第3の聴覚経路???軟骨伝導イヤホンあらわる!
2022年10月、オーディオテクニカから発表されたワイヤレスイヤホン「ATH-CC500BT」は、軟骨伝導方式を採用しています。軟骨伝導を採用したヘッドホンは世界初だそうです。
まず、耳に音を伝達する方法は2種類ありました。一般的なイヤホン・ヘッドホンのように空気を振動させて音を伝える「気導経路」と、頭蓋骨の振動で音を伝える「骨伝導経路」です。軟骨伝導経路は、これらとは異なる第3の聴覚経路です。
いやいや、軟骨伝導も骨伝導も同じ「骨」やん!という意見はごもっとも、私も最初はそう思いました。しかし、上記の製品ページの解説を読むと、どうやら字面は似ているものの、聞こえ方のメカニズムが全く違うようです。
- 軟骨伝導 ……耳の軟骨を振動させて、外耳道(耳の穴の中)で空気が振動し、鼓膜に伝える
- 骨伝導 ……頭蓋骨を振動させて、中耳を通して(鼓膜を通さず)、ダイレクトに蝸牛に伝える
つまり、鼓膜に伝えるのか(軟骨伝導)、蝸牛に直接伝えるか(骨伝導)、の違いがあります。軟骨伝導経路の方が、イヤホン・ヘッドホンのような気導経路に近いため、音の聞こえ方はより自然になる、というわけです。
……と、解説は読んで理解したものの、実際に試してみないことには分かりません。とりあえず購入してみることにしました。
オーディオテクニカ ATH-CC500BTをレビュー
こちらが、オーディオテクニカ ATH-CC500BTのパッケージ。左下に見慣れない「CCH」ロゴがあります。これは株式会社CCHサウンドの特許を使用していることを示しています。
株式会社CCHサウンドのサイトには、軟骨伝導システムの詳しい解説があります。詳しく知りたい方は下記リンクからどうぞ。
ATH-CC500BTには、ブラックとベージュの2カラーがあります。今回はベージュを購入してみました。楽天市場にはオーディオテクニカの公式ストア(楽天市場へのリンク)があるので、購入の際には検討してみてください。
こちらが付属品の一覧です。専用ポーチ、ATH-CC500BT本体、充電用のUSBケーブル(30cm/USB-A to C)、説明書・保証書となっています。
専用ポーチは、面ファスナーが採用されています。開くときに、ビリビリとした音が気になるかもしれません。生地は丈夫で、カバンに無造作に放り込んでも良さそうです。
次は、ATH-CC500BTを見ていきましょう。
ATH-CC500BTは、やや大ぶりなワイヤレスイヤホン?
ふだん、ながら聴き用のイヤホンとして、ShokzのOpenRun Proを使っているので、ATH-CC500BTを手にした第一印象としては「太い」でした。
後ほどShokz製品と比較してみますが、太いと感じたのは、首の後ろに回るフレームです。
全体的な大きさはShokz製品と変わりませんが、各部の作りはやや大ぶりな印象です。
ATH-CC500BTの操作系は、左耳側に集中している
ATH-CC500BTの耳のユニット部分には、オーディオテクニカのロゴを象ったボタンがあります。右耳側は電源ボタン、左耳側はマルチファンクションボタンと、機能は分かれています。
左耳側のユニット下部にはマイクロホンがあります。
肌に触れる部分は、優しいシリコン製です。
ボリュームボタンは左耳側の下部にあります。
ボリュームボタンの並びにバッテリージャックとして、カバーの下にUSB-Cポートがあります。汎用のUSBケーブルが使用できるのは便利ですね。(というのも、骨伝導イヤホンのShokz OpenRun Proは専用コネクタなのです)
ATH-CC500BTは、急速充電に対応していて、約10分の充電で約120分の連続再生に対応するそうです。急いでいるときに便利な機能です。
ATH-CC500BTの装着感は良い?悪い?
耳にかけて装着してみました。Shokz OpenRun Proよりも締め付け感は緩く、ちょっとだけ軽いかけ心地です。
私はメガネを常用していますが、変に干渉することもなく、長時間でも難なく使えています。
次はいよいよ、肝心の音質チェックです。果たして……
ATH-CC500BTの音質は……?
