ダイニングにテレビ用のスピーカーが欲しい
先日引越しをしたんですが、リビングのテレビと、ダイニングテーブルの距離が離れてしまいました。テレビ用のサウンドバーとしてSonos Beamを使っているんですが、音量を上げて使っていると、リビングがうるさい……という問題に直面します。
SONYのBluetoothスピーカー付きLEDライトがある
SONOSのスピーカーをもう1つ追加する、という案もありましたが、ダイニングに物を増やしてくありません。そこで白羽の矢を立てたのが、Bluetoothスピーカーを内蔵したSONY製のマルチファンクションLEDライトです。
LEDライトに内蔵されたBluetoothスピーカーが、低遅延コーデックであるaptX Low Latency(以下、aptX LL)に対応している、という点が決め手になりました。
MFL-1000A購入前の注意点
この製品を使うには、スマートフォンと無線LAN環境が必要です。特に下記の点は、購入前に確認しましょう。
- 2.4GHz帯のみ対応です(IEEE802.11 b/g/n)。5GHz帯には対応していません。
- SSID ステルス、ネットワーク分離、プライバシーセパレーター機能には対応しません。
- テレビと接続するには別途aptX LL対応のアダプターが必要です。
テレビとBluetooth接続するためのaptX LLアダプターは、ゼンハイザーのものが安定していてオススメです。
SONY マルチファンクショナルライト MFL-1000Aをレビュー
到着した段ボールは大きく、上にのせたiPhone 11 Pro Maxが小さく見えます。シーリングライトの箱の厚みが1.5倍になったような印象です。
段ボールを開けてみると、スペーサーで固定されたマルチファンクションユニット LGTG-200が入っていました。
この製品、型番ではMFL-1000Aですが、LEDシーリングライト(ORION LGTC-30)とマルチファンクションユニット(SONY LGTG-200)の2製品で構成されています。
……ということは、マルチファンクションユニットだけ買えば、既存のLEDライトに組み込めるのでは?と考える方がいるかもしれませんが、それは不可です。
ORION LEDシーリングライト LGTC-30をレビュー
LEDシーリングライト部分は、シンプルなシーリングライトです。なお、部屋の広さの目安として「10畳用」だそうです。中身だけ見ると、一般的なLEDシーリングライトと変わりがありません。
調光・調色対応のLEDシーリングライトのため、昼光色と電球色のLEDが並びます。
それでは、取り付けを行っていきましょう。
LEDシーリングライト LGTC-30を天井にセットする
作業前に壁面のスイッチを切っておきましょう。
まずは、部屋に備え付けの引掛シーリングボディに、付属のアダプターを取り付けます。
それから、LEDシーリングライト LGTC-30をセットし、電源コードを挿せば、取り付け完了です。シーリングライトを取り付けたことがある方なら、何の苦もないでしょう。
セード(カバー)を取り付けて完成です。中央にくぼみがあるのが見えます。ここにマルチファンクションユニットを取り付けることになります。
なお、LEDシーリングライトとして使うためのリモコンも付属しています。リモコン、壁付アダプター、取付ネジ2本、単四乾電池2本、と一般的な内容です。
リモコンを横から見ると、緩やかなカーブを描く水滴型になっています。手になじむ、持ちやすい形状をしています。
リモコン自体にスマート家電の要素はなく、調光・調色対応の一般的な構成のリモコンです。
ちなみにこのリモコン、表面にも裏面にも「ORION」の名称がなく、LGTC-30の型番だけが表記されています。SONY製ではないけど、ORION製ということも主張しない、不思議なデザインです。
SONY マルチファンクションユニット LGTG-200をレビュー
さて、このマルチファンクショナルライトの中核をなすユニット、LGTG-200をレビューしていきます。箱を開けると、LGTG-200本体と保証書・マニュアルが入っています。
LGTG-200の表面(下を向くほう)は全面がスピーカーになっていて、細かいメッシュ加工がされています。
側面を見ると、microSDカードスロットがあります。micro SDカードに音楽ファイルを入れて音楽を聴くことができますが、今回の目的ではないので、ここには触れません。
側面にはSONYロゴもあります。グレーとレッドの●は取り付け位置を示すものです。
天面には、LEDシーリングライト LGTC-30に取り付けるためのフックがあります。
天面には、LGTG-200のSSIDやパスワード、シリアルナンバー、MACアドレスが載っています。このユニットの取り付け後は見れないので、取り付け前にスマホで写真を撮っておくことをオススメします。
マルチファンクションユニット LGTG-200の取り付けは、LGTC-30のくぼみと取り付け位置に合わせて、回すだけ。しっかり固定されていることを確認しましょう。スイッチはまだ入れないようにしましょう。
