イチロー選手を間近で撮りたい!チケット争奪戦の末、運よくMLB開幕第2戦@東京ドームのチケットが取れました。もしかしたらイチローを観る最後のチャンスなのかもしれない(結果的に引退試合でしたね……)。
遡ること7年前、2012年3月29日のマリナーズ vs アスレチックス(東京ドーム)ではこんな写真を撮ってました。
かろうじて背番号51が判別できる距離。もっと寄って見ええないか、と考えはじめたのですが……
iPhoneで使える超望遠レンズはどれだ?
タイミングよく、雑誌DIMEの付録で超望遠8倍のスマホ用レンズを入手したんですが、試合の座席は内野2階席。8倍ではどこまで見えるか分からない……
もっと倍率の高いスマホ用レンズはあるのだろうかと探していたところ……
最大倍率75倍の“フィールドスコープ”にスマホアダプター?
iPhoneにレンズを取り付けるのではなく、双眼鏡にiPhoneを取り付けることができないか、と発想を転換しました。そうすると、双眼鏡ではなく、単眼の望遠鏡であるフィールドスコープ用のスマホアダプターがあることが分かりました。
日本国内で入手可能なフィールドスコープといえば、ニコンやVixen、Kowa、ケンコーなどが挙げられます。しかし、いずれも数万円単位での出費になり、気軽に試してみるにはハードルが高いです。
Amazonでリーズナブルな製品を探してみると、SVBONYという会社の製品がスマホアダプター込みで数千円で販売されていました。
そもそもフィールドスコープ自体が初めてだし、野球観戦にフィールドスコープが有効なのか分からないので、お試し的に5,980円(購入当時)で販売されていた上記の製品を購入してみることにしました。
SVBONY SV28 フィールドスコープをレビュー
Amazon発送だったこともあり、翌日には届きました。
想像していたよりもかなり大きい箱でした……。iPhoneの中でも最大サイズの画面を持つiPhone XS Maxと比べてみてください。
箱の中には、キャリングケースに入ったフィールドスコープと、スマホアダプターが同梱されていました。
スマホアダプターは、別売されているものが添付されていたようで、箱が折りたたまれて入っていました。律儀な販売者なんだな……(嫌いじゃない)。
さて、まずはフィールドスコープから見てみましょう。
キャリングケースの中には、SV28 フィールドスコープ本体、三脚、スコープカバー、クリーニングクロス、説明書が入っていました。
三脚は、伸縮しない簡易的なもの。台に載せて使うことを考えたらこれで十分でしょう。
SV28 フィールドスコープは、iPhone XS Maxと比較してもこの大きさ。これ持ってるだけで素人感ゼロです。
その名の通り野外で使うことを想定した製品なので、WATERPROOF(防水)の表記があります。
25倍から75倍の倍率に対応しています。右上にあるツマミで焦点を合わせます。
底面には三脚穴があります。三脚ネジを締めすぎても破損しないよう、クッションゴムが使われています。
レンズ側はかなりの大口径。カメラレンズでこんな大口径・超望遠の製品を買ったら、お金がいくらあっても足りません。
スコープ側に倍率の表記があります。
ちなみに、丁寧に日本語訳された取り扱い説明書が付属するので、迷うことはありませんでした。
このフィールドスコープにどんなアダプターがあればiPhoneを取り付けられるのでしょうか。
フィールドスコープ用スマホアダプターをチェック
こちらがフィールドスコープ用のスマホアダプターです。一見して不思議な形状をしていますよね。
八角形のパーツのネジを回して、万力のようにスコープを挟み込み、固定します。
スマホホルダーにiPhoneを挟めば完了です。スマホホルダーは半回転するので、カメラを起動してファインダーの位置に合わせます。
取り付けたはいいものの、スマホのカメラ位置とファインダーの覗き位置を合わせないといけないので、微調整に時間がかかりました。
公園で桜を試し撮りしてみた
まずは、iPhoneでズームなし(1x)で撮影してみます。中央の桜にご注目ください。遠いですねー。
次にiPhoneの望遠(2x)で撮ります。まだまだ遠い……。
iPhoneのカメラの限界であるデジタルズーム(10x)まで迫ってみました。
iPhoneのカメラではここが限界。それでは、SV28にスマホアダプターを取り付けてiPhoneで見てみましょう。
75倍ズームは驚異の拡大力!
