テレワーク推奨で、外付けディスプレイが絶好調?
コロナ禍の中、日本中の企業にテレワークが推奨されたことで、在宅で仕事をされる方が急増しました。その中で急伸したサービスといえば、テレカン・ウェビナー・Web会議関係でしょう。Zoom・Meet・Teamsを使われている方は多いはず。
さて、テレカンに必要なものといえば、マイク・スピーカー、そしてWebカメラです。3月〜4月ごろは、ヘッドセットやカメラ関連が品薄になり、店頭からその姿を消し、メルカリ等では高額で転売されていました。

本記事のもくじ
ニッチだけど超便利?!Webカメラ内蔵ディスプレイの世界
世の中には非常に多くのPC用ディスプレイが存在しますが、テレカンに便利な「Webカメラ内蔵ディスプレイ」というカテゴリーの製品があります。ニッチな市場ではありますが、その選び方を見ていきましょう。
Webカメラ内蔵ディスプレイの選び方
HDMIやDisplayPortで繋ぐ?USB-Cで繋ぐ?
ディスプレイ内のWebカメラを使うには、USBでデータのやりとりをする必要があります。このため、映像ケーブルとは別にUSBケーブルを接続する必要があります。映像とデータ、合計2本のケーブルが必要です。
映像用にHDMIやDisplayPortケーブルで繋ぐのは王道ですが、最近のディスプレイやノートPCにはUSB Type-C(以下USB-C)が備えられており、USBデータだけでなく、映像の入出力や電源の供給を担ってくれます。
つまり、下図のようにケーブルを大幅に削減できるのです。
ただし、ノートPCにUSB-Cがあっても実現できるとは限りません。映像出力に対応したUSB-Cなのか、USBで大電力をやり取りするための規格「USB PowerDelivery(以下USB PD)」に対応したUSB-Cなのかを確認する必要があります。
USB-Cディスプレイ/Thunderbolt 3ディスプレイについては、下記の記事で詳しく解説しています。興味があればご覧ください。

Windows Hello対応か?
Windowsをお使いの方であれば、ログインの認証方式として「Windows Hello」があります。カメラ内蔵ディスプレイの中には、赤外線カメラを搭載して「Windows Hello」の顔認証を利用できるものがあります。
注意して欲しいのは、新しい製品であっても、必ずしも対応しているわけではないこと。Windows Helloを利用される予定の方は確認しておきましょう。
マイクとスピーカーは内蔵されているか?
カメラ内蔵ディスプレイの利用用途は、ほとんどがテレカンです。このため、カメラと一緒にマイクも内蔵されています。
ただし、スピーカーは内蔵されていないこともあります。この場合はイヤホンやヘッドセット、外付けスピーカーを使うことになるでしょう。
有線でも無線でも使えるスピーカーフォンや、マイク性能に優れた各種ヘッドセットが一つあると、非常に便利です。
プライバシーシャッターはあり?なし?
