防災グッズとしてのモバイルバッテリーとは……?モバイルバッテリーの存在が一般的になってきて、低価格なものもたくさん出ています。
そうなると、これを防災グッズとして備蓄・保管する人も出てきたのではないでしょうか。
災害に備えるモバイルバッテリーの3条件とは?
ただ、モバイルバッテリーならなんでもいいという訳にはいきません。こんなモバイルバッテリーが必要なのではないでしょうか。
1. 電池残量が減りにくい
安いモバイルバッテリーにありがちなのが、いつの間にかバッテリーの残量が減っている、という自然放電現象。ただ大容量だからと買ってしまうと、肝心なときに使えないという事態になりかねません。
こういった事態を防ぎたい場合には、安心のAnker製品を推したいです。
2. 乾電池で動く
2018年の北海道胆振東部地震の際、エネループ/エボルタの急速充電器のレビュー記事にアクセスが急増しました。充電器側にUSBポートを備えていて、エネループ/エボルタ4本を使って1,400mAhの容量を持つモバイルバッテリーになる製品です。
この製品に限らず、乾電池は保管しやすく入手しやすいので、乾電池を使うモバイルバッテリーは持っておきたいところです。
3. 大容量であること
災害に備えるモバイルバッテリーは大容量であるに越したことはありません。モバイルバッテリーで大容量を宣伝する製品は、20,000mAh以上の容量を持つものが多いです。iPhone XSを6〜7回程度は満充電できます(理論値)。
なお、あまり大きすぎるものは、バッテリーそのものを満充電するのに時間がかかるので、20,000mAh台の製品が適当でしょう。
新たな選択肢、燃料電池モバイルバッテリー登場!
燃料電池とは、水素やエタノールなど「燃料」の化学エネルギーを電力に変える「電池」のこと。燃料電池の最大の利点は「環境に優しいこと」。たとえば、水素は化学反応後に何になるかと言えば……「水」です。
燃料電池で動く製品として最も知られているのは、トヨタの水素自動車「MIRAI」ではないでしょうか。水このMIRAIも、CO2を全く排出しないことを謳っています。
そして、この燃料電池の特性を活かしたモバイルバッテリーが日本にも登場しました。それが、このJAQ Hybridです。
もちろんPSE認証も取得しています。
水素で発電するJAQ Hybridのレビュー
燃料電池モバイルバッテリーJAQ Hybridが日本でも発売されたので、購入して試してみることにしました。今回購入したのは、JAQ Hybrid(写真奥)と、パワーカード3枚セット(写真手前)です。
JAQ Hybridの推しは「持ち運びできる水素発電」です。
パッケージ背面に特徴として「航空機内持込可能」であることが記載されています。IEC 62282-6-100とは、国際標準化された燃料電池の安全性規格のこと。各国の航空会社で、これに準拠した製品であることが求められているわけです。
それでは、JAQ Hybridを開けていきましょう。中には2つの内箱があり、水素発電を行うためのパワーカード(写真左)が1枚付属しています。
モバイルバッテリーとしてのJAQ Hybridを見ていきましょう。
内容物は、JAQ Hybrid本体、Micro USBケーブル、取扱説明書です。
JAQ Hybridは日本の販売代理店が販売する製品なので、完全日本語化された説明書になっています(怪しい中国製品ではないですよ)。
JAQ Hybrid自体はふつうのモバイルバッテリー?
