ビジネスで使えるワイヤレスイヤホンとは……?
「ビジネスで使える完全ワイヤレスイヤホン」と言われたら、どんな条件を思い浮かべるでしょうか?マイクの性能?接続の安定性?ノイズキャンセリング?音楽用と何が違えばいいのでしょうか?
今回紹介するKENWOODの完全ワイヤレスイヤホンは、その疑問に一つの答えを出してくれたようです。
KENWOODからビジネス向けの完全ワイヤレス登場!
JVCケンウッドから登場したのがKENWOODブランドの完全ワイヤレスイヤホン「KH-BIZ70T」です。
KENWOODといえば、片耳用のスタイリッシュなBluetoothヘッドセットを出していました。これ、気になっていたんですが、音楽用にはならないのでちょっと躊躇していたんです。
完全ワイヤレスイヤホンでありつつ、ビジネス向けということで、購入してみました。
※ちなみにビジネス向けの完全ワイヤレスイヤホンは、過去にもいくつかありました。JabraからはElite 65tをベースにした「Evolve 65t」、こちらはZoom等のUC(ユニファイドコミュニケーション)に対応するUSBドングル付属モデルです。
ロジクールから発売されているZone True WirelessもUSBドングルが付属しており、さらにマルチポイントにも対応しているのが特徴でした。
それでは、KENWOODが考えるビジネス向けとは、どんな機能や特徴があるのでしょうか。
KENWOOD KH-BIZ70Tをレビュー
今回はホワイトの「KH-BIZ70T-W」を見ていきます。
内箱は2つに分かれます。中央に見えるのがKH-BIZ70T-Wの充電ケースです。
イヤーピースやUSB充電ケーブル、ユーザーマニュアルは、紙製の小箱にきっちり収められています。こういった収め方にメーカーの個性って出ますよね。私は好きです。
続いて、KH-BIZ70Tの充電ケースを見てみましょう。
KH-BIZ70Tは、軽量級の完全ワイヤレスイヤホン!
KH-BIZ70T-Wの充電ケースを持って感じたのは「軽っ」という感想です。モックアップ、製品見本かな?と思うような軽さです。
充電ケースを開けてみると、イヤホンのLEDがぼんやり光っています。
重量を計ってみたら、なんとイヤホン込みで44.0gと出ました。50g切るだけでも随分軽いところ、44gはかなりの軽さです。
後ほど、他の軽量タイプの完全ワイヤレスイヤホンとも比較してみます。
軽量級の完全ワイヤレスイヤホンと比較してみると……
想像以上に軽かったので、他社の小型イヤホンと比較してみることにしました。KH-BIZ70T-W(写真左上)、AirPods Pro(右上)、SONY LinkBuds(左下)、ambie AM-TW01(右下)です。
KH-BIZ70Tは約44.0g、AirPods Proは56.2gです。20%近く軽いということになります。
SONYのLinkBudsは41.5g、ambie AM-TW01は35.2gで、KH-BIZ70Tよりも軽いですが、さすがにこれらは別格ですね。
KH-BIZ70Tが完全ワイヤレスイヤホンとして軽いということは分かってもらえましたね!
充電ケースに滑り止めを付ける理由とは……?
KH-BIZ70Tの充電ケースを開くと、底面近くで充電状況を知らせるLEDが点灯します。このLED、消灯時には全く見えないようになっていました。
底面は2箇所に滑り止めがあって、テーブルの上でピタッと止まります。公式サイトでは、新幹線のテーブルでも滑らないと書いてありました。なるほど、その視点はなかったですね……さすがビジネス向け。
充電ケースの背面には充電用のUSB-Cポートがあります。
Qiワイヤレス充電は残念ながら非対応です。
KH-BIZ70Tのイヤホン自体も超軽量級、左右で10g未満!
軽いのは充電ケースだけではありません。イヤホンもかなりの軽さです。
なんと左右合わせても10gを切り、9.7gしかありません。
外観は「ミニヘッドセット」とでも言うべきデザインです。この面はタッチセンサーになっていて、押すたびに「ピポッ」という音がなります。完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しい効果音です。
外側のメカニカルなデザインからは意外なほど、内側は有機的な曲線を描く長めのノズルになっています。
イヤホンの上側に、物理ボタンがあります。このボタン、機能が独立しているんですがそれは後ほど。まずは、実際に装着してみます。
付け心地はスタンダード。ここでもやはり軽さが重要。
先ほどの写真で分かるとおりノズルがやや長めなので、耳に入れるとやや浮いているような装着感になります。ただ、イヤホン自体が軽量なので、気になるものではありません。
マイクが前を向くような装着方法になります。
イヤホン自体が軽量なので、装着感は全体的に良好です。
KH-BIZ70Tの音質は、軽妙で解像感が高い
中音域から高音域にかけての抜けの良さがあって、解像感もあります。低音もしっかりとした押し出しがあって、メリハリの効いた音になっています。一方でハウジングのせいか、音は軽く感じます。ドライバー自体の性能はいいはずなんですが、ハウジングで抑え込めていないような気がします。
全般的にクセがなく、万人受けしやすい音質だと言えます。優等生な音質とでもいいましょうか。
KH-BIZ70Tのマイク性能はそこそこ良い、片耳だけでも利用可
KH-BIZ70Tを使って、ウェブ会議や通話を行ってみました。通話先からは「ふつうに聞こえてる」「よく聞こえるけど、ややこもってる気もする」という意見をもらいました。有線のヘッドセットに比べれば、若干こもっている感じがあるそうですが、これはBluetooth機器あるあるですね。過信は禁物ですが、いいマイクのようです。
なお、KH-BIZ70Tは片耳でも使えます。使い方は、片方だけ取り出せばいいです。または、両方使っている状態で、片方をケースにしまってもいいです。長時間の通話が必要な場合は、片方ずつ使うといいでしょう。ほぼ1日使えます。
マルチポイントがスムーズ!