テレカンといっても、常にカメラで顔出しするわけではありません。映したくない場合もあるでしょう。また、意図せず映ってしまうということもあるでしょう。
カメラ内蔵ディスプレイには、プライバシーシャッターを備えたものがあります。つまり、カメラのレンズ自体を物理的に隠してしまう機能です。下図のうち、2と3がそれに当たります。
TeamsやZoomのアプリケーションごとの設定で、カメラをオフにすることもできますが、物理的に隠せるほうが確実です。
Amazonのスマートディスプレイ Echo Showシリーズにもカメラカバーが付いています。

メーカー別Webカメラ内蔵ディスプレイ
各メーカーから発売されている、Webカメラ内蔵ディスプレイをまとめてみました。
Dell
【オススメ】C3422WE
Microsoft Teams向けに認定されたビデオ会議ディスプレイです。Teams用のボタンもあります。Windows Helloの顔認証に対応した5MP IRカメラに、5Wデュアルスピーカー、さらにノイズキャンセリングマイクまで備えています。
USB PDは最大90Wに対応し、デュアルディスプレイ用のDisplayPort出力、最大1Gbpsの内蔵LANポートもあります。まさにテレワークのためのディスプレイと言えるでしょう。
ウルトラワイドな曲面ディスプレイなので、設置場所には注意してください。2021年3月6日発売です。
パネルタイプ | 34.14型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 3,440×1,440 |
映像入力 | USB-C ×1、Displayport 1.4 ×1、HDMI ×1 |
Webカメラ | 5MP赤外線センサーカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(ノイズキャンセリングマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
【オススメ】C2722DE
こちらもMicrosoft Teams向けに認定されたビデオ会議用ディスプレイの27インチ・QHD版です。少し大きめのディスプレイを導入したい方にはちょうどいいサイズ感ではないでしょうか。2021年3月6日発売です。
パネルタイプ | 27型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 2,560×1,440 |
映像入力 | USB-C ×1、Displayport 1.4 ×1、HDMI ×1 |
Webカメラ | 5MP赤外線センサーカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(ノイズキャンセリングマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
【オススメ】C2422HE
こちらもMicrosoft Teams向けに認定されたビデオ会議用ディスプレイの23.8インチ・フルHD版です。個人でテレワークに使うにも、法人でオフィスに導入するにもちょうどいいサイズ感ではないでしょうか。この性能でこの価格はかなりリーズナブルです。2021年3月6日発売です。
パネルタイプ | 23.8型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | USB-C ×1、Displayport 1.4 ×1、HDMI ×1 |
Webカメラ | 5MP赤外線センサーカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(ノイズキャンセリングマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
Dell プロフェッショナルシリーズ P2418HZ
Windows Helloに対応し、テレカンに特化したディスプレイです。法人向けのように見えますが、個人向けとしてラインナップされています。2017年の製品なので、Skype for Businessが推されています。そろそろ後継機が待たれるところです。
パネルタイプ | 23.8型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、Displayport 1.2 ×1、HDMI ×1 |
Webカメラ | 2MPフルHD赤外線センサーカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(ノイズキャンセリングマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
HP
HP EliteDisplay 23.8インチワイドドッキングモニター E243d
USB-Cで接続できるHPのディスプレイです。ノートPCとUSB-Cケーブル1本で繋げば、ディスプレイ側のWebカメラ・マイク・電源・USBハブ・有線LANを使うことができます。USB-Cだけでなく、HDMIやVGA接続に対応しており、幅広いPCで利用できます。
EliteDisplay E243dを実際に購入してレビューしてみました。

パネルタイプ | 23.8型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、HDMI ×1、USB-C ×1(USB PD 最大65W) |
Webカメラ | 720p |
Windows Hello対応 | × |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(デュアルマイク) |
スピーカー | ×(オーディオ出力あり) |
HP EliteDisplay27インチUSB-CドッキングモニターE273d
EliteDisplay E243dの27インチ版です。カメラはE243dと同じポップアップ型で、画面サイズ以外のスペックもほぼ同じです。
パネルタイプ | 27型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、HDMI ×1、USB-C ×1(USB PD 最大65W) |
Webカメラ | 720p |
Windows Hello対応 | × |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○(デュアルマイク) |
スピーカー | ×(オーディオ出力あり) |
LG
LG UltraFine 5K Display 27MD5KL-B
