調理器具もクラウドファンディングの時代!今回紹介する製品は、クラウドファンディングで展開されている「低温調理器」です。
製品レビューのオファーをいただいたんですが、ふだんから料理しない自分でも使えるのかな、と一抹の不安を覚えました。ただ、そういう観点でレビューするのはアリだなとお受けしてみることにしました。
さて、いったいどんな製品なのでしょうか。
アプリと連動する低温調理器「NiseWave」
今回紹介する製品は、低温調理器の「NiseWave」。日本のクラウドファンディングサイトMakuakeでプロジェクトが展開されています。すでに目標金額を遥かに超えて、プロジェクトは成立しています。
NiseWaveをレビュー
届いたパッケージは縦に長いボックスで、ワインボトルでも入っているようなサイズ感です。
iPhoneの中でも最大サイズのiPhone 11 Pro Maxを置いてみました。NiseWaveのパッケージの大きさ、伝わるでしょうか。
パッケージの背面には、インスタ映えしそうな美味しそうな料理の数々が並んでいます。こんな料理が本当に作れるのか……まだまだ懐疑的です。
パッケージを開くと、黒一色の高級そうな内箱があらわれました。
ロゴが箔押しされています。
内箱は両開きで、イメージ写真や料理の写真が並びます。
内容物として、NiseWave以外は印刷物です。
こちらがNiseWave本体です。そもそも低温調理器という製品についてよく知らないので、この機器がどんな動きをして、どんな効果をもたらすのかさえ、想像がつきません。
背面には、電源コードと巨大なクリップが付いています。
クリップは、NiseWaveを入れる容器に固定するためのもの。クリップの力はそこまで強くないですが、あまり厚みのあるものは挟めません。
電源コードは直付けです。コード自体が太く取り回しに苦労しそうですが、水場で扱う機器なので、頑丈にしてもらっていた方が安全だと感じました。
なお、NiseWaveの電源プラグは3ピンでした(水場で使うものなのでアースしないといけないですね……)。ただ、家庭の壁面コンセントの多くは2ピンなので、挿せない場合は変換アダプターを使いましょう。(なお、開発元に聞いてもらったところ、調査した上で2ピンのものに変更する可能性もあるそうです)
クリップの根元に電源周りの仕様が書かれていますが、そこに「IPX7」の表記があります。IPX7は「水に浸して問題ないよう保護されている」ことを示しています。もともと水洗いできることを特徴にあげているので、心配なさそうです。
NiseWaveの上面には、電源ボタンとUP/DOWNボタンがあります。のちほどタイマーや温度設定が出てきますが、その際に使用します。
さて……不思議なのが、NiseWaveの下部に存在するこの穴。どんな働きをするのか、現時点ではよくわかりません。
NiseWaveの底面にはスリットがあり、その奥に金属製のパーツが見えます。
NiseWave背面の下部にも穴が開いています。
側面にもあります。
まずは使ってみないと分からないので、電源を入れてみました。
NiseWaveはアプリと連動する
NiseWaveは単体でも低温調理機として動作しますが「Nise」アプリと連動することで、作る料理に合わせた設定を送ったり、遠隔で操作できるようになります。
Niseアプリは未ログインだとレシピしか見られませんが、ログインするとNiseWaveと連携ができます。
アプリとNiseWaveを連携するには、Wi-Fiを使います。2.4GHz帯のアクセスポイントを使いましょう。5GHz帯は使えません。ただ、なぜか私の環境ではうまく連携できなかったので、手動設定で使ってみます。
アプリ上で作りたいレシピを選びます。レシピには「Ingredients(材料)」の欄があり、必要な材料が分かります。今回のレビューではアプリは英語版になっていますが、製品が出荷される頃には日本語版が公開されるようです。
Start Cookingを押すと、調理手順に進みます。下味つけから始まります。
右上のアイコンから「Temperature(温度)」を選ぶことで、出来上がりの加減を自分で選べます。なお「122.0°F」という、日本で使う摂氏(Celsius / ℃)でなく、華氏(Farenheit / °F)表記になっていますが、アプリ内の設定から「Set application units」で変更することができます。
温度設定のあとには、時間を決めます。材料が冷凍されていた場合には「Is the ingredient frozen?」をオンにしておきましょう。調理時間がプラスされます。
手順を進めると、NiseWaveと連携する画面になりますが、今回はアプリとNiseWaveが連携できなかったので、NiseWave自体のボタンから設定を行なって、手動で進めます。
それでは実際に調理を始めていきましょう。
NiseWaveでローストビーフを作ってみる
今回はローストビーフにチャレンジします。ふだん料理しない自分ですが、中でもローストビーフは最もチャレンジしたくない部類の料理です。分厚い肉に均一に熱を通しつつ、肉のジューシーさを保つなんて、難易度高すぎます。
でも、低温調理器ならそれができるそうです。いったいどうやって?
