メガネ型デバイス・オーディオグラス、懸念は「装着感」
当サイトではさまざまなデバイスをレビューしてきましたが、いまだに手をつけていないのが「オーディオグラス」、つまりメガネ型のスピーカーデバイスです。2019年にBOSEからオーディオ機能のついたサングラスが登場し、2021年にはRazer、2022年にはAnkerから同カテゴリの製品が登場しました。
BOSE製品は実際に店頭で装着させてもらいましたが、サイズ感が合わず、全く入らず……。Anker製品も店頭で試してみましたが、こめかみを締め付けるような付け心地に断念しました。よくあるメガネフレームと同様に装着感が大事なのですが、
そして、2022年5月に発売されたのがHUAWEI製のワイヤレススマートグラス「HUAWEI Eyewear」です。レビューしませんか、とお声がけを頂いたのですが、「うまく装着できなかったら、断ってもいいですか?」という条件付きでお受けしたのです。さて、三度目の正直となるんでしょうか……
※本レビューにあたって、製品サンプルをお貸し出しいただきました。
HUAWEI Eyewear ウェリントン型フルリムをレビュー
こちらがHUAWEI Eyewearのパッケージです。真っ白のボックスに、ゴールドの箔押しのみ、これ以上ないほどにシンプルです。
あれ?OWNDAYS(オンデーズ)?HUAWEIじゃなくない?って思いました?そうなんです、今回レビューするのは、OWNDAYSとのコラボモデル「OWNDAYS × HUAWEI Eyewear」なのです。
OWNDAYSとのコラボモデルは販路が異なり、OWNDAYSの店頭かオンラインショップ、またはPayPayモール店で買うことができます。HUAWEIモデルとの違いは(意外な展開を見せる)本記事の後半で。
ちなみに、OWNDAYSは日本の企業なんですが、インド最大のアイウェア企業Lenskartと経営統合されることが2022年6月30日に発表されました。この経営統合により、アジア最大級のアイウェア企業が誕生するそうです。(下記リリース参照)。
メガネ業界のことはよく知らなかったんですが、スケールがすごいですね。レビューに戻ります。
HUAWEI Eyewearのパッケージは横長で、スマホが入っていそうなサイズ感です。
それでは、中身を見ていきましょう。
HUAWEI Eyewearは、画期的な仕組みを採用!?
内容物は次の通り。HUAWEI Eyewear本体に、保護ケースバッグ、充電コンバータにクイックスタートガイド、メガネ拭きとなっています。
違和感があるのは、コレ。メガネのフロント部分だけです。
保護ケースバッグの中にメガネフレームが入っていました。
これがHUAWEI Eyewearの本体です。
広げてみるとこう。レンズのないメガネフレームです。
つまり、この2つのパーツを合わせることでHUAWEI Eyewearが完成するのです。
テンプルには、左右と真ん中3箇所の接合部があります。
フレームを固定すれば完成です。
このように、テンプルとフレームを分けることで、複数のフレームに対応させられるようです。ここで、コラボモデルの「OWNDAYS × HUAWEI Eyewear」と通常モデルの「HUAWEI Eyewear」の違いを見ていきましょう。
OWNDAYSコラボモデルとHUAWEIモデルの違い
「OWNDAYS × HUAWEI Eyewear」と「HUAWEI Eyewear」で用意されているフレームをまとめると、次の図の通りです(実際のデザインとは異なります)。
OWNDAYSコラボモデルとHUAWEIモデルでは、対応するフレームが異なるほか、いくつかの違いがあります。比較表を用意してみました。(太字は差異があるもの)
HUAWEIモデル | OWNDAYSモデル | |
---|---|---|
デザイン | ウェリントン(フルリム/ハーフリム) ボストン(フルリム) | スクエア(フルリム) ウェリントン(フルリム) |
カラー | ブラック | ブラック グレー |
付属ケース | HUAWEIロゴの入ったケース | OWNDAYSロゴの入ったケース |
別売オプション | なし | SNAP LENS(サングラスフレーム) |
販売店 | Amazon.co.jp、楽天市場、家電量販店等 | OWNDAYS店頭・オンラインショップ、PayPayモール等 |
デザインの違いのほかに、明確に違うのがSNAP LENSの存在です。これはOWNDAYSコラボモデルの上から付けられる、オプションのサングラスです。機能的な差異はないんですが、サングラスとしても使いたい方は気をつけてください。
「OWNDAYS × HUAWEI Eyewear」はコラボモデルということで、OWNDAYSロゴが左のテンプルの内側にあります。
右のテンプルの内側にはHUAWEIロゴがあります。
目立たないようで、みっちり詰まったマイクとスピーカー!
