ゲーム用のモバイルディスプレイってどうなの?
テレワーク需要もあって、数多くのメーカーからモバイルディスプレイが登場しました。多くのメーカーからも多種多様な製品が出ており、市場は飽和してきているのではないかと思えるほど……。
そして、モバイルディスプレイの市場を追っていると、各メーカーとも差異化を図っている最中だということが分かります。今後、モバイルディスプレイは下記の方向性に進化していくようです。
- 高精細化……フルHD解像度が多い中、4K解像度が少しずつ増えています。
- 大画面化……15.6インチが大勢を占めていますが、17インチやそれ以上が出始めています。
- 高機能化……リフレッシュレートの高速化、USBハブの追加、タブレットとの兼用、など。
- 用途特化……有機ELを採用したプロフェッショナルモデルや、電子ペーパーを採用したモノクロモデルが出てきています。
今回紹介するモバイルディスプレイは、上記の(3)にフォーカスしてレビューしていきます。高機能化のわかりやすい実例、ゲーミング仕様のモバイルディスプレイです。
ROGブランドのポータブル・ゲーミングディスプレイ
ASUSのゲーミングブランド ROGから、モバイルディスプレイ「ROG Strix XG16AHPE-W」と「ROG STRIX XG16AHP」が登場しました。144Hzの高リフレッシュレート、3msの応答速度、Adaptive Syncへの対応といった特徴があります。
そして、このモバイルディスプレイには珍しい点があと2つあります。「ホワイトのカラーバリエーションがある」、そして「専用のスタンドが付属している(国内ではブラックのXG16AHPのみ)」という点です。本記事で詳しく見ていきましょう。
※本記事執筆にあたり、製品サンプルをお貸し出しいただきました。
ROG Strix XG16AHPE-Wをレビュー
まずはホワイトモデルのROG Strix XG16AHPE-Wです。
本記事で紹介している、XG16AHPE-Wの三脚モニタースタンド「ROG Tripod」ですが、日本で販売する製品には付属しておりません。
モバイルディスプレイとしてはパッケージ大きめ&重めです。漆黒の背景にROGログが映えますね。
中身を取り出すと、さらに内箱がありました。ホワイトモデルのXG16AHPE-Wと言うこともあってか、内箱は明るめのデザインになっています。
この中から、気になるアイテムを見ていきましょう。
XG16AHPE-Wを支える、重厚な三脚モニタースタンド
ASUSのモバイルディスプレイには、三脚穴の付いている製品が増えてきました。以前にレビューしたZenScreen MB16AHもそうでした。
XG16AHPE-Wにも三脚穴があり、これを支えるための三脚モニタースタンド「ROG Tripod」が存在します(日本国内で販売する製品には付属しません)。
ROG Tripodは、花びらのように上から開きます。
この開き方だと自重で閉じてしまうのでは?そう思われるかもしれません。
そんな事態にならないよう、ROG Tripodの底面にはロック機構があります。このボタンを押せば三脚を閉じることができます。
ROG Tripodには1段分の伸縮機構があります。
ここにもロックがあります。
雲台も金属製。上下方向にのみ動くようになっています。
さらに雲台の左右のボタンを押すことで、プレートを取り外すことができます。カメラの三脚でもこういったクイックリリースが可能なモデルがありますね。
ふだんはXG16AHPE-Wを据え置きで使用して、持ち運ぶときには簡単に取り外せるようになっています。
ROG Tripod、フレキシビリティーに優れたいいスタンドです。(国内でも販売してほしい……)
保護スリーブも単体で売れるレベルの完成度
XG16AHPE-W本体を見る前に、付属の保護スリーブを見ていきましょう。モバイルディスプレイにありがちなスタンド兼用バッグではなく、肩掛け用のベルトも付属した、本格的なキャリングケースになっています。
ジッパーの裏には折り返しがあり、移動中にディスプレイがジッパーに擦らないよう保護されています。
前面はメッシュポケットになっています。ケーブルなど入れることができます。
背面にもポケットがあり、こちらはマジックテープで留められるようになっています。
スタンドといい、保護スリーブといい、モバイルディスプレイとしては申し分のない、豪華な付属品です。
