【本記事の概要】無印良品が初のワイヤレスヘッドホンを6,990円で発売した。正方形のイヤーカップと厚みのあるイヤーパッドが特徴的なデザインで、低音と高音が強調されたチューニングが施されており、ノイズキャンセリング機能も実用的な精度で動作する。
一方、外音取り込み機能・マルチポイント接続・専用アプリといった同価格帯では標準的な機能が搭載されていない。無印良品らしい「引き算」の思想による意図的な割り切りと考えられ、シンプルな使い勝手を重視した製品に仕上がっている。
無印良品からついにワイヤレスヘッドホンが発売!
無印良品からワイヤレスヘッドホンが登場する、というニュースを目にしたのが2026年の1月のこと。無印良品のガジェットは数あれど、ワイヤレスオーディオは初めてのこと。しかもワイヤレスイヤホンだけでなくワイヤレスヘッドホンにポータブルスピーカーまで、一挙に揃えるという。
どんな製品になるのか期待を膨らませ、7月15日にいよいよ発売。この記事を書いている段階では、無印良品のネットストアでは売切という状況だが、近所の無印良品に在庫があったので購入してみた。

無印良品のワイヤレスヘッドホンのお値段は6,990円、ショッパーの紙袋を足せばちょうど7,000円。ワイヤレスヘッドホンとしては、エントリーモデルの価格帯で、Amazonを探せばコスパのいい製品が並んでいる価格帯でもある、ライバルは多い。果たしてどんな製品に仕上がったのかレビューします。
無印良品の店頭では試着や試聴ができることがあるので、お近くの店舗をご確認ください。ネットストアで注文して、近所の店舗での受け取りも可能です。
ファーストインプレッションは「左右のユニットがでかい」
パッケージには必要な情報が網羅されているので、店頭でも十分な情報が得られます。


というわけで、開封。今回購入したカラーは「ホワイト」。無印良品らしい「ホワイト」と「グレー」の色展開で、グレーも無印良品らしい落ち着いた色合いだったが、ホワイトもかなり綺麗な無印色だったので、迷った末にホワイトにした。


第一印象としては「でかい」だった。一般的なワイヤレスヘッドホンの左右のユニットは耳を包み込む楕円形なのだが、無印良品のワイヤレスヘッドホンはほぼ正方形。さらに、左右のユニットにかなり厚みがあり、総じて大きく見える。イヤーカップは無印良品らしいマットな見た目にツルッとした質感で、無印好きな人なら気に入るはず。


無印ヘッドホンを装着して鏡で真正面から見てみると、左右のユニットの厚みで、自分が小顔に見えるまであった。ちなみに、側圧はやや強め。1-2時間聴いてると、少し締め付けを感じ始めるので、適度に休憩するのがよさそう。(※頭が大きい人の感想です)


デザイン的にはMarshallのMajor Vを意識させるような正方形のユニットながら、Major Vはオンイヤー型(耳の上に載せるタイプ)、無印ヘッドホンはアラウンドイヤー型(耳全体を覆うタイプ)なので、より大きく見えた。

そのほかのポイントを見ていく。ノイズキャンセリング機能のためのマイクは上向きについている。ヘッドバンドの内側は柔らかいシリコン製のようだが、あまりクッション性はない。ヘッドバンドの調整には金属が使われていて、剛性感がある。


無印のワイヤレスヘッドホンは、イヤーパッドが独特
無印良品のワイヤレスヘッドホンの特徴は、このイヤーパッドだ。四角い形状に加えて、厚みがある。しかも、使い始めた当初はかなり固めのフォームで、少し動くごとに「ギュギュ」と音がするほどだった。数時間使っていくうちに柔らかく馴染んできたが、ヘッドホンのイヤーパッドは柔らかくフィットしやすいものが多いので、意表をつかれた。

けしてコストダウンではなく、意図があってこのイヤーパッドにしているようで、迫力ある音のために空間を作ったり、ノイズキャンセリングのためにパッドに厚みを持たせている、のだと理解している。
無印のワイヤレスヘッドホンは、首かけしてホールドしやすい
ちなみに、イヤーパッドが四角くなったことで、楕円形のイヤーパッドに比べて縦の面積が少なくなっている。これによって、ヘッドホンを首かけした際に、首周りに余裕が生まれた。


他社製のヘッドホンを首にかけると、隙間がなくなり詰まりやすかったが、無印良品のヘッドホンは首かけしてホールドしやすい。これはいいメリットだった。
無印良品のワイヤレスヘッドホンはどんな音がする?
さて、いよいよワイヤレスヘッドホンの音をチェックしていく。気になっている人も多いはず。iPhone 17 Pro Maxとペアリングして、Apple Musicの曲を聴いてみた。