KH-BIZ70Tの特徴の一つとして挙げられるのが「マルチポイント」対応です。同時待ち受けができるので、いちいちペアリングを切り替えたりする手間がありません。iPhoneで音楽を聴きつつ、Macで通話が始まれば、そちらに切り替えることができます。切断した方も接続は維持してくれるので、通話が終わればまた音楽に復帰できます。(同時使用はできない)
マルチポイント自体は、KH-BIZ70Tに限った機能ではなく、他社のワイヤレスイヤホンでも着々と採用が進んでいます。パソコンとスマホ、タブレットとスマホ、のように1人で複数デバイスを使う時代だからこそ、普及しつつある機能です。
急なミュートにも対応できる、マイクON/OFFはワンプッシュで!
KH-BIZ70Tを使ってみて、便利だと感じたのは「物理ボタン」です。
左右のイヤホンの上部にある物理ボタンは、音楽を聴いているときに押せば「クイックアンビエント機能」が起動します。音量が極端に下がり、周囲の音を聞くことができます。通話中に押せば「ミュート機能」が起動します。
※ちなみに、通話時のミュート機能は、Zoomなどのミュートボタンとは連動してないです。
音楽を聴いているときも、通話をしているときも、周りの音を聴きたいときは物理ボタンを押す、これだけ覚えておきましょう。
ノイズキャンセリングは良好、クイックアンビエントはややクセがある
外に出て、ノイズキャンセリングやクイックアンビエントを試してみました。ノイズキャンセリングの効きはマイルドで、電車の中や人通りの多いうるさい場所では、静寂とまではいかないです。音楽を聴くのに周りの音を下げたいなら、オンにしておくといいでしょう。
クイックアンビエントはいわゆる外音取り込みですが、音楽自体も一気に下げてしまい、音楽を聴き続けるのは難しいです。周りの音を一時的に聴くためのものとして考えましょう。他社のヒアスルーとかトランスペアレントモードとは、考え方が違うようです。
ビジネスに使えるワイヤレスイヤホンはどれだ??
ウェブ会議も増え、ワイヤレスイヤホンやワイヤレスヘッドセットを使う機会は爆増しました。特に気に入っている製品とKH-BIZ70Tを比較してみます。
まずはAirPods Proです。言わずと知れた完全ワイヤレスイヤホンの大ヒット製品です。価格的にもKH-BIZ70Tの倍近く、基本性能も上です。KH-BIZ70Tが勝てるのは、軽さ、ミュートボタン、マルチポイントでしょうか。ただ、マルチポイントに関しては、Apple製品を持っていればiCloud連携できるAirPods Proが優位です。KH-BIZ70Tにワイヤレス充電がないのはマイナスですね。
次に、ワイヤレスヘッドセットの中でも、重宝しているのはShokzのOpenCommです。骨伝導という特性上、耳の中には入れないので、付けているのを忘れるほど快適な装着感です。前方に突き出したブームマイクも自分の声だけを拾ってくれるので、ディスプレイの向こう側で聞いている方に違和感を与えません。
そんなOpenCommと比較して、KH-BIZ70Tのいい点は、まず音の良さです。これはカナル型イヤホン(耳の中に入れるタイプのイヤホン)なので当然です。他にも片耳ずつ使うことによるバッテリーの持ちの良さ。ミュートボタンの使いやすさ、といったところでしょう。逆に、装着感やマイクの性能はOpenCommが圧倒的に勝ります。
写真にはありませんでしたが、KH-BIZ70Tのあとに購入したHUAWEIのオーディオグラスは、通話やイヤホン機能が良く、ビジネスに使うにはスマートだと感じました。マルチポイントの切り替えもスムーズです。さらに、装着感はOpenCommをはるかに上回る快適さです。なぜなら、装着する分には、ただのメガネだから。
ただ、OpenCommやKH-BIZ70Tに比べると、たまーに、マイクがやや遅延気味になることがあります。重要なシーンでは有線ヘッドセットやOpenCommを選んでしまいがちです。KH-BIZ70Tとの比較で言うと、傾向はOpenCommに近いです。
KENWOOD KH-BIZ70Tのまとめ
KENWOODの考えるビジネス用・完全ワイヤレスイヤホンの条件は、
- 充電ケースが軽い、とにかく軽い(そして滑らない)
- イヤホンも軽い
- マルチポイント対応で、2台のデバイスで使える
- マイクは聞き取りやすくする
- ミュートは物理ボタンで分かりやすい
- 周りの音はしっかり聞けるようにする
- 片耳だけで使えて、左右で1日もつ
といったものでした。一つ一つの機能は珍しくありませんが、こうして全てを組み合わせてみると、目的(ビジネス向け)に対するKENWOODの真摯な姿勢が見えます。
ビジネス向けという位置付けではあるものの、音楽用のイヤホンとしてもしっかり作れているあたり、KENWOODの本気が見て取れました。価格的にはミドルレンジにあり、性能と価格のバランスがうまく取れている製品です。
数千円台の完全ワイヤレスイヤホンやワイヤレスヘッドセットをビジネス利用していて、ステップアップしたい方にはオススメです!