ROG Strix XG16AHPE-Wを見ていきましょう
付属品の説明だけでお腹いっぱいかもしれませんが、いよいよXG16AHPE-W本体にいきましょう。
こちらがXG16AHPE-W。モバイルディスプレイとしては珍しいホワイトカラー。デザインも良く、美しい仕上がりです。
※ガンダムエディションとは……ROG Strix XG279Qのガンダムコラボモデルのことです。
HDR Gaming Monitor, 27 inch WQHD (2560 x 1440), Fast IPS, 170Hz*, 1ms (GTG), Extreme Low Motion Blur Sync, G-SYNC Compatible, DisplayHDR™ 400
ROG Strix XG279Q-G GUNDAM EDITION | 27 – 31.5 インチ | Gaming 液晶ディスプレイ|ROG – Republic of Gamers|ROG 日本
そして、この背面はそのままキックスタンドになっていて、ケース不要で自立するようになっているのです。XG16AHPE-Wは11.8mmの超薄型なんですが、ここにキックスタンドまで内蔵できてしまうのは、ASUSの長年の積み重ねあってこそですね……。
背面の半分近くがキックスタンドになっているのが分かるでしょうか。ガンダムで言うと、姿勢制御用のスラスターが大型化しているようなもの。さしづめ、GP03ステイメンのようです(ガンダムネタ続きですみません)。
さらに、このキックスタンドを広く開けば、ディスプレイ面に角度をつけて後ろに倒すこともできます。
モバイルディスプレイはケース兼スタンドを組み合わせるものが多いため、XG16AHPE-Wのように自立できる製品は貴重です。
なお、接地面ですが、グレーのシリコン素材が滑り止めになっています。この滑り止め、メカニカルデザインの一部に組み込まれています。さりげないけど、こだわってます。
側面には、ヘッドホン端子、Micro HDMIポート、映像入力用のUSB-Cポート、電源供給用のUSB-Cポートがあります。
操作系のボタンは、上面に揃っています。
それでは、XG16AHPE-Wをスタンドに取り付けましょう。
スタンドの安定性は抜群!これはもう……デスクトップでは?
XG16AHPE-WをROG Tripodに取り付けて自立させました。この収まりの良さ、惚れ惚れしてしまいます……。
もちろん、伸ばすこともできます。
スタンドのボタンを押しながら持ち上げることで、ディスプレイだけを手早く取り外すことができます。
このROG Tripodのクイックリリース機構がよくできているんですよ……。(日本国内で販売する製品には付属していません……)
Macでもニンテンドースイッチでも使える汎用性が魅力
XG16AHPE-WはROG Tripodを併用すれば高さが出せるので、たとえばMacBook Airを下にしたデュアルスクリーンも可能です。
発色も良く、精細で、外付けディスプレイとしても優秀な性能を持っていることが分かります。ゲーミングデバイスって基本性能が高いから、ゲーム以外でも便利に使えるんですよね。
なお、XG16AHPE-Wは7,800mAhの大容量バッテリーを内蔵しており、リフレッシュレート144Hzで3時間駆動させることができます。
144Hzのゲーミング性能は、Macでも活かせる?
ゲーミングPCというとWindowsです。MacでXG16AHPE-Wを使う意味はあるのでしょうか?答えは「あり」です。
ゲームをしなければ利点がないのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。マウスの軌跡や、スクロールのフレームが補完されることで、Macの画面表示全体が滑らかになり、目に優しく、体感がよくなります。
実はこの体験、最近もありました。それはiPhoneです。iPhoneも13 Pro(Max)からリフレッシュレートが最大120Hzになりました。このおかげで、ゲームだけでなくSafariやTwitterのスクロールが非常に滑らかになったのです。もう12以前には戻れません……。
ついついゲーム用途で考えがちな高リフレッシュレートですが、つまりディスプレイの基本性能が上がったということ。XG16AHPE-Wを使った後に普通のディスプレイを見ると「少しカクカクしてるような……?」と気になるようになってしまいました。いいな、ゲーミングディスプレイ!