さて、ATH-CC500BTに期待しているのは、Shokz OpenRun Proを超える音質です。電源を入れてみると、弾むようなオープニングサウンドで、いきなり音の良さを実感します。
次にiPhone 14 Pro Maxとペアリングして、Apple Musicの音源を聴いてみました。
Shokz OpenRun Proとは明らかに聞こえ方が違います。クリアで伸びのある高音域が活き、解像感やステレオの分離感もあります。印象としては、オープンタイプのイヤホンに近いです。これは、骨伝導イヤホンでは考えられない高音質と言えます。予想外にいい音が出ており、ながら聴きとしては文句のない音です。
iPhoneで聴いてみたのでコーデックはAAC止まりですが、ATH-CC500BTはaptXやaptX HDにも対応します。ということで……
iPhoneとBT-W3でaptX HD対応!その音質は……?
iPhoneでaptX HDを使う際のベストな選択肢は、Lightning OTGアダプタ+BT-W3(Bluetoothトランスミッター)の組み合わせです。BT-W3のLEDがイエローに点灯し、aptX HDで接続できていることが確認できます。
最新のBT-W4は電力不足でiPhoneでは使えませんでしたが、BT-W3はiPhoneでも動作します。
aptX HDで接続したATH-CC500BTは、さらに一段音質が上がります。これはもう骨伝導の括りには収まらない音質ですね。付け心地は骨伝導イヤホンなのに、音質はオープンタイプのイヤホン並み、といういいとこ取りです!
……ただ、“ながら聴き”できるイヤホンで言えば、Oladanceの方が音質はまだまだ上ではあります。そもそも音を出す方式が違うので当たり前ですが……
オーディオテクニカのアプリ「Connect」に対応します
ATH-CC500BTはコンパニオンアプリとして、オーディオテクニカの「Connect」アプリに対応します。
バッテリー状況の確認、接続コーデックの確認、そしてイコライザーの変更にも対応します。
ATH-CC500BTはマルチポイント接続にも対応するため、MacとiPhone、AndroidとWindows、iPhoneとiPadのような組み合わせで同時に待ち受けることが可能です。アプリ上では、接続機器の管理もできます。
Shokzの骨伝導イヤホンと比較してみる
さて、ATH-CC500BTを検討している方は、競合する骨伝導イヤホンメーカーShokz製品も気になっていることでしょう。手元に、Shokz OpenMove(写真左)、Shokz OpenRun Pro(写真右)があるので、比較してみます。
記事前半でATH-CC500BTのワイヤー部分が太いと書きましたが、比較してみるとやはり太い(写真中央)。OpenRun Pro(写真右)のしなやかな細さに比べると、やや野暮ったさも感じます。
左右のユニットの大きさも、ATH-CC500BT(写真中央)は最大級です。
耳元の振動ユニットも、ATH-CC500BTは最大サイズです。
OpenRun Proの振動ユニットはスリムですが、ATH-CC500BTは細長いピラミッドのような形状で立体感もあり、大きめです。(ただし重量は、OpenRun Proが29g、ATH-CC500BTが35gと大きさほどの差はありません)
オーディオテクニカとして初の軟骨伝導イヤホンということで、スリムさには欠けますが、その分音質は抜群です。この点ではOpenRun ProやOpenMoveを大きく凌ぐ実力を持ちます。
ATH-CC500BTとOpenRun Proの簡単なメリット比較は次の通り。マルチペアリングやアプリは両方ありますね。
とは言え、OpenRun ProにはIP55の防水性能があったりするので、シャワーを浴びながら使ったり、ジムで使ったりと、シチュエーション利用で便利だったりします。うまく棲み分けしながら使っていきそうな気がしています。
オーディオテクニカ ATH-CC500BTのまとめ
軟骨伝導と骨伝導、こんなに違いが出るとは思いませんでした。「第3の聴覚経路」の呼び方の通り、一般的なイヤホンや骨伝導イヤホンとはまた違った性質を持ちます。ながら聴きしたいけど、音質も妥協したくない、という方にはぜひオススメしたい!
- 軟骨伝導を採用し、ながら聴きでも自然な高音質サウンドを実現
- 汎用的なUSB-Cポートを採用し、充電しやすい
- aptXやaptX HDといった高音質コーデックを採用
- 重量は約35gと軽量で、メガネ併用でも邪魔にならない
- 通話ノイズキャンセリング採用で、通話にも使える
- マルチポイント対応で2台の機器で待ち受け可能
- 20時間利用可能で、急速充電にも対応する
- 防滴仕様はIPX4と最低限の仕様
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