欠航は突然やってくる
ある日、LCCのジェットスターにて、成田空港から宮崎ブーゲンビリア空港へ行くことになっていました。
成田空港第3ターミナルに到着して、インフォメーションディスプレイを見ると、宮崎便に備考が表示されていました……
備考欄には「機材繰りのため(Due to Aircraft rotation)」、状況欄には……
「欠航(Cancelled)」の文字が!!!
※けっきょく、この日は宮崎ブーゲンビリア空港にたどり着くことができませんでした。成田空港近隣のホテルに泊まり(無料で泊まれたけど周りに何もなくて暇だった)、翌日の便で飛びました。
欠航について調べてみる
私たちはある日突然欠航に出会います。それは、もう、避けられない運命。
この「欠航」という事態、いったいどのようなものなのでしょうか?
国内主要航空会社の遅延率と欠航率
国土交通省が主要航空会社の情報公開をしていまして、年度別のPDFに調査結果がまとめられていました。
〈公開の趣旨〉
航空:航空輸送サービスに係る情報公開 – 国土交通省
航空局では、定期的に航空輸送サービスに係る情報公開を実施しております。
当情報公開は、航空事業者間の競争状況を確認するとともに、航空利用者による自由かつ的確な
航空輸送サービスの選択に資するよう、事業運営状況に係る透明性を高める観点から、実施しております。
上記の調査結果から、平成30年度上期(2018年4月〜9月)の国内主要航空会社の遅延率(15分以上の遅延)と、欠航率を表にしてみました。それが下記の表です。
遅延率 | 欠航率 | |
---|---|---|
日本航空(JAL) | 9.99% | 1.94% |
全日空(ANA) | 10.46% | 3.08% |
日本トランスオーシャン | 24.22% | 3.05% |
スカイマーク | 7.42% | 1.89% |
AirDo | 7.44% | 2.43% |
ソラシドエア | 14.52% | 2.37% |
スターフライヤー | 7.32% | 2.03% |
ピーチアビエーション | 18.86% | 3.31% |
ジェットスター | 18.87% | 4.84% |
バニラ・エア | 22.94% | 3.05% |
春秋航空 | 20.85% | 2.26% |
エアアジア | 10.76% | 2.46% |
この表の遅延率を見ると、大手2社のJALとANAが10%前後の遅延率であるのに対して、ピーチやジェットスターなどのLCC各社は20%の遅延率で大きく差があることが分かります。
一方、欠航率を見ると、大手2社のJALとANAには明確な数字の差が出ています。この違いはなんなのでしょうか?また、LCCではジェットスターだけ5%に近い欠航率になっています。5%の欠航率だと「20本に1本は欠航」という確率です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
国内主要航空会社の欠航理由とは?
そもそも何が原因で欠航になるのでしょうか?先ほどの調査結果には、欠航理由を含めた内訳も掲載されていました。こちらも表にしてみました。
主な欠航理由としては、下記の4つに分類されています。
- 天候(台風や大雪、霧による視界不良、等)
- 機材故障(故障が見つかって飛ばせない、等)
- 機材繰り(到着便遅れなどで次の便が出せない、等)
- その他
これらの欠航理由を念頭に置いて、表を見てみてください。
天候 | 機材故障 | 機材繰り | その他 | |
---|---|---|---|---|
日本航空 | 1.32% | 0.06% | 0.23% | 0.34% |
全日空 | 1.42% | 0.03% | 0.22% | 1.41% |
日本トランスオーシャン | 2.20% | 0.01% | 0.21% | 0.63% |
スカイマーク | 1.71% | 0.05% | 0.11% | 0.02% |
AirDo | 1.56% | 0.13% | 0.72% | 0.01% |
ソラシドエア | 1.61% | 0.07% | 0.11% | 0.57% |
スターフライヤー | 0.81% | 0.09% | 0.19% | 0.94% |
ピーチアビエーション | 1.67% | 0.10% | 0.08% | 1.46% |
ジェットスター | 1.93% | 0.34% | 1.28% | 1.30% |
バニラ・エア | 1.78% | 0.15% | 0.37% | 0.75% |
春秋航空 | 0.82% | 0.00% | 0.82% | 0.63% |
エアアジア | 2.46% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
先ほどの表では、欠航率に差が出ていたJALとANAですが、天候・機材関連ではほとんど差がありません。「その他」で差がついているようです(詳細は不明)。
天候での欠航は、台風や大雪など、季節や地域の要因が強いので、これは止むを得ないところでしょう。沖縄への就航路線が中心の日本トランスオーシャン航空と、新千歳と中部を結ぶだけのエアアジアが2%台なのも頷けます。
機材故障による欠航は、航空会社の規模によって大きく差がつくところです。予備機材や整備時間など、余裕のないLCCには辛いところです。特にANAは機材故障による欠航率は0.03%。つまり1,000本に3本ほど。万全の態勢と言えるでしょう。一方でLCCのジェットスターは0.34%。率にすれば大したことなさそうですが、ANAと比べると約11倍の欠航率にもなります。
機材繰りによる欠航も同様です。到着便が予定通りに来なかった場合、機材に余裕のない航空会社では、そのまま欠航となることもあります。ここではジェットスターのみが1%台の欠航率となっています。
欠航が知らされると、選択肢は「変更」か「払い戻し」
欠航が決まると、私たちには2つの選択肢が与えられます。予約を別の便に変更するか、予約をキャンセルして払い戻してもらうか、です。
1. 欠航に伴う「予約変更」で気をつけること
多くの方が、次の便や翌日の便に振り替えを行うでしょう。しかし、欠航が決まった直後は、航空会社カウンター前は非常に混乱しますし、スタッフの皆さんも大忙しです。いくつか注意すべき点があります。
A. 急ぐとき
翌日の便に振り替えたり、目的地を他の空港に変更してもらったり、予約変更はかなり柔軟に行ってもらえます。
次の選択肢を確認してください。もしかしたら、多少の費用が発生するかもしれませんが覚悟しましょう。(追加費用が惜しいと思うなら、それは、本当は急いでいない証拠です)
a. 同じ路線のフライトはまだあるか?