Apple Storeでも販売されている、Mac向けのディスプレイです。27インチで5Kという驚異の解像度に、入出力はThunderbolt 3とUSB-Cのみ、USB PDは最大94WでMacBook Pro 16インチにも対応と、割り切ったハイエンド仕様になっています。
パネルタイプ | 27型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 5,120×2,880(5K) |
映像入力 | Thunderbolt 3 ×1(USB PD最大94W) |
Webカメラ | あり |
Windows Hello対応 | × |
プライバシーシャッター | × |
内蔵マイク | ○(デュアルマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
Lenovo
ThinkVision T24v-20
USB-Cには対応しないものの、それ以外の機能はバランスよく搭載しており、コスパの高いディスプレイです。上部のカメラは回転させることでレンズを隠すことができます。
パネルタイプ | 23.8型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、Displayport1.2 ×1、HDMI1.4 ×1 |
Webカメラ | 1080pカメラ(200万画素) |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○ |
内蔵マイク | ○(デュアルマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 3W+3W) |
ThinkVision T22v-20
T24v-20の21.5インチ版です。価格差はわずかなので、サイズを取るか、価格を取るか、迷いどころです。
パネルタイプ | 21.5型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、Displayport1.2 ×1、HDMI1.4 ×1 |
Webカメラ | 1080pカメラ(200万画素) |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○ |
内蔵マイク | ○(デュアルマイク) |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 3W+3W) |
Philips
32:9 SuperWide カーブド液晶ディスプレイ 499P9H1/11
49インチの巨大なカーブドディスプレイ。解像度は5120×1440にも及びます。USB-Cを使ったドッキングステーションになるよう作られており、USB PDによる電源供給にも対応しています。スタンドを含めた重量は約15kgになるので、設置の際にはお気をつけください。
パネルタイプ | 48.8型ウルトラワイド VAアンチグレア |
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解像度 | 5,120×1,440 |
映像入力 | Displayport 1.4 ×1、HDMI 2.0b ×2、USB-C 3.1 Gen2 ×1(USB PD 最大65W) |
Webカメラ | 2.0メガピクセルFHDカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○ |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
32:10 SuperWide カーブド液晶ディスプレイ 439P9H1/11
499P9H1/11の43インチ版ですが、USB PDが最大75Wだったり、HDMIが1基だったり、スペックが微妙に異なります。
パネルタイプ | 43.4型ウルトラワイド VAアンチグレア |
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解像度 | 3,840×1,200 |
映像入力 | Displayport 1.4 ×2、HDMI 2.0b ×1、USB-C 3.2 Gen1 ×2(USB PD 最大75W) |
Webカメラ | 2.0メガピクセルFHDカメラ |
Windows Hello対応 | ○ |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○ |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 5W+5W) |
PowerSensor 搭載 4K UHD 液晶モニター 272P7VPTKEB/11
2016年の製品ですが、IPSパネルで27インチ 4K解像度と現在でも見劣りしないスペックです。MHLはスマートフォンの画面をMicroUSB→HDMI経由で表示するための規格ですが、USB-C対応のスマホが普及した現在は使う機会は少ないでしょう。
パネルタイプ | 27型ワイド IPSアンチグレア |
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解像度 | 3,840×2,160(4K) |
映像入力 | VGA ×1、Displayport 1.2 ×1、MiniDisplayport 1.2 ×1、HDMI 2.0 ×1 |
Webカメラ | 2.0メガピクセルFHDカメラ |
Windows Hello対応 | × |
プライバシーシャッター | ○(ポップアップ型) |
内蔵マイク | ○ |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 2W+2W) |
GREEN HOUSE
GH-ALCT24B-BK
Windows 10のマルチタッチ機能に対応しています。背面にスタンドを備えていて、15度から70度までタッチしやすい角度に調整ができます。
パネルタイプ | 23.6型ワイド VAグレア |
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解像度 | 1,920×1,080 |
映像入力 | VGA ×1、Displayport ×1、HDMI ×1 |
Webカメラ | 有効画素数92万画素/最大解像度1,280×720/固定フォーカス |
Windows Hello対応 | × |
プライバシーシャッター | × |
内蔵マイク | ○ |
スピーカー | ○(ステレオスピーカー 1.5W+1.5W) |
まとめ
カメラ内蔵ディスプレイは非常にニッチな製品ではあるものの、テレワークでのカメラ需要やUSB-Cの普及によるディスプレイの高機能化で、今後メジャーな周辺機器になっていくかもしれません。引き続きこのジャンルは追っていきます。