さて、モバイルバッテリーとしてのJAQ Hybridを見ていきましょう。表面の溝はおそらく放熱用のスリットで、持った感じひんやりした感触があります。
重量は201.1g。2,700mAhの容量を持つモバイルバッテリーとしては、重い部類に入ります。例えば、5,000mAhの容量を持つAnkerのバッテリーは約132gです(レビュー記事)。
側面には、残量確認用のボタン、給電用のUSB-Aポート、モバイルバッテリーに給電するためのMicroUSBポートがあります。
Lightningケーブルを繋いで、通常のモバイルバッテリーとして使うことが可能です。
モバイルバッテリー単体として見た場合のJAQ Hybridは、放熱効率の高い、ちょっと重めのモバイルバッテリーです。
JAQ Hybridでパワーカードをチェック
JAQ Hybridがハイブリッドを名乗る所以は、リチウムイオン電池と燃料電池の両方が使えるから。そして、燃料電池によるモバイルバッテリー機能を提供するのが、このパワーカードです。
パワー“カード”の名前の通り、板状のデバイスです。
持つたびにシャカシャカと音が鳴るのですが、この中に塩と水?が入っているようです。
JAQ Hybridモバイルバッテリーに挿す際には、この突起物がある方を挿します。
パワーカード自体の重さは27.4gと軽量です。
パワーカードは、別売りで購入することもできます。販売開始時の価格は1枚350円/枚です。(税込価格は378円)
JAQ Hybridとパワーカードで充電する
それでは、JAQ Hybridモバイルバッテリーにパワーカードを挿して水素発電で給電してみましょう。JAQ HybridのUSBポートとは逆の面を使用します。
パワーカードの突起をJAQ Hybridに差し込みます。そのまま押し込みます。
パワーカードを押し込むと、逆側からメッシュのバッテリーが飛び出します。
写真で見ると、パワーカードは右上になります。
差し込む際には、パワーカードがこのくらい見えるまで押し込みます。差し込み終えたら、本体を軽く数回振ります。
グリーンのLEDが点灯して、化学反応により水素発電から給電されていることが確認できます。
水素発電により、パワーカードからJAQ Hybridモバイルバッテリーに給電が行われていますが、この状態でもUSBポートからiPhoneなどスマホを充電することが可能です。
発電中は、JAQ Hybridモバイルバッテリーは熱を持っています。持てないほどの高熱ではありませんでしたが、基本は置いたままにしておきましょう。
JAQ Hybridパワーカードは使い捨て
化学反応が終わった後のパワーカードは、パンパンに膨れていました。このまま固まっているため、押しても膨れたままです。中から音はしなくなったので、原料が残っていないことが分かります。
未使用のパワーカード(左)と使用済みのパワーカード(右)。未使用か使用済みか、一目で分かりやすいですね。
JAQ Hybridパワーカードは使い捨てで、家庭用ゴミとして処分が可能です。(燃えるゴミになるか、自治体のルールに従ってください)
なお、パワーカードの裏面には、廃棄時の注意事項が書かれています。
パワーカード1枚当たり700mAhの容量を発生できるそうです。
スマホ1台分を満充電するには全然足りませんが、非常時に電話をかけたり、メッセージを送るための電力としては十分な量です。
パワーカードは別売りで予備もある
パワーカードには3枚入りのセットもあります。
パワーカード3枚が積まれて入っていました。
パワーカードは長期間保管が可能ということなので、700mAh×3枚は備蓄用として取っておきたいと考えています。
3枚セットで1,050円だったので、単品で買うよりもお得でした。
パワーカードがコンビニで売られる時代がくる?
さて、ここまで見てきて、皆さんが考えるのは「パワーカードが気軽に手に入るのか?」という懸念でしょう。コンビニで売られるくらい手軽でなければ、乾電池を超える利点になりません。
そこで、パッケージに記載された「製品に関するお問合せ」を見てみると、株式会社ライテックという会社が販売しているようです。
株式会社ライテックの公式サイトを見てみると「使いきりライター」を供給している会社のようです。タバコを販売しているコンビニであれば、使いきりライターはどこにでも置いてありますし、もし、株式会社ライテックがその販売網を使ってパワーカードを売ることになれば……コンビニでいつでもパワーカードが手に入る時代が来るのかもしれません。
まとめ
平時はモバイルバッテリーとして使いつつ、電源のない非常時には燃料電池式のバッテリーになるJAQ Hybridモバイルバッテリー。まさに次世代の製品という印象があります。
モバイルバッテリーとしての使い勝手や、パワーカードの入手性など、まだまだ解決するべき問題はあるものの、ファーストプロダクトとしては十分な性能を持つ製品です。
地震や自然災害の多い日本では、防災の備えは欠かせません。必要なのは水や食料だけではありません。「情報」も重要な備えです。非常時に情報を入手したり、連絡手段を確保するためにも、いざという時に使えるモバイルバッテリーを持っておきたいものです。