もし、同日中に同じ路線のフライトがあれば、それが振り替え先になります。カウンターでもその便を案内してくれるでしょう。気をつけなければならないのは、その便の空席状況です。空きが少なくなっていれば、さらにその次の便への振り替えになります。
ただし、週末や連休前の路線であれば、振り替え便にも乗れない可能性があります。行列が長く、なかなか順番が来ないときには、先に航空会社のサイトでネット予約をしてしまいましょう。カウンターでその予約番号を伝えれば、振替先として充当してくれるはずです(クレジット決済をしてしまう予約の場合でも、クレジット手数料は取られるものの、払い戻しに応じてくれるはずです)
b. ほかの空港は使えないか?
振り替え便が満席になってしまった場合でも、別の空港行きのフライトに変更できることがあります。例えば、東京方面で、成田空港行きだった場合、羽田空港行きも検討できます。大阪方面なら、伊丹空港ではなく関西空港も検討できます。
c. 空路以外の手段はないか?
新幹線や特急、バスなど空路以外の手段が使える場合、差額を航空会社が負担してくれることがあります。後日精算になりますが、負担先が不明な場合でも証明ができるように領収書を忘れずに取得し保管しましょう。
B. 急がないとき
予約変更はWebサイトからも行えます。あるいは、航空会社のカウンターの行列に並びましょう。各航空会社では、宿泊先のホテルの手配や、交通手段の手配など、欠航に備えて様々な準備があります。快適とはいかないかもしれませんが、不便を感じることはありません。(特に、大手であればあるほど)
2. 欠航に伴う「払い戻し」で気をつけること
一般的に、欠航の際の払い戻し(返金)は、キャンセル料(取消手数料や払い戻し手数料)がかかりませんし、後日手続きすることもできます。
ただし、支払方法や取扱内容によって、払い戻しの手順や、払い戻しまでの日数がかかることがあります(出発予定日を基準にして期限が設定されています。くれぐれも忘れないように注意しましょう)。
また、払い戻しは後日行われることがほとんどです。その場では払い戻しされません。この記事の最後に各航空会社の該当ページへのリンクを貼っていますので、参考にしてください。
欠航が決まると、航空会社カウンター前が非常に混雑します。払い戻しはWebサイトや電話でも手続きができるので、慌てずに行動しましょう。
参考:国内各航空会社の予約変更・払戻案内
国内各航空会社の予約変更(振替)および払戻(返金)の案内URLを貼っておきます。ご参考まで。(2019年2月現在の情報です)
日本航空
全日空
変更/払い戻し | ご予約/旅の計画 | 航空券予約・空席照会 | ANA
日本トランスオーシャン
日本トランスオーシャン航空は日本航空のグループ会社なので、同内容が適用されるようです。
運航に影響が見込まれる際の変更・払い戻し – JAL国内線
スカイマーク
欠航遅延発生時の航空券の取扱について|変更・取消・払戻|スカイマーク SKYMARK
AirDo
遅延・欠航などが発生したら | 予約変更・払い戻しのご案内 | 航空券の予約・購入 | 北海道発着の飛行機予約・空席照会|AIRDO(エア・ドゥ)
ソラシドエア
お客様都合以外での変更・払戻しについて|予約・購入方法|ソラシドエア
スターフライヤー
悪天候・機材故障などでの変更・払い戻し | 変更・払い戻し(キャンセル)について | 航空会社スターフライヤー
ピーチアビエーション
ジェットスター
バニラ・エア
ご予約便が欠航した場合の変更・払い戻しについて | バニラエア Vanilla Air – 国内 海外のLCC 格安航空券 飛行機の検索・予約
春秋航空
飛行機の欠航や遅延補償、天候不良や機材整備などによる遅延・欠航時の対応について – 春秋航空日本公式サイト