この後のセットアップには、コンパニオンアプリの「MF Light」が必要です。これがないと進められませんのであらかじめダウンロードしておきましょう。( AppStore / Google Play )
ここではiPhoneアプリの画面を通して解説していきます。
SONY マルチファンクショナルライト MFL-1000Aをレビュー
いよいよマルチファンクショナルライト MFL-1000Aとしてのレビューに入ります。
コンパニオンアプリ「MF Light」で初期設定を進めていきます。規約やプライバシーポリシーに同意後、購入モデルで「LGTG-200の方」を選びます。
壁面のスイッチを入れると、LEDが点灯します。それでは、セットアップを進めていきます。
壁面のスイッチを入れると、2分程度で、スピーカーから日本語のアナウンスが流れます。LGTG-200の動作表示ランプが青く光っていれば「無線LAN接続処理中」です。
マルチファンクションユニット LGTG-200自体が、スマートフォンを介さず、単独でWi-Fiに接続できるように設定してあげます。
まずは、LGTG-200とスマートフォンを直接接続する必要があります。MF Lightアプリを閉じ、設定→Wi-Fiに移動するよう案内が出ます。
iPhoneの設定から、Wi-Fiを開き「LGTG-200」で始まるアクセスポイントに接続します。パスワードは「00000000」です(0が8回)。
MF Lightアプリに戻り、「接続を完了した」にチェックをして、先に進みます。このあと認証コード(数字4桁)の設定に移りますが、忘れないようにしておきましょう。
ここから先は、マルチファンクションユニット LGTG-200の設定になります。LGTG-200が、単独でネットワークに繋げるためのWi-Fi設定を行います。部屋で使っているWi-Fiのアクセスポイントが表示されるので、選択してパスワードを入力します。
音声ガイダンスが流れたら、無事に接続完了です。
ユニットを選択し、認証コードを入力し、任意の名称を入力したら……セットアップ完了です!
このあと、MF Lightのホーム画面に戻りますが、初期設定後はソフトウェアの更新が入ることがあります。
早く使いたい気持ちを抑えて、アップデートしておきましょう。
MF LightアプリでLED照明を操作する
MFL-1000Aで最初に操作したくなるのは、やはり照明機能でしょう。MF Lightアプリから「照明」を選ぶと、バブルチャートで調光・調色が可能になります。画面中央には照度(lx = ルクス)が表示されます。
これは明るさを最大にした状態です。かなり明るいです。チャートで動かすこともできますし、上部に並ぶ「アクティブ」「ヌーン」「モーニング」「ナイト」「ミッドナイト」といったシーンで変更することもできます。
調色を電球色に寄せて、照度を半分にします。夜のリラックスした雰囲気に合っています。
今度は昼光色に寄せます。寒色系が強くなり、手元まで明るく照らされます。
電球色・昼光色の中間、照度を半分に落としたところ。部屋の明かりをつけておきたい程度なら、このくらいでも良さそうです。
MF Lightアプリを経由すると細かい調整が可能になりますが、ぶっちゃけリモコンでも同様の操作はできます。
しかし、マルチファンクショナルライトの本領は、この先にあります。
天井のMFL-1000Aからテレビの音声を流す
次は、今回の主目的でもあった「天井からテレビの音声を流す」です。
テレビの音声をBluetoothで飛ばして、MFL-1000AのBluetoothスピーカーから流します。
ただ、Bluetoothを内蔵しているテレビは少なく、天井からテレビの音声を流すには、別途で追加の機器が必要になります。
利用にはaptX Low Latency対応トランスミッターが必要
Bluetoothの音声は「遅延」します。コーデックによりますが、0.2秒前後は遅延します(SBCやAAC)。大したことなさそうですが、実際には、映像の口の動きと音声にズレを感じます。テレビのスピーカーと併用する場合は、反響したような聞こえ方になります。
そこで必要になるのが超低遅延(0.04秒以下)の音声コーデック「aptX Low Latency」に対応したBluetoothトランスミッター(送信機)です。
今回はゼンハイザーのBT T100(写真)を使用しました。これをテレビのオプティカル端子(または音声出力端子)に接続し、音声をBluetoothで飛ばします。
BT T100のレビューはこちらから。
トランスミッター側がペアリングモードになったら、MF Lightアプリの「ミュージック」を選んでペアリングを押します。
接続が完了すると、テレビの音声が流れるようになります。ペアリング直後は少しズレを感じますが、数十秒で徐々に音声がシンクロし、テレビとMFL-1000Aの両方からほぼ同時に音声が流れるようになります。
スピーカーの音は天井には響かない?
MF Lightアプリのバージョン3.1.0以降から、イコライザ設定(BASSのみ)が可能になりました。BASSの設定を最大にすると、そこそこ重低音のある音声が流れるようになります。しかし、音は「振動」です。天井を伝って、階下の部屋に響いたりしないのでしょうか?