今回用意したのは、オーストラリア産の牛モモ肉ブロックです。これで約335gです(税込643円)。ローストビーフ用と書かれていたので、間違いないです。
まずは下味をつけるために、オモテとウラに塩とコショウをふっておきます(冷凍なので、擦り込むようにしました)。
そして、ここで登場するのが、ジップロック。低温調理時に水が入らないよう、牛モモ肉ブロックを密閉します。
ジップロック以外でも可ですが、中の空気を抜けて、しっかり密閉できるものにしましょう。
ジップロックに密閉しました。ジップロックのSサイズでパツンパツンです。
Makuakeのプロジェクトページの写真では、透明コンテナ+トップカバーが使われていますが、私は持っていないので、カレー用の鍋を使います。
ここにジップロックに入れた牛モモ肉を投入し、水を入れていきます。(水位が低いと調理開始時に警告されます)
温度と時間を設定します。中央の大きな温度表示は現在の水温です。温度計・Wi-Fi・時計のアイコン部分はタッチでき、短く押すと、温度が変更できます。
温度計のアイコンを長押しすると、見慣れた摂氏表記(℃)に変更できます。
で、パネルの左下に設定温度が出ていますが「55.0℃」なんですよね。熱湯というほど熱くなく、お風呂よりも熱い、今回の肉料理で言えば「50℃(ベリーレア)〜67℃(ウェルダン)」あたりで調理するのが、低温調理のようです。
NiseWave上部の電源ボタンを押すと、この設定で調理が始まります。すると、NiseWave下部の穴から温水が吹き出してきます。
NiseWaveの底から水を吸い上げて、温かくなった水を出しているようで、着々と水温が上がっていきます。
動作中は、パネル下部のNiseロゴが白く光っています。
なお、ジップロックの中に空気が残っていたようで、牛モモ肉が浮き上がってきました。そこに温水が当たるので、鍋のまわりに小さい水滴が飛び散ります……調理前にジップロックから空気をしっかり抜いておきましょう(あと、フタいりますね)。
水温が設定温度に達したところで、タイマーがカウントダウンを始めます。調理にかかる時間は、設定水温に上がるまでの時間+タイマー設定時間、ということになります。
しばらくこの水温変化を観察していましたが、ほぼ設定温度の状態を保っており、この温度管理がNiseWaveの技術なのだなと感じました。
NiseWaveが水を循環させながら、水温を維持しているので、キッチンからは水音だけが聞こえます。調理中は特にすることはないので、のんびり待ちましょう。
調理が完了すると、ピーっと音が鳴り、Niseロゴがグリーンに変わります。(途中で摂氏表記に変更しました)
これで低温調理が完了しました。それでは、ローストビーフの出来具合を見てみるとしましょう……。
完成したローストビーフに焼き目をつける
鍋からジップロックを引き上げます。ジップロックの中には肉汁が残っています。グレイビーソースを作る予定の方は捨てないようにご注意ください。
熱したフライパンで、表面に焼き色を付けていきます。低温調理で熱は通っていますので、あくまで焼き色を付けるだけです。
さて、それでは切ってみますか……
低温調理でジューシーなローストビーフが完成した!
とりあえず……切ってみます。
中まで均一に色づいたローストビーフができていました!綺麗に仕上がるものだなと感心しつつ、一切れ食べてみると……柔らかくジューシーで、ほどよく塩味の効いたローストビーフ。すっごい旨い……。
スーパーで買ったオーストラリア産の600円の牛モモ肉が、こんなに美味しく仕上がるなんて、低温調理器NiseWaveすごい……!
まとめ
ローストビーフがうまくできたことに味をしめて、翌日、スーパーで買った肉(250g)でステーキに挑戦してみました。レシピ通りに設定して、これも柔らかジューシーなステーキができました。
ふだん料理をしない私でもここまでのものが作れてしまう、安い肉でこれだけの味が実現できるなら、いきなり!ステーキに行くことはなさそうな気がします。
NiseWaveはMakuakeでプロジェクト展開中です。2020年5月29日までに支払いを完了すると、2020年8月末までに届くようです。日本語化に期待です。