パッと見では普通のメガネにしか見えませんが、やや太めのテンプルには、上下にマイクとスピーカーが隠れています。
上下にスピーカーがあると、周りに聞こえてしまいそうですが、このスピーカーには指向性があり、周りにはほぼ聞こえません。(ただ、隣に立たれると、なんとなく何か鳴っているように聞こえるらしい)
フレーム選びの大変さ……でも、顔が大きくても大丈夫!
さて、BOSEやAnkerのオーディオグラスでは苦い思いをしてきましたが、HUAWEI Eyewearは問題なく装着することができました(バンザイ!)。HUAWEI Eyewearの快適な装着感を陰ながら支えるのは、テンプルとフレームを結ぶ、このヒンジ部分です。
このヒンジのおかげで、メガネフレームの幅よりも広げることができます。この状態でも締め付けすぎず、緩すぎない、最適な締め加減になっていて、それが快適な装着感につながっているようです。
実際に、私がふだん使っているメガネフレーム(写真左)と比較してみます。フレームの幅は同じでも、左右に広がっているのが分かります。HUAWEI Eyewearも同様に広がってくれるので、問題なく装着できたというわけです。
こんなのどのメガネもできるでしょ?って思われた方は、幸せです……。これができないメガネが多くて、メガネ選びに苦労するのです……。
HUAWEI Eyewearの充電は、マグネット吸着のコンバータ方式
一般的なオーディオグラスの充電は、その形状ゆえ、ふつうのUSBコネクタではありません。HUAWEI Eyewearも例外ではなく、テンプルの端に充電端子があります。
HUAWEI Eyewearには、二股になった充電コンバータが付属しています。HUAWEI Eyewearに近づけるとマグネットで吸着します。
充電コンバータのもう片方は、USB-Cのメスコネクタになっています。
ここに市販のUSBケーブルとUSB-ACアダプターを挿して充電します。スマホを充電するような一般的なもので大丈夫です。
充電状況はコンバータ側のインジケーターで確認できます。LEDがオレンジからグリーンに変われば充電完了です。
充電ケーブルが専用なのは仕方ありません。HUAWEIのオーディオグラスには「HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear II」という製品もあり、こちらは専用のメガネケースで充電できるのですが、そのぶん、大きくて重くなっています。
持ち運んだりすることを考えると、HUAWEI Eyewearが正解でしょう。
HUAWEI Eyewearを一般的なメガネと比べるとどう?
私が使っているメガネは、I.ENOMOTO(アイエノモト)や999.9(フォーナインズ)。以前はic! berlin(アイシーベルリン)などを使っていました。いずれもフレームとしてはやや大きめで、それでいて軽量であることが特徴のフレームです。
どのくらい軽いのか、測ってみましょう。現在メインで使っているI.ENOMOTOのフレームはレンズ込みで29.8g。
999.9(フォーナインズ)はフレームがないタイプのため、25.4gとさらに軽量です。
一方でHUAWEI Eyewearは、メガネに加えてオーディオデバイスも搭載されています。測ってみるとなんと35.6g。私がふだん使っているメガネとたった5gちょっとしか変わりません。
HUAWEI Eyewearの機能を考えると、十分に軽量といえるでしょう。
HUAWEI Eyewearは、アプリで設定・管理する
それでは、いよいよ使っていきましょう。まずは充電している状態で、充電コンバータのボタンを押し、LEDがホワイトになるのを待ちます。この状態でペアリング可能になるので、スマホのBluetooth設定からペアリングしましょう。
ペアリングが完了したら、アプリをダウンロードします。使うのはこちら、HUAWEI AI Lifeアプリです。「デバイスを追加」からHUAWEI Eyewearを選びます。
HUAWEI Eyewearを登録しました。
HUAWEI AI Lifeアプリ内で、各種設定が可能です。マルチペアリング用の設定もこちらから。
HUAWEI Eyewearの操作はテンプル部分のジェスチャーで行います。基本操作は「ダブルタップ」「長押し」「スワイプ」の3つだけ。
このジェスチャーの操作内容はアプリ内から変更することができます。
このジェスチャーコントロールが、狙った場所で決まるので、ほとんどストレスがありません。
