次世代電源規格USB PowerDelivery
Retina MacBookに採用されたことで、その名を知られ始めた電源規格USB Power Delivery(以下USB PD)。USB-Cケーブルを使って最大100Wの電力を供給するということで、MacBookのみならず各社のノートPCやディスプレイでも採用が進んでいます(非公式ながらニンテンドースイッチもUSB PDです)。
iPhoneやiPadも、QuickChargeではなくUSB PDを採用し、急速充電を可能にしています。
USB PDの周辺機器事情
USB PD機器に期待が寄せられるのは、下記のような利便性があるから。
- ケーブル1本で電源だけでなく、ディスプレイ、USBハブなどをまとめられる
- PCもモバイルバッテリーで充電できる
- PCもスマホも共通のACアダプターが使える
1については、USB PDというよりもUSB Type-Cを採用したUSB規格の話ではあるものの、LGやDellといった有名メーカーからハイエンド製品を中心に対応が進んでおり、近い将来、デファクトスタンダードになることがわかります。
2についても徐々に対応が進んでいます。ノートPCのような大容量のバッテリーに給電するには、モバイルバッテリーそのものも大型化してしまいますが、バッテリーセルの小型化やGaNの採用で、小型で大出力のモバイルバッテリーが増えてきています。
例えば、AnkerのPowerCore III 19200 60Wというモバイルバッテリー(下記)は電源供給可能な最大60Wの出力を持ち、19,200mAhもの容量があります。Ankerとしても公式にMacBook ProやLenovoやHPほかノートPCに充電可能であるとしています。
3は今後最も普及が進む分野です。iPhoneがUSB PDを採用し、QuickChargeも4.0になってUSB PDと互換性を持つ様になったため、スマホとPCの充電規格がまとまってこようとしています。
ANKERのUSB PD充電器がリニューアル
さて、そんなUSB PDの事情がある中、早い段階からUSB PDに対応した機器をリリースしていたのが、ANKER。まだ市場にPD対応機器が少ない頃に、USB PDに対応したUSB-Cポートを含む5ポートのUSB-ACアダプタであるAnker PowerPort+ 5 USB-C Power Deliveryを発売しました。
そして、2018年になってその後継とも言えるAnker PowerPort I PD – 1 PD & 4を発売しました。
購入した翌日には届きました。しかし、見慣れたいつものANKERパッケージではありません。
パッケージには、エンボスで模様が入っています。
よーく見ると、これまでに発売してきたAnker製品のシルエットの様です。PowerPortやPowerLineの姿が見えます。
そして、見慣れていた「Thanks for choosing Anker」はシールに変わっています。
めくりっ。
内容物は、PowerPortのほかにACケーブルや結束バンド、PowerPortを固定するためのシールなどが付属しています。
USB PDに対応したUSB-Cポートが1つ、PowerIQに対応したUSB Type-Aポートが4つ並びます。
梨地仕上げの表面はさらっとした手触りで、指紋が付きにくいようになっています。
旧モデルのPowerPort+ 5 USB-C Power Deliveryと比較
こちらの記事をご覧になっている方が気になるのはやはり前のモデルから何が変わったのかということでしょう。PowerPort+ 5(写真右)が手元にあるので、比較してみたいと思います。
左がPowerPort+ 5、右がPowerPort I PD – 1 PD & 4です。フットプリントとしてはほぼ変わらず。PowerPort+ 5はポート側がバッサリ切り落としたようなデザインになっている一方で、PowerPort I PD – 1 PD & 4は四隅が丸みを帯びています。
よく見ると、ANKERロゴも違います。PowerPort+ 5は2016年の製品でもあるため、ロゴはこれまでのもの。
次は、PowerPort I PD – 1 PD & 4です。ANKERはeufyやZoloなどサブブランドを分けたので、ANKER製品はモバイルバッテリーなどの電源関連にフォーカスするようになったため、それを強調するように「A」が電源を表しています。
重さを見ていきましょう。PowerPort+ 5は214.1g。
PowerPort I PD – 1 PD & 4は237.3g。こちらの方が重いですね。
次に、電源としての性能を見てみましょう。
まずはPowerPort+ 5。USB PDの出力は最大で30W、その他4ポートのPowerIQは1ポートの最大電流が2.4Aで、4ポート合計で30Wとなっています。つまり、本製品は最大60Wということになります。
次に、PowerPort I PD – 1 PD & 4。USB PDの出力は最大で30W、その他4ポートのPowerIQは1ポートの最大電流が2.4Aで、4ポート合計で30W。合わせて最大60W。表記上の性能は同一です。
PowerPort+ 5もまだ売っているので、しばらく併売するのか、あるいは切り替えるのか分かりませんが、性能面での差異はなさそうなので、デザインや値段で選ぶのもアリではないでしょうか?(現在はPowerPort+ 5は販売されていません)
後日、USB PD出力を2ポート持ったPowerPort Atom PD 4が登場しましたが……