聴き慣れている曲をいくつか聴いてみたところ、かなり分かりやすいチューニングをしている。まず低音の押し出しが強い。ドコドコ鳴る。そして、高音もキラキラしている。一方で、低音と高音がわかりやすく前に出てくるので、ボーカルが一歩後ろに引いたように聴こえる。とはいえ、ふだんイヤホンしか使っていない人なら、「ヘッドホンってすごい」って思うことは間違いない、そんな分かりやすい音だった。
(個人的にはちょっとイコライザーで調整したいな……とは思ったけど。)
本製品で最も聞き応えのある音楽は何なのか?
無印良品のヘッドホンで聴く音楽で、ベンチマークされているのは何だろうか?と考えたときに、これだなと思いました。MUJI BGMです。つまり、ボーカルレスな音楽が一番ちゃんと響きます。むしろ抜群。特に弦楽器の透明感や木管楽器の柔らかい感じなど、いい響きが伝わってきます。
ノイズキャンセリングは、いい精度で効いている
それから、本製品の正式な名称は「ワイヤレスヘッドホン ノイズキャンセル機能付」というわけで、ノイズキャンセル機能ついてもコメントしておくと、ちゃんと効いてる、と思った。エアコンがガンガンに稼働した部屋の中でも、スッと静かになるし、街中でもかなり静かになる。無音とまではいかないまでも、いい精度で効いている。厚めのイヤーパッドもこのノイズキャンセリング効果に寄与しているようだ。
ワイヤレスヘッドホンに「ありそう」なものが「ない」
無印良品のワイヤレスヘッドホンを使ってみて意外だったのは、市場に多数出回っているワイヤレスヘッドホン(特にこの価格帯)にありそうな機能が、ことごとく「ない」こと。あえて絞ってシンプルに仕上げた、ということなのか。何がないのか見ていこう。
ノイズキャンセリングはあるが、外音取り込みはない
一般的なワイヤレスヘッドホンならば、ノイズキャンセリング(外の音を遮断する)機能とセットで実装されるのが、外音取り込みだ。まるでヘッドホンが透明になったように外の音を取り込む機能だが、無印良品のワイヤレスヘッドホンにこの機能はない。ANCボタンを押しても、ANCがオンになるかオフになるか、という違いしかない。
マルチポイント接続がない
無印良品のワイヤレスヘッドホンのペアリング台数は1台のみとなっている。最近のワイヤレスヘッドホンは2台同時に接続して、待機できるマルチポイント接続が当たり前になっている。例えば、スマホとPC、スマホとタブレットのように。ところが、本製品は1台のみ。
専用アプリがない
最近のワイヤレスヘッドホンは、専用アプリを用意することで、イコライザーが使えたり、製品のアップデートが行えたり、マルチポイント接続の管理を行ったりできる。しかし、無印良品のワイヤレスヘッドホンには、アプリが存在しない。
無印良品のワイヤレスヘッドホンは、機能をあえて割り切ったのか
これらの機能が搭載されない理由は明らかではないが、十分な性能が出ない、推奨しない、コストが合わない、など理由はさまざまに考えられる。しかし、同価格帯のヘッドホンでは当たり前のように搭載されている機能なので、明確にこの機能をオフにしたということだろう。
ユーザーにとって必要なものを必要な性能で提供する、と考えたときに、機能を揃えるよりも、シンプルに使ってもらいたい、と企図したのかもしれない。
無印良品 ワイヤレスヘッドホンのまとめ「機能の割り切りが面白い」
さまざまな製品のレビューを行なっていると「トレンドの機能がない」「他社製品と比べてあの機能が足りない」など、減点法で考えがちです。他社比較で不足が無いよう、メーカー側でも、横並びで機能を揃えていることは想像に難くありません。ただ、オーディオマニアでもない一般のお客さんが本当に気にするポイントなのか?本当に必要としているのか?という疑問はあります。
特に無印良品という「引き算」が得意なブランドからすると、押さえるべきポイントは押さえつつ、シンプルさを保つために機能を割り切って体験を重視したのではないかと考えると、(価格の割に)本製品の割り切った仕様が腑に落ちます。
オーディオマニアの人々からは批判されそうな割り切った製品ではあるものの、「本当に必要な機能は何か」という命題に立って絞っていくとこうなったのではないか、そう考えてしまう無印良品らしいワイヤレスヘッドホンです。