先ほどと同じ場所から、まずは25倍ズーム。めちゃめちゃ寄れてます。
さらに50倍ズーム。この倍率まで来ると、わずかな風でも揺れてブレます。
最大の75倍まで寄りました。スマホのカメラでは体験できない領域まで見えます。
なお、実際にはiPhoneのカメラでファインダーを覗いている状態なので、実際にはこのように映っています。ここまでの写真はトリミングによるものでした。
フィールドスコープの目的は撮ることではなく、見えることなので、これは仕方ないことでしょう。(ちゃんと撮りたいなら、デジタル一眼用の超望遠レンズかアダプタを買うべきですから)
MLB開幕第2戦、東京ドームへ
というわけで、イチロー選手を見る準備は万端、2019年3月21日(木)の東京ドームに向かいました。
しかし、ここで一つ誤算がありました。ドームの観客席では三脚が使えないのです。これは厳しい戦いになりそうだ。
一塁側内野2階席からiPhoneで撮ってみる
内野2階席は、建物でいうと4階建てに相当します。球場全体を見渡せるパノラマシートでしたが、眼下の選手たちはほとんど米粒のようです。イチロー選手のいるマリナーズは、三塁側ベンチなのですが……
何も付けていない状態のiPhoneで撮影した、試合中の三塁側ベンチ写真です。拡大した状態で見てみますが、すでにボヤボヤしています。
もっと拡大してみましょう。選手たちの顔がほぼ1ドットくらいしかありません。
iPhoneだけで撮るのは絶望的だ……
ちなみに、iPhoneに8倍ズームのスマホ用レンズを付けた場合の見え方は、下記の記事を参照してください。
SVBONY SV28 フィールドスコープを使う
SV28フィールドスコープで三塁側ベンチを見てみました。イチロー選手が見えたー!さすがに解像度はちょっと粗々ですが、表情まで分かるくらいに寄れてます。
ネクストバッターサークルのイチロー選手も見えました。
バッターボックスに立つイチロー選手も!
ライトの守備に立つイチロー選手も!
かっこいいぞ!イチロー選手!
……しかし、皆さんもご存知の通り、この試合中に「第一線から退く」旨のニュースが流れ、試合後にイチロー選手は引退を表明しました……。
東京ドームから戻ったその足で記者会見を全部見て、本当に今日で最後だったんだ……と切なくなったのでした……。
まとめ
東京ドームでは三脚が使えなかったため、かなりの失敗写真があります。あと、倍率が高いのに目標(イチロー選手)が遠く小さいものだから、一度見失うとしばらく見つけられず迷いました。フィールドスコープはそこそこ大きいため、手元で1センチ揺れると、グラウンドでは10メートルに相当するようなブレ具合でした。
そんなわけで、フィールドスコープにiPhoneを取り付けるメリットは「肉眼では見えない距離でもちゃんと見える」。そして、デメリットは下記の通り。
- 三脚がないとブレまくる
- トリミング前提なので解像度が粗くなる
- 倍率が高いので目標物が動いた時に追えない
あと、これはSV28に言えることなんですが、倍率を変える(25x→50x→75x)と光軸がずれるようで、iPhoneのカメラの見え方を調整しなければなりませんでした。また、焦点もそのたびに合わせる必要があります。これがかなり面倒で、最後の方は75倍固定で撮っていました。(有名メーカーのはおそらく違うと思うんですけど)
フィールドスコープ&スマホの組み合わせは、目的がはっきりしているとメリットは大きいんですが、しっかりシミュレーションしていかないとフィールドスコープに振り回される、という結論でした。
次は撮影よりも、純粋にフィールドスコープとして楽しんでみようかな。