少し下げてくれるし、音量を小さくしていると、少し上げてくれます。このモードを知ったあとは、音量ボタンを使う機会がほとんどなくなりました。ボタンを1回押すだけでちょうどいい音量に調整してくれるわけですから。
※ちなみに、「音声モード」と「安心モード」は併用できます。
treVolo Uは、他のBluetoothスピーカーと比べてどうなのか?
しばらくtreVolo Uを使ってその音質に慣れていくと、他社のBluetoothスピーカーの聞こえ方がどうだったか分からなくなってきました。
そこで改めて他社のBluetoothスピーカー2製品と聴き比べてみました。いずれもiPad Proとの組み合わせです。
比較に使ったのは、Sonos Roam(レビュー記事)とEarFun UBOOM L(レビュー記事)です。どちらも音質の良さが気に入っているんですが、treVolo Uと比較してどう変わるのでしょうか?
不思議なことに、どのスピーカーも「音は良い」と感じるんですが、それぞれの質が違います。Sonos Roamはクリアな音場を形成して自然な聞こえ方にはなるものの、音声が強調された感じはありません。EarFun UBOOM Lは、全方位に音が広がるものの、その中に音声も埋もれていて、強調される感じはありません。
そこで、treVolo Uで同じ動画を再生すると、音声がクリアに際立って聞こえるんです。やはり語学学習用に作られただけのことはあって、その優れた音声処理機能により、音声の聞き取り性能は別格になります。
treVolo Uアプリで“正しい音”を手に入れる
treVolo Uには専用のアプリがあります。バッテリー残量やモードの切り替えなど、基本的な機能もありますが……
サウンドテストの機能もあります。音の聞こえ方をテストして、自分専用のサウンドを作ってくれます。アプリの指示に従って、テストを開始します。
健康診断で聴力検査を受けたことのある方ならおなじみの「音が聞こえるか聞こえないか」のテストです。さまざまな周波数の音が鳴るので、アプリ上のボタンで回答します。音によっては「あれ……聞こえないぞ……?」ということもありましたね。モスキート音かな……?
treVolo Uを購入したら、アプリを確認しておくことをオススメします。
treVolo Uのバッテリーは最大12時間駆動
treVolo Uのバッテリーはスペック上、最大12時間駆動します。私は、1日2時間程度使っていて、ちょうど1週間に1回充電するくらいだったので、ほぼスペック通りの時間でした。
treVolo UのBluetoothの到達範囲は10m
treVolo Uを気に入って使っていたんですが、ときどき音声が飛ぶことがありました。前述したUBOOM Lではそんなこと無かったんですが、原因は「距離」でした。テレビとペアリングして、離れたところで再生していたんですが、距離が遠かったようで、切れてしまったようです。
仕様を見てみると、treVolo UのBluetooth通信距離は、障害物のない範囲で10m。UBOOM Lは障害物のない範囲で15mとあったので、ここで差が出ていたようです。同じ部屋の中で使う分には問題ないので、もし離れた場所(障害物のある場所)で使おうとしているなら、注意しておいてください。
treVolo Uの語学学習以外の用途を考える
treVolo Uはその謳い文句通り語学学習には最適だと思ったんですが、その用途だけにとらわれるともったいないです。
話し声がクリアに聞こえる、と言う点を最大限に活かす使い道を考えてみましょう。
テレワーク用のスピーカーフォンとして使う
treVolo Uは、全指向性の高感度マイクでを内蔵しているので、テレワーク用のスピーカーフォンとして最適です。エコーキャンセラー技術を搭載しているので、環境騒音やエコーを検出してこれを軽減します。
実際にウェブ会議で使ってみると、参加者の皆さんの発言が聞き取りやすいですし、こちらの声も明瞭に聞こえるようです。イヤホンやヘッドセットを使わなくてもいい場面では、積極的に使ってみたいと思いました。
テレビ鑑賞用のお手元スピーカーとして使う
最近はBluetoothが搭載されているテレビが増えましたし、無くてもトランスミッターを使えばテレビの音声をBluetoothで飛ばすことができます。↓こういうの。
わが家のSONY BRAVIA(Android TV)にはBluetoothが搭載されているので、treVolo Uとペアリングしてみました。トーク番組等で芸人さんやタレントさんのボケやツッコミが聞き取りやすくて、むやみに音量を上げなくても良くなりました。
高齢者に人気のお手元スピーカーとしての需要は大いにありそうです。(そもそも子供向けの製品は、操作がシンプル・ボタンが押しやすい等の点で、高齢者向けにも相性がいい)
お笑い好きな人に、最適なBluetoothスピーカーなのでは?
使い方をいろいろ考えてきましたが、treVolo Uはお笑い好きな人にオススメなスピーカーなのではと思います。なぜそう考えたのか、それはYouTubeの存在です。
芸人さんのネタってテレビよりもYouTubeで見ることが多いんですよね。テレビで放送されるネタはマイクを使っているので、ちゃんと聞こえますが、YouTubeに上がっているネタは、室内でスマホ撮りしていたり、劇場での収録だったりします。反響音が邪魔だったりするんですね。
その点、treVolo Uなら音声を強調してくれるので、撮影コンディションの悪いネタ動画でも、聞こえ方が改善され、芸人さんのボケもツッコミも余すところなく楽しめています。お笑い好きな人で、ネタをちゃんと聞きたい人はtreVolo Uを検討する価値があります。
BenQ treVolo Uのまとめ
語学学習専用という点が強調されるtreVolo Uですが、実際のところ「音声が聞こえやすい」高性能なBluetoothスピーカーです。テレビやYouTubeで音声中心の視聴をされる方、テレワークでマイク性能のいいスピーカーフォンを探している方、デザイン性の高いBluetoothスピーカーを探している方、オススメです!(プレゼントとしても喜ばれそう)
- 動画学習に最適な「声」に特化したスピーカー
- 音楽鑑賞にも十分な基本性能
- 安定した音を届ける重量感のあるボディ
- 安心モードで、最適な音に自動調整してくれる
- 音声モードで、より使いやすくなる
- 高性能なマイクでスピーカーフォンとしても使える
- インテリアにもとけこむデザイン性の高さ
- Bluetoothスピーカーとしては、ちょっとお高め
BenQ公式の製品情報ページもぜひご覧ください。