HUAWEI Eyewearの体験を最高のものにしてくれる「マルチポイント対応」
最近の完全ワイヤレスイヤホンでトレンドになっているのが「マルチポイント対応」です。
HUAWEI Eyewearもそのマルチポイントに対応しており、同時に2つのデバイスから待ち受けることが可能です。私は、MacとiPhoneの組み合わせでマルチポイントを使っています。iPhoneで音楽を聴きつつ、MacでWeb会議に参加するような場合に、シームレスな連携を実現します。
HUAWEI Eyewearの素晴らしいところは、このマルチポイントの切り替えの早さです。素早く確実に切り替えてくれるので、違和感なく次の動作に移れるのです。
HUAWEI Eyewearの音質は想像以上!意外なほど自然に聞こえる
HUAWEI Eyewearに搭載されているスピーカーは、指向性のあるセミオープンスピーカーです。なお、骨伝導ではありません。狙った方向に音を飛ばしているので、周りには聞こえにくいですし、本人にはしっかり届きます。
低音はやや弱いですが、高音の解像感は素晴らしい美しさで、音楽用としても十分な性能を持っています。(ダイナミック型です)。メガネから音楽が聴こえるので、慣れてくると、どこから音楽が鳴っているのか分からなくなる錯覚に陥ります。それくらい自然に聴こえるのです。
HUAWEI EyewearのマイクはWeb会議でも使える
そして、声を大にして薦めたいのがマイク性能です。メガネをかけているだけなのに、マイクが機能しているという不思議な体験を味わえます。実際に何日間か会社のWeb会議で使用してみましたが、後でネタバラししたところ、普通に聞こえていたということでした。
ただメガネをかけているだけなのに、マイクもスピーカーもそのまま使えるなんて、最高すぎます。
HUAWEI Eyewearは、ながら聴きのオーディオデバイスとして最高峰
最近は、音楽を聴きつつ周囲の音も聞こえる「ながら聴き」のデバイスが流行っています。AirPods Proの外音取り込みだけでなく、耳をふさがない骨伝導イヤホンや肩掛けスピーカー、SONYのLinkBudsのように穴あきのイヤホンまで登場しています。
そんな中にあっても、HUAWEI Eyewearはメガネとして使えるだけあって、ながら聴きの体験は最高峰です。
まるで何も付けてないところから音が鳴るのですから……。慣れすぎると、一瞬、「あれ?どこで鳴ってるんだっけ?」と錯覚するほど。
HUAWEI Eyewearの装着検知が便利
完全ワイヤレスイヤホンではおなじみの機能として「装着検知」があります。この機能はHUAWEI Eyewearにも搭載されていて、音楽再生中にHUAWEI Eyewearを外せば停止するし、再び装着すれば再生を始めます。
気温が高すぎると、機能停止してしまう……?
ところで、HUAWEI Eyewearは、本体の温度が35度以上になると強制終了されるという仕様になっています。灼熱の真夏の日本では気温が35度を超えることもあるため、本体温度が上がりやすくなります。強制終了した場合は、付属の充電コンバータを使って再起動しないといけません。これは不便です。
ただ、HUAWEIではこの点をソフトウェアアップデートで改善しています。6月25日に本体の温度上昇を抑えるアップデートをおこなっているので、購入したらまずは本体ソフトウェアをアップデートしましょう。
防水性能はIPX4
HUAWEI Eyewearは防水性能がIPX4になっています。汗くらいは大丈夫という性能です。メガネということもあり、過剰な防水防塵性能は必要ないでしょう。
外では使わないのをオススメします
HUAWEI Eyewearの音は素晴らしいんですが、外出時に使うと、周囲の音に負けます。全然聞こえません(もちろん音量を大きくすればなんとなく聞こえる、程度)。静かな住宅街を歩くくらいなら問題ないです。
HUAWEI Eyewearが便利すぎたので、実際に購入した
というわけで、レビューしながら、ずーっと「これで度が入ってたら常用できて最高やん……」と思っていたので、抑えきれずに購入してしまいました。
レビュー用にお借りしていたのに、途中で購入することになるとは……なんという巧妙なマーケティングなのだろう……
購入したのは、HUAWEIモデル。ここまでレビューしていたOWNDAYSモデルとは微妙に違います。
保護ケースバッグにはHUAWEIロゴ。
付属品はOWNDAYSモデルと同じです。フレームは初めから組み立てられていました。