有機ELのニンテンドースイッチと揃えたいホワイトカラー
しかし、XG16AHPE-Wと一緒に使ってみたいのは、やはりニンテンドースイッチでしょう。折りしも、有機EL版のスイッチが出たばかり。そう、ホワイトカラーのニンテンドースイッチです。
※上の写真のXG16AHPE-Wとニンテンドースイッチは、GENKI Covert Dockを介して接続しています。
ニンテンドースイッチは高リフレッシュレートに対応していないので、ゲーミングディスプレイとしての恩恵はありませんが、高品質なモバイルディスプレイと考えればXG16AHPE-Wはスイッチにとっても魅力的な製品です。
操作しやすいXG16AHPE-WのOSDメニュー
XG16AHPE-Wの各種設定は、上部にあるボタンからOSDメニューを呼び出して行います。
モバイルディスプレイのOSDは操作しづらいことが多いんですが、そこは老舗のASUS、アイコンとボタンの配置が分かりやすく、迷わず設定が可能です。
OSDで設定できる項目は多岐に渡ります。基本はゲーミング仕様ではあるものの、ビジネス・パーソナル用途においても、問題なく使える充実っぷりでした。
ブラックはデザインが違う!XG16AHPをレビュー
さて今回ホワイトカラーのXG16AHPE-Wをレビューしたんですが、実はASUS様のご厚意でブラックのXG16AHPも一緒にお貸出しいただきました。こちらも見ていきましょう。
なんと、ホワイトでは主張の強かったメカニカルデザインがなりをひそめ、シンプルでシックなデザインになっていました。これはこれでかっこいい……!
右上のロゴ以外に主張しているのは、本体下部にある「REPUBLIC OF GAMERS」くらい。
ROGロゴ以外に主張しているのは、本体下部にある「REPUBLIC OF GAMERS」くらい。XG16AHPE-Wとテイスト違うんですね。
キックスタンド機能はXG16AHPE-Wと同じ。
ヘアライン加工されている部分が大きく開きます。
開いてみて分かったのが、XG16AHP内部のデザイン。
XG16AHPの主張はここに隠れていましたね。ゲーミングデバイスらしいデザインです。
そして、スタンドのROG Tripodもブラックカラーで統一されています。シルバーも良かったけど、ブラックは見た目の剛性感もあります。こっちもかっこいい……単体発売しませんか……ね。
もちろん保護スリーブもブラックです。
デザインも違いますし、ポケットの数も違ったりします。
メインポケットの中は同じようでした。
XG16AHPをROG Tripodに立ててみるとこのように。ゲーミングディスプレイではなく、普通のディスプレイとして通用しそうな、シンプルな見た目になります。
XG16AHPE-WもXG16AHPも、それぞれにデザイン上の主張があって、見ていても楽しいです。
まとめ
ROG Strix XG16AHPE-WとXG16AHPは、発色の良さや解像感などディスプレイとしての基本性能だけでなく、ゲーミングスペックの反応の良さも相まって、ビジネス・ホームユースとしても十分に通用するポテンシャルを持っていました。
さらに、専用三脚のROG Tripodに専用の保護スリーブなど、付属品も至れり尽くせり。一つ買えば、必要なものが全て揃ってしまいます。
内も外も最強無比といっても過言ではないXG16AHPE-WとXG16AHP、モバイルディスプレイを探している人には必ずチェックしてもらいたい逸品です。
日本で販売するXG16AHPE-Wには、三脚モニタースタンド「ROG Tripod」が付属していません。ROG Tripodが必要な方は、ブラックのXG16AHPを選んでください。