HPのゲーミングPCが、変わる
「ゲーミングPC」と聞くと、カラフルに発光するような目立つPCや、デザイン的に“攻めてる”PCを想像しがちです。
しかし、eスポーツなどのようにPCゲームが競技として認識され、高性能なPCでゲームを楽しむという行為が一般化してきた現代においては、HPが発表した新たな「OMEN」ブランドが、時代に即した変化であることが分かっていただけるのではないでしょうか。
リブランディングされる「OMEN」
ゲーミングPCブランドといえば、DELLのALIENWARE、ASUSのROG、LENOVOのLEGIONなど、個人・法人向けとは異なるブランディングがされています。
HPでも同様にゲーミングブランド「OMEN」が存在します。
今回の新製品発表では、OMENのリブランディングについての説明がありました。
ゲームユーザーは多種多様である
日本におけるエスノグラフィー調査によって、ゲームユーザーは、ひとくくりにできない多様な人々がいるということが分かったそうです(大まかに8タイプに分類できるそうです)。
こういった調査を通し、OMENの新しいブランドステートメントでは、ユーザーの成長の手助けや、“ゲーム”に対する文化的な誤解に立ち向かうこと、ゲームの文化を成長させることを掲げています。
これらを受け、OMENはゲーミングPCのブランドから「ライフスタイルブランド」へと変わり、カルチャーを体現するようなブランドに持っていく、とのことでした。
HPのゲーミングPCポートフォリオ
HPでは、ゲーミングPCを3つの製品ラインに分けています。
- OMEN X……最先端のテクノロジーを提供する製品ライン(X=EXTREME)
- OMEN……最高のゲーム体験とライフスタイルを提供する製品ライン
- パビリオンゲーミング……ゲーミング市場拡大に貢献する製品ライン
これら3つの製品ラインに新製品が登場したので、それぞれ見ていきましょう。
OMEN X 2S 15
最先端のテクノロジーを搭載するOMEN Xラインでは、世界初のデュアルスクリーン搭載のゲーミングノートPCとなる「OMEN X 2S 15」を発表しました。薄さ20mmを誇るスタイリッシュなゲーミングPCです。
OMEN X 2S 15のもう一つの「世界初」は、液体金属の熱伝導素材を採用したで15インチのゲーミングPCであること。強力な冷却機能は、ハイエンドPCにおける重要なファクターです。
HPの調査によれば、ゲームプレイ中にスマホを利用する人は、なんと3人に2人、「必要に応じて使う」まで含めると9割以上に上るそうです。
これは、友達とメッセージ交換、音楽や動画、攻略のサイトを見る、配信を見ながら、ゲームをしながら配信、といった多種多様な用途で使っているそうです。
この5.98インチのタッチディスプレイ上では、さまざまな設定を行うことができます。
このセカンドディスプレイを制御する4つのボタンには、バーチャルテンキーのほか、タッチスクリーン無効も可能、Windowsに戻らずに各種設定も行えます。
Discord、LINE、Skypeを扱うことができるほか、定番のSpotify、Netflix、YouTubeも使うことができます。リアルタイムスクリーンミラーリングで、マップなども表示できていました。
なお、OMEN X 2S 15の液晶パネルが4KではなくフルHDに留まっているのは、リフレッシュレートの問題です。世の中にある4Kパネルのリフレッシュレートが60Hzに留まっており、現状では4Kモデルを用意していないそうです。
OMEN 15 & OMEN 17
最高のゲーム体験とライフスタイルを提供するOMEN製品ラインには、15インチと17インチが登場です。
OMEN 15は従来モデルよりも薄くなりましたが、減ったポートはないようです(ヘッドホンとマイクはコンボになっています)OMEN 17は10%薄くなり、エアフローは11%強化されています。
OMEN X 2S 15にはHDDモデルが存在しませんが、無印OMENにはSSD+HDDの2ドライブモデルが用意されています。
USB-Cは電源オフでもチャージに対応しているそうです。
HP PAVILLION GAMING 15
世の中には、ゲーミングPCを好まない人もいます。そういった人たちを取り込み、ゲーミング市場を拡大するために用意された製品ラインがPAVILLION GAMINGです。
日本で展開される製品はすべて、ゴーストホワイトと呼ばれる白色のLEDを採用、スピーカーはB&Oを採用しています。見た目にはゲーミングPCとは思えません。
ゲームだけではない、様々なユーザーを想定しており、Adobe Photoshop、Premiereを使う人も考慮して、4Kモデルも用意しているそうです。
OMEN X 27
ディスプレイラインは、25インチモデルはフルHD解像度でリフレッシュレート240Hz、27インチモデルはQHD解像度でリフレッシュレート240Hzとなります。FreeSync2 HDRに対応しています。
ディスプレイスタンドには、OMENのロゴマークがあります。このロゴの形状にある、ダイヤモンドは公平性を示すのだそうです。ロゴの由来を聞くと、次から見方が変わりますね。
ディスプレイスタンドの頂点には、ヘッドフォンフックもあります。
引っ掛けるだけなので、着脱も楽です。
狭額縁でスタイリッシュなディスプレイだったので、かなり欲しくなってしまいます。(ちなみに、USB-Cディスプレイではありません)
OMEN MINDFRAME PRIME ヘッドセット/ケース
ゲーミングヘッドセットのOMEN MINDFRAME PRIMEは、アクティブクーリングテクノロジーを採用しており、ペルチェ素子が冷やしてくれるヘッドセットです。
従来の製品よりも一回り大きくなっていますが、イヤーカップが炭素素材に変更されており、つけ心地がアップしています。デュアルマイクで環境ノイズを抑制できたり、OMENコマンドセンターで設定できる項目が多数あったり、ゲーミングヘッドセットとして充実の機能が備えられています。
OMEN APPAREL
OMENがライフスタイルブランドとして展開するにあたり、アイコン的に使われるのはこのアパレル製品でしょう。
これらのTシャツとパーカーは、アジア人を前提としたサイズになっていて、日本人が普段着として使っても違和感のないものに仕上がっています。
OMEN TRANSPORTER
ゲーミングデバイスを運ぶためのバッグ OMEN TRANSPORTERも発表されました。
空港の手荷物検査場でパソコンを取り出さなくていいバッグなのだそうです。
OMEN CITADEL
ゲーミングチェアって、デザイン的にいかにもという形状をしていますが、明らかに快適そうで憧れるんですよね。OMENブランドのゲーミングチェアも登場しました。OMEN CITADELの「CITADEL」は城塞や砦の意味です。
ゲーミングチェアらしい名前ですね。オフィスファニチャーの強度テストを行うANSI/BIFMA家具試験をパスしているそうです。BIFMAという試験をはじめて知りました。
CAFE DE OMEN
CAFE DE OMENは、製品ではありませんが「OMEN専用のサポートセンター」とのことでした。気軽に立ち寄ってほしい(相談してほしい)、という意図で「CAFE」という名称になったそうです。
まとめ
「ゲーミングPC」と聞くと、カラフルに発光するような目立つPCや、デザイン的に“攻めてる”PCを想像しがちです。
しかし、eスポーツなどのようにPCゲームが競技として認識され、高性能なPCでゲームを楽しむという行為が一般化してきた現代においては、HPが発表した新たな「OMEN」ブランドが、時代に即した変化であることが分かっていただけるのではないでしょうか。
Macユーザーの私からしても、今回のOMENの新製品群に触れて「(高性能PCの選択肢として)ゲーミングPCもありかも?」とゲーミングPCの魅力に気づきました。特に2画面のOMEN X 2S 15なんかは……(高価ですけど)