今回購入したのは、ウェリントン型のフルリムです。
OWNDAYSコラボモデルと異なり、ロゴは外向きになっています。
HUAWEIロゴは左右に。この点はOWNDAYSモデルの方が好きです。メガネフレームの文字要素は、外に出てほしくない。
ちなみに、OWNDAYSコラボモデルでなく、HUAWEIモデルを選んだ理由は、このフチの作りです。HUAWEIモデル(写真左)は四角ですが、OWNDAYSコラボモデルはダイヤ型。HUAWEIモデルの方が好みでした。
そして、せっかく自分の所有物として買ったのですから、度入りのレンズを入れてみることにします。
OWNDAYSの10%OFFクーポンは楽天市場でも
HUAWEI Eyewearはそこそこ高い製品ですが、度入りのレンズを入れるとなると、さらにレンズ代がかかります。できるだけレンズは安く買いたいもの。
HUAWEIモデルの場合は、OWNDAYSで使える10%OFFクーポンが用意されています。この10%OFFクーポンを入手できるのは2022年7月時点で2通りあります。HUAWEI 公式楽天市場店でレビューを投稿するか、ヨドバシカメラの店頭でもらうこと、です。
私は、HUAWEI 公式楽天市場店で購入して、レビューを書いてクーポンをもらいました。
OWNDAYSの店舗でレンズを入れてきた
最寄りのOWNDAYS店舗に行ってきました。持っていくものは、HUAWEI Eyewear、普段使ってるメガネ(あるいは度数情報)、10%OFFクーポンです。
入店して、店員さんに「レンズを入れたい」と声をかけます。「フレームはお持ちですか?」と聞かれたので、Eyewearを出して、受付をします。
度数情報の書いた紙を渡し、レンズを選びます。今回はブルーライトカットも超薄型も入れず、普通の在庫レンズでお願いしました。そのままお会計へ。PayPayのほか、QRコード払いができるようです。
ここまで入店から5分。
受付票をもらい、一旦外へ出ます。受付票の時間には30分後の時間が書いてありました。早いですね。
近くのサンマルクコーヒーでアイスコーヒーを飲んでいたら、LINEで受け取りのお知らせがきました。来店からここまで23分……まだアイスコーヒーも飲み終わらないうちに……
そのままHUAWEI Eyewearをかけて帰ったんですけど、世界は普通に見えているのに、音楽が流れていて感動しましたね……。買ってよかった。
テレワークで1日中使ってみると……?
度入りレンズも入ったところで、一日中使ってみました。テレワークで使うと、どのくらいバッテリーが持つものでしょうか。ある1日の様子を追ってみましょう。
- 9時30分の始業なので、ここからHUAWEI Eyewearをかけ始めます。
- 午前中は2時間ほどWeb会議。発言する機会もそこそこあります。
- 作業中はラジコを流します。
- ランチタイムもそのままかけて外出しますが、外では聞こえにくいので使わず。
- 午後も2時間程度のWeb会議がありました。
- 17時を過ぎた頃、アプリからバッテリーの状態を確認すると21%でした。
- そこから音楽をかけていると、18時前には落ちました。
何日か使ってみましたが、時間を気にせず使っていると、夕方にはバッテリー低下の音が鳴って、勤務終了までは持たない感じでした。1日フルに使うなら、ランチタイムは充電するのがいいのかもしれない。
なお、製品サイトの仕様では「音楽再生6時間・連続通話4.5時間」とあるので、体感的にも近いと感じました。
HUAWEI Eyewearのまとめ
性能も使い勝手も最高です。そして、何より付けやすい。こんなに付けやすいメガネを作ってくれたHUAWEIさん最高です。もちろんオススメですよ!オーディオグラスを検討しているなら、まず第1候補になるでしょう。
- 何も無いところから音楽が流れてくる、新体験
- マルチポイント対応でスマホとPC両方で使える
- 常用のメガネとしても使える軽さ
- メガネに内蔵されていると思えないスピーカーの音質の良さ
- テレワークでも問題なく使える高性能マイク
- メガネフレームとして見ると、そこそこ高価
- 別売りのレンズを入れないと実用的でない
HUAWEI Eyewearをどこで買うか悩ましいですが、いろいろ見てみたところ、価格だけならAmazon.co.jp、ポイントやクーポンを考えるとHUAWEI 公式楽天市場店、OWNDAYSモデルならYahoo!ショッピング(PayPayモール)でしょうか。※レンズ交換券が付いてくるらしいですよ……