これについて、公式サイトでは「全ての音が効率的に下向きに。天井側への振動はありません。」と明言されています。
音でもっと楽しく。あなたの声で、光とともにミュージックがあふれる。映像とともに迫力のサウンドで包まれる。マルチファンクションライトは、いつものお部屋を手軽にもっと心地良い空間にしてくれます。
Sony Japan | マルチファンクションライト
テレビのリモコンにもなる
MFL-1000A自体に赤外線リモコン機能が内蔵されていて、テレビとエアコンの操作が可能になります。この機能は有料ですが、14日間の無料体験期間が設定されています。
なお、これを書いている2020年3月時点でライセンスの購入は存在せず、継続利用ライセンスの無料提供中となっています。
リモコン機能は、メーカーを選んでいけば登録が可能になります。多くのメーカーが登録されているので、よほどマイナーな製品か、古い製品でもない限りは使えるはずです。
SONYの電子ペーパー搭載学習リモコン HUIS(ハウス)の知見も活かされてそうだなーと感じました。
そろそろHUISも買い直してみようかな、と思ったりしています(2016年からかなり進化しているみたいだし)。
家庭内のすべてをモニタリング!マルチファンクションの本気
MF Lightアプリを開くと分かりますが、マルチファンクションライト(多機能ライト)の名の通り、照明やスピーカー以外の機能も充実しています。ひと目見て分かるのが「室内状況」の項目にある温度・湿度・明るさです。
これらの環境データは(壁面のスイッチが切られていなければ)24時間モニタリングされていて、部屋の温度・湿度・明るさの推移が分かるようになっています。
これらのデータをトリガーにして、機能を実行することができるようになっています。
タイマーで各種機能をオン・オフする
メニューの「タイマー」内には、「おはようモード」「おやすみモード」「温度モード」「湿度モード」「カスタムモード」が並びます。
おはようモードは分かりやすく「時刻」をトリガーにしたタイマー機能です。プリセットでは平日・週末という分け方ですが、曜日ごとに設定することも可能です。
各プリセットの中身は細かく決めることができます。初期状態では「月〜金曜の朝7時になると、おはようアラームを鳴らし、照明を点灯する」という動作を行います。アラームはmicroSDに内蔵した音楽も指定できます。照明はシーンで選択可能です。
このほかテレビやエアコンのオン・オフも可能です。
部屋の温度や湿度に応じて、エアコンをコントロールする
上記の「おはようモード」や「おやすみモード」では、時刻をトリガーにしますが、「温度モード」「湿度モード」は、24時間モニタリングしている温度や湿度をトリガーにした動作を可能にします。
ペットや赤ちゃんのいる部屋では、こういった温度や湿度の設定が重要になってきますので、活用したいところです。また、メール通知機能もあるため、動作したかどうかを外出先から知ることもできます。
なお、ここで気をつけないといけないのは「壁のスイッチで照明を消さないこと」です。そもそもの電源が切られていては、これらの機能は動作しません。
トラブル?「インターネット接続不可」エラーが出た。
設定完了後、2-3日して快調に使えていたのですが、ある日アプリを開くとマルチファンクションユニットに接続できず「インターネット接続不可」エラーが発生しました。(無線LANルーターは正常に使えていますし、設定変更も行っていません)
再試行を押しても、これがループするだけで、全く接続できません。スピーカー機能は使えていました。これが1〜2日続いたので、週末に初期化して再セットアップしようかと思っていたのですが、ある日、急に接続できるようになりました。
このあと、ユニットとアプリのバージョンアップが入り、ユニット・アプリともにバージョン 3.1.1に更新されました。これ以降、このトラブルは起きていません。もし、同様のトラブルが起きている方がいたら、ライトの電源を落とし(壁面のスイッチをOFF)、アプリをバージョンアップしてみてください。
アップデートでイコライザが拡張、細かい調整が可能に!
バージョン3.1.4で、ミュージックのイコライザが拡張されました。
これまでBASSだけでしたが、MIDDLE(中音)やTREBLE(高音)も調整可能になりました。着実にアップデートしてますね。
ハイエンドモデル MFL-2000Sも登場!
MFL-2000Sの新機能として「人感センサー」が搭載されています。この人感センサーにより、人の動きに応じた家電の自動ON/OFF、起床時の動作に合わせたアラーム音のOFF、外出時に設定する「見守りモード」での警告音と録音の実行、といった機能が付加されています。
MFL-1000Aのまとめ
引越しを機に、思い切って導入してみたマルチファンクションLEDライトでしたが、思った以上に便利でした。
まず、aptX LLに対応したBluetoothスピーカー。一度設定してしまえば、あとは何もせずに使えます。それから、室内状況の24時間モニタリング。これに連動した温度・湿度モードの自動化。もちろん、タイマー機能も。
そして、これらの機能をもったデバイスが、LEDシーリングライトに統合されていることが最も重要です。電源コンセントを1個も使うことなく、ケーブルを1本も増やすことなく、これらが実現できているのです。
これこそスマート家電と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。